2017/1/13

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ボリショイ・バレエ「パリの炎」現地レポート

昨年11月、ボリショイ劇場で上演された『パリの炎』の公演レポートをお届けいたします。 [past_image 1]ダイナミックなパ・ド・ドゥが有名な『パリの炎』。 この全幕もののラトマンスキー版『パリの炎』は、民衆が主役であるという本来の革命同様、舞台に登場する全てのダンサーのエネルギーを大胆に紡いだ非常にドラマチックな作品になっている。 民衆が抑圧された生活の不満から義勇軍と一体となって志気を高めていく一方、豪華絢爛な宮廷生活を満喫する貴族たちとその館。革命の赤ではなくここでは美しい赤の衣装を纏った劇中劇『リナルドとアルミーダ』も見どころ。マリインスキー劇場から移籍し、2016年シーズンからプリンシパルに抜擢されたユリア・ステパノワが上品な舞を披露して喝采を浴びていた。貴族たちによる優美で流れるような手つきの上品なメヌエットと、拳を振り上げ勇ましく両足を踏みならす民衆の力強いステップとの対比は、貴族と庶民間の歴然たる階級社会を見せつける。 ラトマンスキーの振付は、踊りの流れとフォーメーションの変化によって、ダンサーひとりひとりの持つエネルギーを「爆発させよ」というニュアンスを暗にはらんでいる。民衆がステップを踏みながら舞台上をジグザグに駆け抜ける躍動感は、革命を起こそうとする民衆の気持ちの高まりそのものであり、途中挿入される「ラ・マルセイエーズ」は、これが歴史の物語だということを改めて思い出させる。更に主役を取り囲むダンサー達の活発で大胆なボリショイ・バレエらしい演技は、その時代を生きる人々をリアルに体現しており、否応なく観客を舞台に引き込んでいく。 [past_image 2]フィリップ役のラントラートフは、民衆を率いる勇ましさの中にも、周囲とジャンヌを気遣い一人の女性を愛する一途な男性として存在感たっぷり。彼の手の動き、特に手のひらで空気を流すような動かし方は、ボリショイ・バレエ歴代の男性ダンサーの特徴ともいえる。線が細く品行方正なダンサーだが、その大胆なしぐさは民衆を惹き付ける勇敢な青年である。しかし猛々しい革命には失う命、そして引き裂かれる愛もある。それは自由を求め闘ってきた時代の変革には欠かせない人間だからこそ。勝利の裏には必ず犠牲があり、その非情なまでにも普遍と言える人の世をこの『パリの炎』は再現している。ラストの衝撃は革命に伴う悲劇の象徴であり、愛であり、また勝利の証とも言えるであろう。 [past_image 3]古典とは一味違う大胆なバレエ! 人の歴史と、息遣いがそのまま届く、熱いドラマを堪能した! ▼来日60周年 お年玉キャンペーンページはこちらから▼[past_image 4] --------------------------------------------------------------- 初来日から60年、バレエの殿堂が魅せる輝きと進化。 ボリショイ・バレエ6月4日(日)13:00「ジゼル」オブラスツォーワ/ツヴィルコ 6月4日(日)19:00「ジゼル」ザハーロワ/ロヂキン 6月5日(月)19:00「ジゼル」クリサノワ/ラントラートフ 6月7日(水)18:30「白鳥の湖」スミルノワ/チュージン 6月8日(木)13:00「白鳥の湖」シプーリナ/オフチャレンコ 6月8日(木)19:00「白鳥の湖」ザハーロワ/ロヂキン 6月11日(日)18:00「白鳥の湖」ステパノワ/オフチャレンコ 6月12日(月)18:30「白鳥の湖」スミルノワ/チュージン 6月14日(水)19:00「パリの炎」クリサノワ/ラントラートフ 6月15日(木)19:00「パリの炎」シプーリナ/ワシーリエフ 公演の詳細はこちらから
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