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ナレク・アフナジャリャンがベルリン・コンツェルトハウス管と初共演

ナレク・アフナジャリャンがベルリン・コンツェルトハウス管と初共演

 チェリストのナレク・アフナジャリャンが、1月19日から3日間、ミハウ・ネステロヴィチ指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の定期演奏会に登場した。
 今回コンツェルトハウス管とのデビュー公演に選ばれたのは、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。唐突なソロで始まる冒頭からアフナジャリャンはエネルギー全開だ。ショスタコーヴィチの苦みのこもったメロディをたっぷりと、しかし節度をもって歌う。方やコンツェルトハウス管も、ピッコロ、ホルン、コントラファゴットなどが諧謔味のあるフレーズを鋭く挟み込み、この曲独特の乾いた活気が生まれた。第2楽章のモデラートは、この夜の白眉だったかもしれない。クラリネットと交わすチェロ・ソロのしみじみとした歌が次第に熱を帯び、大きな山場が訪れた後、チェロが同じ歌をチェレスタの調べに乗って今度は高音で一層寂しく歌う。この楽章での精妙な聴かせ方に、まだ20代とは思えないアフナジャリャンの熟練ぶりを感じた。雄弁極まりない表現のカデンツァの後、フィナーレではオーケストラと白熱した掛け合いを繰り広げたのだった。この協奏曲は初演者のロストロポーヴィチの印象がいまだ強いが、アフナジャリャンは幸運にも晩年の3年間、ロストロポーヴィチから直接教えを受けている。この曲で感じた説得力は、巨匠から良き伝統を受け継いだことにもよるのだろう。
 アフナジャリャンは喝采に応えてアンコールへ。神秘的な和音を弾きながら、何とチェリスト自らがフォルクローレのようなヴォカリーズを歌う。その後、咳き込むようなテンポの舞曲が続くこのソッリマ作曲の《ラメンタチオ》は、大ホールの空間を揺るがすほどのインパクトがあった。最後にバッハの無伴奏ソナタ第3番のサラバンド。こちらは最小限の味付けで作品そのものの良さを味わわせてくれた。
 チャイコフスキー・コンクールの優勝から早5年、世界中のオーケストラから招聘の声がかかるアフナジャリャンは、すでに若手世代を代表するチェリストの一人に成長を遂げたようだ。

中村真人(在ベルリン/ジャーナリスト)

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チャイコフスキーコンクールを制した俊英による多彩な音の世界
ナレク・アフナジャリャン 無伴奏チェロ・リサイタル
2017年6月13日(火) 19:00開演 浜離宮朝日ホール ほか
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