2017/6/12

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

アナ・トゥラザシヴィリとゲオルギー・グーセフのインタビュー[ボリショイ・バレエ]

ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」でハンガリーを踊ったアナ・トゥラザシヴィリと道化役のゲオルギー・グーセフ。インタビューをアップいたしました!是非ご覧下さい。

既にびわ湖ホールでの『パリの炎』のアデリーヌ役で観客に強い印象を残したアナ・トゥラザシヴィリ。ジョージア出身で、ニーナ・アナニアシヴィリが監督を務めるジョージア国立バレエ団に2年在籍していた経歴をもつ。『白鳥の湖』ではハンガリーを踊り、均整の取れた体型と快活なダンスで舞台に華やぎをもたらしていた。会話をしていても、とにかく表情豊かで一緒にいて楽しい気分になる。インタビュー中、ワジーエフ監督が大きな声で「何を聞いているの?」と突っ込みを入れてくる場面もあり(!)、バレエ団の人気者であることが垣間見えた。

――トゥラザシヴィリさんの踊りはフレッシュでインパクトが強くて、見ていて明るい気分になります。チャイコフスキーのチャールダーシュの音楽と、とても雰囲気が合っていました。
「花嫁候補の女の子たちは全員王子に選ばれたいので、各民族を代表する踊りで自己紹介をしていくのです。ですから、愉快で明るくポジティブに踊る必要があるのですね。なんとか王子に好まれるように、全員が必死にアピールしているのです(笑)。グリゴローヴィチ版ではキャラクター用のシューズではなく、普通のトウシューズで踊るのも特徴的です」

――今夜は花嫁候補の中であなたばかり見てしまいました! トゥラザシヴィリさんはジョージア国立バレエに二年間在籍されていましたが、踊りを見てニーナ・アナニアシヴィリさんを思い出す瞬間がありました。
「よく言われますが、それは褒め過ぎだと思っています(笑)。ニーナは本当に素晴らしい人で、特別なバレリーナですから…。でも、彼女に似ているという言葉は私にとってとても嬉しい賛辞です」

――(インタビュー中も足が完全に外側を向いているので)いつも素晴らしいアン・ドゥオールなのですね!
「まあ、ありがとうございます!(笑)」

――『パリの炎』では伯爵の娘で、最後は悲劇的な運命をたどるアデリーヌを演じられます。どのような役作りをされていますか?
「アデリーヌは貴族の娘で、何の問題もなく優雅に暮らしていて、最初のシーンでは狩りなどをしているのですが…辛い恋をして楽しい気持ちがどんどん奪われてゆき、最後は悲劇へと雪崩れ込みます。どのように気持ちの変化を表していくか、パートナー役と相談して作り上げていきました。ラトマンスキーは大好きな振付家で、『ロシアン・シーズン』を踊ったときは直接指導を受けました。彼自身がバレリーナの動きを逐一踊ってくれたため、本当によく覚えることが出来たと思います。『パリの炎』では直接指導は受けませんでしたが、初演のあと「とてもよかった」とメッセージを送ってきてくれたんです」

――特別なメッセージですね。こうしてお話をしていると、トゥラザシヴィリさんはとてもメンタルが強く、ストレスに負けないしなやかな心を持っている方に思えます。

「ボリショイという団体は厳しいところですが、人間として頑張れば報われる場所なのです。ワジーエフ監督はつねに感情が爆発している方で、声もとても大きいのですが(笑)、悪いことは一言も言っていない。大変な働き者で、全然休まないで働いています。だからバレエ団の人間にも勤勉であってほしいと望んでいるのですね。監督には高い目標があり、それを達成するために私たちにも頑張ってほしいと願っているのです」

 グリゴローヴィチ版『白鳥の湖』の道化役では花火のような華やかなテクニックを披露し、大喝采を浴びていたゲオルギー・グーセフ。次から次へと手品のようにスペシャルな技を見せ、トリックスター的な魅力をまき散らしていた若手ダンサーだ。出番が終わって、メイクを落とした素顔で待っていてくれた。大きなリュックを背負って、とてもフレンドリーな雰囲気。『パリの炎』ではルイ16世の役を演じる。――大変お若いのですが、いつ入団されたのですか?
「2013年のお正月に入る直後にボリショイの契約にサインしました」

――ボリショイではキャラクター専門ですか?
「色々踊っています。キャラクター踊るし、クラシックも踊ります。演技が必要な役や、モダンダンスも踊っているんですよ」

――『白鳥の湖』の道化役はテクニック的にも体力的にも大変な役ではないかと思うのですが、特別なトレーニングをするのですか?
「演技的な面ではほとんど苦労はありません。道化役はとにかくテクニックが重要です。技術的にハイレベルなことを見せながら、軽々と簡単に踊っているように見せなければならないのがポイントです」

――なるほど。『パリの炎』ではルイ16世の役を演じられます。どういう役作りをしましたか?
「フランス皇帝の役なので、まず最初に歩き方を研究してみました。ルイ16世に相応しい歩き方を探していったんです。舞台にいる時間は短いのですが、そこにいる中で一番身分の高い人物ですからね。踊り的な見せ場はありませんが、舞台にいる時間は皇帝になって、その後また普段の自分に戻るのは興味深い経験です」

――楽しみにしています。ところでバレエ監督がワジーエフさんに代わってから、ボリショイはどのように変化しましたか?
「バレエ団は監督によって変わります。前の監督も素晴らしかったし、今の監督も素晴らしい。ワジーエフ監督のもとでは背筋がまっすぐになって、与えられたチャンスを失わないように競争しながら取り組まなければなりません。皆が規律を守って、自分を高めていると思います」

インタビュー:小田島久恵(音楽ライター)

期待高まる日本初演の「パリの炎」のあらすじ是非ご覧下さい!
「パリの炎」のあらすじ

——————————————————-
初来日から60年、バレエの殿堂が魅せる輝きと進化。
ボリショイ・バレエ

6月14日(水)19:00「パリの炎」クリサノワ/ラントラートフ
6月15日(木)19:00「パリの炎」クレトワ/ワシーリエフ
公演の詳細はこちらから

ページ上部へ