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ミュンヘンで行われた『マーラー:交響曲第7番』現地レポートが届きました![バイエルン放送交響楽団]

2018年4月19日にミュンヘンで行われた、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団『マーラー:交響曲第7番』の広瀬大介氏による現地レポートが届きました。ぜひ、ご覧下さい。ドイツ・ミュンヘン。この街には、一流の音楽家たちが引きも切らずにやってくる。毎日のようにトップクラスの音楽家を聴き続けていると、自分が経験しているこの日々が夢なのではないか、という想いにおそわれることも一再ではない。ミュンヘンに生まれ、暮らしているクラシック音楽愛好者の皆さんは、このような贅沢な日常を日常として過ごすことに慣れてしまっているのだろうか。うらやましくもあり、おそろしくもあり。 そう、おそらくは、世界中のオーケストラからの出演依頼が殺到する巨匠マリス・ヤンソンスの登場といえども、ミュンヘンのひとたちにとっては日常の風景なのだろう。それでも、そのヤンソンスが渾身の力を込めて指揮するマーラーともなれば、会場となるガスタイク・フィルハーモニーにも、どこか普段とは異なる華やかさと高揚感がみなぎる。
折しも、4月19・20日の定期演奏会直前には、2018-19年シーズンの予定も発表され、日本を含むアジアツアーの日程も明らかに。今回の定期演奏会で、そしてアジアツアーでも演奏されるマーラー『交響曲第7番』は、そのツアー直前の11月10日にもミュンヘンでの特別演奏会が予定されており、楽団の、そして指揮者の意気込みを窺わせる。そのことを知ったばかりの聴き手の側も、おのずと期待は高まるというものだろう。実際、その意気込みは、第1楽章冒頭から疑うべくもなかった。2003年に首席指揮者としてバイエルン放送交響楽団と特別な結びつきを持ち続けたヤンソンス。お互いの手の内を知り尽くした指揮者とオーケストラではあるが、それでもなお、相手の出方を期待と気迫をもって受け止めようとする緊張感は両者から失われていない。ヤンソンスは精力的な身のこなし、切れ味鋭い棒さばきで、ひとつひとつの表現を細部まで彫琢する。冒頭部分はかつての大指揮者でもここまでゆったりとしたテンポは採らなかったのでは、というほどに慎重で、両者はマーラーという媒体を通じて言葉のない対話を交わしているかのよう。ヤンソンスはすべての奏者から、その最良の演奏を引き出そうとする。 慎重な歩みはその後も変わらず、最後の第5楽章が始まっても、ヤンソンスはなおも奏者を煽らない。交響曲というものの在り方を「パロディ」として描いたこの作品、そして作曲家の流儀に沿い、完全なる熱狂へと至るその一歩手前で踏みとどまったのも、おそらくは計算の内だろう。遅めのテンポで演奏の隅々まで感覚を研ぎ澄ませつつ、各奏者の自発性とのバランスをとっていく巨大な「アンサンブル」は、まさにバイエルン放送響の実力を遺憾なく示す、面目躍如たる公演となった。11月22日の東京、23日の西宮公演で演奏されるマーラーは、さらに理想的なかたちでホールに響きわたるに違いない。

広瀬大介 (音楽評論家) 筆者鑑賞日:2018年4月19日

2018年4月19・20日 20時開演 ミュンヘン、ガスタイク・フィルハーモニー
《プログラム》
グスタフ・マーラー:交響曲第7番 ホ短調
《出演》
指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団

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現代オーケストラ芸術の極み!! 巨匠&世界最高峰の楽団
マリス・ヤンソンス指揮 バイエルン放送交響楽団
2018年11月22日(木) 19:00開演 東京芸術劇場 コンサートホール

《プログラム》
 マーラー:交響曲第7番 ホ短調 「夜の歌」

2018年11月26日(月) 19:00開演 サントリーホール
《プログラム》
 リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S. 124/R. 455 (ピアノ:エフゲニー・キーシン)
 R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40

2018年11月27日(火) 19:00開演 サントリーホール

 リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S. 124/R. 455 (ピアノ:エフゲニー・キーシン)
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「春の祭典」 

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