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[ウィーン少年合唱団] 東京公演初日公演レポート(Aプログラム)

5月3日(木・祝)14:00開演 14:00開演 サントリーホール  風薫る季節の到来とともに、天使の歌声を届けにやってくるウィーン少年合唱団。
今年はカペルマイスターのジミー・チャン先生率いるハイドン組が来日し、6月半ばまで続く全国ツアーがスタートしています。
 5月3日、東京・サントリーホールで行われたのは、『ウィーン少年合唱団と動物の世界』と題されたプログラムAの公演。ゴールデンウィーク中とあって、たくさんの家族連れで賑わった東京公演初日の模様をレポートします。

 開演時間となり、しんと静まり返ったホールの後方から美しい歌声が・・・・・・
グレゴリオ聖歌を歌いながら、ハイドン組のメンバーたちが客席の間の通路を歩いて舞台へと向かいます。サプライズのような登場に、客席の温度は一気に上昇! これから始まる公演への期待が膨らみます。 舞台へ上がったメンバーたちは、続いてケルルとハスラーによる2曲の宗教曲をア・カペラで披露。輪唱のように連なったり、ぱっとハーモニーの輪を広げたり、さまざまな響きで神への賛歌を歌い上げます。

 チャン先生による日本語の挨拶をはさんで、サントリーホール公演だけのスペシャル・ゲストが登場。指揮者・作曲家としても活躍する鈴木優人さんが演奏するパイプオルガンとの共演です。フックスの「サルヴェ・レジーナ」、M.ハイドンの「アニマ・ノストラ」では、ここがコンサートホールであることを忘れ、ヨーロッパの石造りの教会で聴いているような気分に。パイプオルガンに合わせて歌うメンバーたちの表情がリラックスし、歌声がいっそう生き生きとしていたのも印象的でした。それもそのはず、500年以上も前に王宮礼拝堂の聖歌隊として創設されたウィーン少年合唱団は、現在もウィーンの王宮礼拝堂で歌っているのです。きっと彼らも、ウィーンで歌っているような気分になったのでしょう。 続いては、ピアノ伴奏によるシューベルトを2曲。モーリツ・ガブリエル君がソロで歌った「ます」は、よく通る澄んだボーイ・ソプラノと落ち着いた歌いぶりに驚かされました。 ふたたびパイプオルガンとの共演で歌われた「慈悲‐許し‐内なる平和」はウィーン少年合唱団の音楽監督、ゲラルト・ヴィルト氏の作曲によるもの。神秘的でエキゾティックな雰囲気をたたえた宗教曲ですが、速く細かいフレーズが連なるテクニカルな箇所も見事に歌いこなし、ドラマティックに聴かせてくれます。

 前半のラストはJ.シュトラウスⅡの「山賊のギャロップ」と「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。爽快なスピード感たっぷりに、一気に駆け抜けました。 休憩をはさんで、いよいよ後半には動物にちなんだ曲が並びます。誰もがよく知る「となりのトトロ」でスタートし、メンバーたちも会場も和やかなムードに。見事な日本語のアクセントもさすがですが、彼らは『となりのトトロ』のアニメ映画が大好きだということが、楽しそうな歌声から伝わってきます。

 ペルーの歌「コンドルは飛んでいく」、中国の民謡「ひばり」に続いて歌われた日本の童謡「ほたるこい」は、ア・カペラによる輪唱の響きが夜空に点滅するほたるの光のようで、消え入るような儚い美しさを感じさせる見事な歌唱でした。

 メンバーたちが日本語で曲の紹介をするたびに、会場からはあたたかい拍手が。蛇(メンデルスゾーン『真夏の夜の夢』より)、迷い犬とはりねずみ(プーランク『小さな声』より)、ガチョウを取りに行った狐(ブリテン『金曜日の午後』より)・・・・・・
クラシック作品に登場する動物たちの歌が次々と歌われ、色とりどりの物語が展開していきます。

 コープランドの「町から猫を連れてきた」では、猫やアヒル、ブタ、牛など動物たちの鳴き声も再現。2匹の猫が“ニャーオ”で歌い交わすロッシーニの「猫の二重唱」では、2人のソリストが迫真の演技を見せてくれました。 最後は、赤のギンガムチェックのシャツに半ズボンという姿に着替えて登場し、オーストリアの民謡「カッコウ」を振り付きで披露。ユーモラスな動きだけでなく、茶目っ気たっぷりな表情でも笑いを誘っていました。十八番のウィンナ・ワルツ、J.シュトラウスⅡの「ウィーンの森の物語」で公演は終了。あっという間の楽しいひとときでした。 アンコール曲は、菅野よう子の「花は咲く」と、J.シュトラウスⅡの「美しく青きドナウ」。毎年、メンバーたちが東日本大震災に心を寄せて歌ってくれる「花は咲く」を聴くと、感謝の気持ちでいっぱいになります。今年もあたたかな心の交流が、各地で行われることでしょう。

文:原 典子(音楽ライター/編集者)

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今後のスケジュールは日本ツアー公式ホームページよりご確認ください。
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ウィーン少年合唱団2018年来日公演
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