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来日直前!現地レポート ウラディーミル・ユロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団

来日迫る、ウラディーミル・ユロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団。日本ツアーのソリストであるレイフ・オヴェ・アンスネス、諏訪内晶子が出演した現地公演レポートが届きました。ぜひご覧下さい!
来日公演が迫るウラディーミル・ユロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団のコンビが、2月22日と24日、ベルリン・コンツェルトハウスにおける定期演奏会に登場した。

コンサートの前半では、今回の来日ツアーのソリストが出演。まず初日は、レイフ・オヴェ・アンスネスがモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を弾いた。昨年末に肘の痛みでしばらく休養していたというアンスネスだが、順調な回復ぶりをうかがわせた。彼のピアノは淀みない流れとくっきりとした音色を持ち味としながらも、オーケストラの響きともよく溶け合い、このハ長調協奏曲ならではの愉悦に富んだ対話を繰り広げてゆく。第1楽章の中間部でふっと翳りの色合いを聴かせたかと思うと、時には左手で思い切ったアクセントを付けるなど、メリハリも絶妙だ。速めのテンポで始まったフィナーレでは、小気味よいカデンツァの魅力もあって、モーツァルトを聴く至福感で体中が満たされた。

24日には諏訪内晶子が登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を共演した。ユロフスキー指揮による彫りの深いオケの前奏に続いて、プリマドンナのような貫禄でヴァイオリン・ソロを弾き始める。諏訪内の演奏を聴くのは久々だったが、以前からの作品に向かう真摯な姿勢はそのままに、音楽の構えが大きくなり、響きも一層味わい深くなったように感じられた。第2楽章ではオーボエのクララ・デント、フルートのウルフ=ディーター・シャーフといったこの楽団の看板奏者たちとの間で機微に富んだやり取りが交わされ、ホール空間に親密な空気が生まれる。フィナーレ後の喝采を受けて、諏訪内はイザイの無伴奏ソナタ第2番から「妄執」をアンコールに披露。コンサート前半を鮮やかに締めた。

さて、メインプログラムは両日ともR.シュトラウスのアルプス交響曲。首席指揮者に就任して2シーズン目となるユロフスキーは、現在マーラーの交響曲に力を入れているが、後期ロマン派の大規模な管弦楽作品は彼らのレパートリーの核のひとつになりつつあるようだ。結果的に、その期待は十二分に満たされた。

ユロフスキーという人は、作品全体を見通す並外れた能力を有しているように思う。アルプスの1日を描写したこの曲について彼は、「生から死に向かう人間の一生のアレゴリー」と述べているが、この長大な作品を、明確な意思と構築性をもって雄大かつこまやかに描き切る。アルプス登山のさまざまな自然の音に包まれながら、例えば嵐の後に現れる夕暮れの描写では、作曲家自身の生をも照らし出すかのごとく、荘厳に味わい深く鳴り響いた。
終演後のカーテンコールで、舞台後方までぎっしり並んだオーケストラのメンバーがユロフスキーに一斉に拍手を送るシーンがあった。この両者がいままさに波に乗っていることの証であろう。

中村真人(在ベルリン/ジャーナリスト)
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世界が追い求めるユロフスキー、新時代の幕開け!
ウラディーミル・ユロフスキー指揮 ベルリン放送交響楽団
2019年3月26日(火) 19:00 サントリーホール
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