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[ウィーン少年合唱団] 2019年5月 東京公演初日公演レポート(Aプログラム)

5月3日(金・祝)14:00開演 サントリーホール10連休となったゴールデンウィークの到来とともに、ウィーン少年合唱団の日本ツアーがスタート! 今年はカペルマイスターのマノロ・カニン先生に率いられ、ブルックナー組の26名が元気に来日しました。5月3日、サントリーホールでの「プログラムA」公演の模様をレポートします。

2019年は日本とオーストリアの国交樹立150周年ということで、今回のツアーでは「日本・オーストリア友好150周年記念プログラム」と題して、AとBの2種類のプログラムが組まれています。さらに「令和」の幕開けを祝って上皇陛下と上皇后陛下にちなんだ曲も披露されるとあって、会場にはファミリーだけでなく、多くのシニアのお客さまも。落ち着いた華やぎのある雰囲気に包まれての開演となりました。

第1部の1曲目は、オルフの《カルミナ・ブラーナ》より「おお、運命の女神よ」。ドラマティックなメロディで、突き抜けるようなソプラノのコーラスがひときわ印象的です。太鼓やゴングを手にしたメンバーが、みずから演奏してリズムやアクセントを加えていました。続いてマノロ先生が日本語で挨拶。ウィーン少年合唱団のコンサートでは、先生やメンバーたちが、すべて日本語でMCをしてくれるのです。ツアーで訪れる国々の言葉や文化を、彼らがどれだけ大切に思っているかがわかりますね。今から500年以上も前に王宮礼拝堂の聖歌隊として創設されたウィーン少年合唱団は、現在も王宮礼拝堂のミサで歌っています。第1部では、そんな合唱団の歴史と伝統を物語る宗教曲の数々がフィーチャーされています。2曲目に歌われたヴィアダーナの「正しき者よ主によって喜べ」も、約400年前から彼らのレパートリーとなっている曲。透き通るような柔らかい響きに満たされ、サントリーホールが大きな聖堂になったように感じられました。メンデルスゾーンの「羊飼いはよみがえられた」もボーイ・ソプラノの繊細さが際立つ曲。決して声を張り上げない、自然な発声が美しさの秘訣です。日本人メンバーであるケント君のMCをはさみ、ハイドンとブラームスの宗教曲が続きます。ブルックナー組の魅力は、全員が声を合わせて歌うときのハーモニーが見事に揃っていること。歌うときに、お互いの声をよく聴いていないと成し得ない響きです。加えて、中~低音部を支えるアルトのメンバーのレベルが高いことも、安定感抜群のハーモニーにつながっていると言えるでしょう。

次に歌われたのは、ウィーン少年合唱団の指揮者で、昨年世を去ったラウル・ゲーリンガーがブルックナー組のために作曲した「死と愛」。死に直面した病の床で書かれたそうですが、いかなるときも愛こそがもっとも強いというメッセージが、決然とした歌から伝わってきます。

そして第1部のラストは、バンキエーリによる「動物たちの対位法」。少年たちが犬、猫、カッコウといった動物や鳥の鳴き声を生き生きとリアルに再現して、会場からは笑いさざめく声が上がっていました。休憩をはさんで、第2部の1曲目はピアソラの有名曲「リベルタンゴ」。「歌声でタンゴを踊りました」というMCの言葉どおり、歌詞がなく、声だけでリズムやメロディを描き出すアレンジはとても新鮮に聞こえます。

「マノロ先生がいちばん好きな曲」という紹介のあとに歌われた2曲目は、先生の故郷イタリアのカンツォーネ・ナポレターナ「オー・ソレ・ミオ」。海の波のように大きく揺らぐ先生のピアノに乗って、リズムを弾ませ、のびのびと歌う少年たちの表情からは、両者の固い信頼関係が想像できます。ときにユーモアを交えてリードする先生は、少年たちにとってきっとお兄さんのような存在でもあるのでしょう。第2部の3曲目からは、オーストリアと日本で愛されている歌を取り上げ、両国の絆を示すプログラムとなります。まずは映画《サウンド・オブ・ミュージック》より「ひとりぼっちの羊飼い」と「エーデルワイス」。前者ではやんちゃなヨーデルの掛け合いが楽しく、後者では山あいにひっそり咲く花と同じく素朴で優しい歌声に会場はうっとり。

日本の歌からは、滝廉太郎の「荒城の月」、上皇后陛下が作詞された「ねむの木の子守歌」、岡野貞一の「ふるさと」の3曲を。どの曲でも日本語の発音がとても自然で美しく、歌詞の意味をきちんと理解したうえで、ひとつひとつの言葉を大切に歌っているのがよくわかります。

続いて歌われたのは、ウィーン少年合唱団の芸術監督であるゲラルト・ヴィルト氏が、令和という新しい時代を迎える日本でのツアーのために書き下ろした新曲「Peace within(内なる平和)」。MCで告げられた「ひとりひとりが平和であるとき、世界も平和になります」という言葉を、神秘的な静謐さをたたえた響きの中で噛みしめながら聴き入りました。次の曲からラストまでは、ウィーンにちなんだ歌が続きます。オーストリア民謡の「納屋の大戸」ではトランペットを吹いたふたりが大活躍。少年たちも手拍子や足踏みを交えながら歌います。ヨーゼフ・シュトラウスの「水兵のポルカ」はウィーン少年合唱団の十八番。ヨハン・シュトラウス2世の「雷鳴と稲妻」とともにスピード感あふれる快活なテンポでウィーンの華やぎを運んできてくれました。そして「美しく青きドナウ」で一気にスローダウン、大きな川の流れのようにゆったりとしたワルツで締めくくりとなりました。鳴り止まない拍手に応えて、アンコールも盛りだくさん! 《天使にラブ・ソングを》メドレー、菅野よう子の「花は咲く」を歌ったあと、マノロ先生が腕時計を見て「もうこんな時間!」という顔をしつつも披露してくれたのが、フランチェスコ・サルトーリの「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」。メンバー全員で会場のお客さまに大きく手を振りながらの終演でした。

文:原 典子(音楽ライター/編集者)

[ウィーン少年合唱団] 2019年5月 東京公演初日公演レポート(Bプログラム)はこちらから

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キヤノンマーケティングジャパングループ Presents
ウィーン少年合唱団
5月3日(金・祝)14:00 サントリーホール
5月4日(土・祝)14:00 サントリーホール
5月29日(水)14:00 東京芸術劇場コンサートホール
6月14日(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール(アフタヌーン・コンサート・シリーズ2019-2020 前期 Vol.2)
6月15日(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
6月16日(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
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