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指揮の海老原光、2019年4月より九州シティフィルハーモニー室内合奏団の首席指揮者に就任

指揮の海老原光が、2019年4月1日より九州シティフィルハーモニー室内合奏団の首席指揮者に就任。同年3月に、発表記者会見が開催され、同団の楽団長・森田良平氏、ミリカローデン那河川館長の臼杵昭子氏、新首席指揮者の海老原光が出席いたしました。
会見の詳細と海老原の今後の展望などをご紹介いたします。 内外で活躍する俊英指揮者、海老原光は、2019年4月1日より九州シティフィルハーモニー室内合奏団の首席指揮者に就任した。
 同楽団は、2018年8月に結成されたプロの室内合奏団。同年4月、福岡県に誕生した「那珂川市」の「ミリカローデン那珂川」を本拠地とし、那珂川市および那珂川市教育文化振興財団と連携協力協定を結んでいる。メンバーは、九州在住の若手プロ演奏家11人(平均年齢33歳)の「コア楽団員」が中心。首席客演コンサートマスターに、ハンブルク国立フィルとハンブルク国立歌劇場の第1ヴァイオリン・アソシエイト・コンサートミストレスを12年間務めた塩貝みつるを迎え、公演規模に応じて「アソシエイト楽員」「エルダー楽員」を加えながら活動を行う。
 東京での記者会見において、海老原─彼自身も九州・鹿児島出身─はこう抱負を語った。
「私は、いつか自分のオーケストラを持って、そこを成長の場としながら、社会や子供たちと繋がり、新しい音楽を作っていくことを願っていました。このたびそれが那珂川市という新しい町と一緒にできることをとても嬉しく思っています。那珂川市は、複数の町が合併した形ではなく、那珂川町が単独で移行した市ですから、市になっていく過程が町の成長・発展とリンクしています。そうした中、新しい市のシンボルとして室内合奏団を作ろうということになりました。全国には、紀尾井ホール室内管やアンサンブル金沢、京都フィルハーモニー室内合奏団など様々な室内オーケストラがあります。そうした団体を意識しつつ、世界に羽ばたいていくにあたって我々の武器となるのは何か?と日々議論を重ねていますが、まずは町の中で、聴衆すなわち市民や子供たちといかに関わっていけるか?が第1の課題だと思っています」 2月に指揮者なしで行ったお披露目コンサートは、800のホールがほぼ満席になったという。レパートリーは「古典派と現代音楽が中心」(森田良平楽団長)で、4月20日の第1回定期演奏会は、グリーグの「ホルベアの時代から」、中村滋延の「室内管弦楽のための《四季のラプソディ》」(委嘱作品 世界初演)、モーツァルトの「交響曲第40番」がプログラミングされた。
「古典派の中でもモーツァルトの交響曲全曲、さらには室内アンサンブルを含めた全作品を演奏したいとの夢を掲げています。モーツァルトと那珂川が結びついていければと考えて、お披露目コンサートでもモーツァルトの交響曲第1番を演奏しましたが、そこで第1回定期演奏会のチケットが100枚も売れるなど、市民の方もとても楽しみにしてくださっています。また、もう1つの柱である現代音楽について言えば、シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクが20世紀初頭に作った私的演奏協会のレパートリーをぜひ取り入れたい。さらに古典&現代音楽という意味では、パウル・ザッヒャーが作ったバーゼル室内管が1つのモデルになるでしょう。ザッヒャーは数々の作品を委嘱していますが、我々は20世紀音楽をもう一度総ざらいすることで、若い音楽家の発展の場にできればと思っています」
 海老原は、さらなる展開を胸に抱いている。
「まだまだこれからですが、東京での公演、さらには福岡という場所柄、アジアへ羽ばたいていくことも考えていますし、ゲストプレイヤーやゲスト指揮者の話も進めています。さらにこれは個人的な思いですが、コントラバス奏者の森田楽団長は、全国のオーケストラに客演すると同時に、ポップスの公演にも深く関わっていますから、室内オーケストラの機動力を生かして、ボーダーレスな音楽にも機能を広げたい。私は、ダンスや映像、演劇など他の分野と交わった時に音楽がより際立ってくるとの思いを旨に日々の活動を行っていますし、ミリカローデン那珂川がこの先、歌い手や役者を含めた芝居小屋のような形で新しい文化を発信できることを願っています」
 なお、スタートの2019/20シーズンは、年2回の「定期演奏会」のほか、那珂川市内の15の公立保育園、幼稚園、小中学校全てを巡回する「教育機関音楽鑑賞公演」、未就学児も入場できる「ファミリーコンサート」(2019年度は8月に予定)、様々な場所における「室内楽コンサート」など年間50ほどの公演を行う予定だ。
 ミリカローデン那珂川のキャパシティは814席で、「室内合奏団として活動しやすい点が魅力」であり、何より「福岡市内にこの規模のホールがない点が、ここを本拠とする大きな要因」。そして「京都市交響楽団と京都フィルハーモニー室内合奏団の関係のように、九州交響楽団に相対する“小回りが効く”室内合奏団として活動し、新しいファンを集めたい」との由。ホールの最寄りは博多から新幹線で1駅(車庫に入れる新幹線に一般客を乗せている)の博多南駅。博多から8分、300円で行くことが可能な「福岡市の中心地からとても近いホール」(以上、森田楽団長)でもある。今後の展開に意欲を燃やす海老原と、この新合奏団にぜひ注目したい。
文:柴田克彦(音楽ライター)

九州シティフィルハーモニー室内合奏団 公式 Facebook

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