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マリインスキー劇場 現地取材レポート

2019年11月にサントリーホール、東京文化会館にて開催する巨匠ゲルギエフとマリインスキー劇場が贈る【チャイコフスキー・フェスティヴァル】。2019年3月、オペラの演出を研究する中央大学准教授、森岡実穂さんがロシア芸術の殿堂、マリインスキー劇場を取材しました。“ロシア文化のショーケース”マリインスキー劇場
ロシア第二の都市サンクトペテルブルグを初めて訪ね、マリインスキー劇場でのオペラを観に行ってみた。ちょっとすごいぞ……と思ったのは、密度の濃さ。伝統を誇るマリインスキー劇場、最新上演設備と快適な客席を備えた近代的劇場マリインスキー劇場Ⅱ、加えて素晴らしい音響のコンサートホール、さらにムソルグスキー・ホールなどの室内楽用ホールを備えていて、平日でも2つから3つの作品が上演されていることだ。数日滞在すれば、なかなか他の国では観る機会のないロシアの作曲家たちのオペラを何作品も観ることができるのだ。

私は4泊の滞在で7作の上演を観ることができた。チャイコフスキーでは、有名な《スペードの女王》を現代的な演出で、レアな《マゼッパ》を伝統的な歴史絵巻で。リムスキー=コルサコフの《雪娘》を見られたのはさらに貴重な機会。また、ストラヴィンスキー《夜鳴きうぐいす》のような1時間程度の作品も、観光客に劇場を覗いてもらういい機会になるはず。《道化師》のような世界的な定番演目ももちろん観ることができた。

バレエも人気があり、この週はフォーキン振付のバレエ・リュス名作集『ペトルーシュカ』『シェヘラサード』が上演されていたが、『白鳥の湖』のような古典作品もモダン・バレエもバランスよく上演されている。いくつかの作品では、ブノワやビリービンら歴史に残る舞台美術家たちの装置が再現され使われているのも魅力的だ。コンサートホールでは今回は日露国際交流企画の《夕鶴》上演があったが、普段はシンフォニーコンサートも楽しむことができる。

これだけ上演があっても、劇場に行けば毎回ほとんどの席が埋まっている。観光客はもちろん、地元の人たちがオペラやバレエを愛し、日常的に観に来ているのがわかる。

マリインスキー劇場は、いつ訪れてもロシアの舞台芸術の多彩なレパートリーにアクセスできる。ロシア文化の素晴らしいショーケースである。この宝の蔵にあるまだ見ぬ作品を、よく知った作品の別の面を、もっと観てみたいものだ。

森岡実穂(中央大学准教授)

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巨匠ゲルギエフ&ロシア芸術の殿堂 マリインスキー歌劇場が総力を結集して贈る
マリインスキー歌劇場 チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
▼画像をクリックするとPDFで詳細をご覧頂けます▼
歌劇「スペードの女王」
2019年11月30日(土)15:00 東京文化会館
2019年12月1日(日)15:00 東京文化会館
歌劇「マゼッパ」(コンサート形式)
2019年12月2日(月)18:00 サントリーホール
マリインスキー 歌劇場管弦楽団 演奏会
2019年12月5日(木) 19:00 サントリーホール(チェロ:アレクサンドル・ブズロフ)
2019年12月6日(金) 19:00 東京文化会館(ヴァイオリン:五嶋龍)
2019年12月7日(土) 13:00 東京文化会館(ピアノ:セルゲイ・ババヤン、辻井伸行)
2019年12月7日(土) 18:00 東京文化会館(ピアノ:セルゲイ・ババヤン)

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