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チャイコフスキー国際コンクール 現地レポート/サンクトペテルブルグ Vol.3

「第16回チャイコフスキー国際コンクール」、チェロ部門ファイナル最終日(6月27日)の様子をサンクトペテルブルグから、お届けします!”どの奏者にもブラボーを贈りたい”と執筆者 浅松氏。ぜひご覧下さい!(サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー 大ホール)

ついにファイナルも最終日を迎えた。連日多くの聴衆が詰めかける中、毎日見る顔もかなりあり、コンクールの様子を一目見ようと毎日通っている人々も多くいたようだ。これだけ多くの人が毎日通うということは、それがすでにこのファイナルの全てを物語っていると言ってもいいだろう。誰が優勝するか、ということよりもこのファイナルで弾くコンクール参加者のそれぞれの特別な個性を聞こうと集まったのではないか。珠玉な個性光るそれぞれの参加者の演奏に、誰が一位をとるかということが重要ではなかった。皆それぞれに楽器を通して自分の音楽感を十分に表し、それぞれに説得力のある演奏を聞かせた。(ズラトミール・ファング)

まずは、今日の一人目。アメリカ出身のズラトミール・ファング。20歳の若手だ。
中音域の豊かさ、そして表情豊かなキャラクターの変化が特徴だ。とにかく一つの楽器から多種多様なキャラクターのフレーズ、音楽を紡ぎ出せる人だ。そしてそれは非常に人を惹きつけるテンポ感によって演奏されるので、さらにキャラクター間のギャップが増し、鮮明でバランス良い音楽になった。自由曲、ショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第2番」なども、チャイコフスキーとの音楽性の違いがよく弾き分けられており感銘を受けた。

そして本日2人目。韓国出身のテグック・ムン。
他のコンテスタントと違い、先に自由曲であるドボルジャークの「協奏曲」を演奏し、チャイコフスキーの「ロココ」を弾いた。
音符間の跳躍に若干ポルタメントをかけ中華風な雰囲気を出したドボルジャークだった。全てにおいて卒なくきれいにバランスよく弾く奏者だ。チャイコフスキーの「ロココ」もキレが良く、かつオーケストラの音をよく聞けており、ダイアローグも力まずソロについて来させるだけの余裕があった。

はっきり言って、今回のファイナリストに順位をつけたくはない。それだけ皆一様に楽器を通して自分の音楽を語れる音楽家としての演奏を発揮できていたからだ。コンクールのサガとして順位をつけざるを得ないことが悔やまれる。

終演後、予定よりも早く夜10時にファイナルの結果発表となった。 
色々な予想もあったと思われるが、結果として、1位ズラトミール・ファング(アメリカ)、2位サンティアゴ・カノン=ヴァレンシア(コロンビア)、3位アナスタシア・コベキナ(ロシア)、4位テグック・ムン(韓国)、5位イベイ・チェン(中国)、6位センヤ・エリーナ・ルムカイネン(フィンランド)となった。

何はともあれ、全員に祝福とこれからのエールを送りたい。

浅松啓介(音楽ジャーナリスト)

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第16回チャイコフスキー国際コンクール 出場者リスト(英語サイト)
https://tchaikovskycompetition.com/en/contestants.bak1/

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