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トリノ王立歌劇場は、サヴォイア王室の宮廷劇場として1740年に創設された。以来、同劇場は、ナポレオンの侵攻、独立戦争、イタリア統一戦争など、数々の戦禍に屈することなく活動を続けてきた。19世紀末には、名指揮者アルトゥーロ・トスカニーニを得て黄金期を迎え、ジャコモ・プッチーニの傑作、《マノン・レスコー》と《ラ・ボエーム》の世界初演という栄光に浴した。

しかしながら、1936年、旧劇場は火災に見舞われ焼失した。その後、カルロ・モリーノにより新劇場が再建され、1973年に、そのこけら落としとして、マリア・カラスの演出による《シチリア島の夕べの祈り》が上演された。新劇場の建物は、曲線を取り入れた独特なデザインで、ヨーロッパ有数の広い舞台を持ち、複雑な舞台演出にも対応できる進んだテクノロジーを備えていることを特徴としている。

芸術的な観点から述べると、今日のトリノ王立歌劇場は、数々の名演出家たちを起用し、伝統的なオペラの演目と革新的な劇場を融合させることに成功している。例を挙げると、演出家のルカ・ロンコーニ、ロバート・カーセン、ユーゴ・ド・アナ、ジョナサン・ミラー、グラハム・ヴィック、また時には、映画界の名監督、エットーレ・スコラ、エルマンノ・オルミ、ウィリアム・フリードキン、ジャン・レノらを迎えている。
さらにバレエでも、英国ロイヤル・バレエ(ロンドン)、ボリショイ・バレエ(モスクワ)、マリインスキー・バレエ(サンクト・ペテルブルク)といった、世界最高峰のバレエ・カンパニーを客演として迎えて定期的に公演を行っている。

2006年には、同歌劇場の所在地トリノ市は、第20回冬季オリンピックの開催地となり、全世界のマスメディアの注目を集めた。2週間に及ぶオリンピック開催期間中には、同歌劇場は4つものオペラ作品を上演したが、そのうち3作品は新演出による公演であり、さらにそのうち2作品は世界初演だった。これらの上演は、合計で24公演にも及んだ。

トリノ王立歌劇場は380人のスタッフを有し、年間4500万ユーロの予算を持つ、この地域で最も重要かつ有意義な芸術文化の中心的機関である。同歌劇場が最も力を入れて行っているのは、オペラとバレエのシーズン公演で、これに加え、オーケストラ・コンサートも行っている。さらに、ピッコロ・レージョ・ラボラトリオ(訳者注:主に現代作品を取り上げる付属の小劇場)のシーズン公演や、子供や学生たちを対象としたオペラ教室などの教育プログラムがあり、これらには年間5万人を超える若者たちが参加している。

近年では、トリノ王立歌劇場が上演する作品は、数の上でも質の上でも、明らかに向上が見られ、世界における芸術の最前線という同歌劇場の地位をゆるぎないものとしている。このことは、同歌劇場がヨーロッパの名だたる音楽団体と共演を重ねていることや、その記録的な観客動員数からも明らかである。同歌劇場は年間22万5千人以上もの一般チケット購入者と、1万3千人以上ものシーズンチケット購入者を誇っており、これはイタリアの他のどの歌劇場にも勝る数字である。

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