不思議な魅力を湛え、聴く人を吃驚させるような仕掛け、混沌としたエネルギーが充満している作品の数々。

矢口里菜子 & 舘野泉デュオ・リサイタル

一般発売日:2024/11/03〜

  • ピアノ
  • 弦楽器

チケット詳細Ticket Information

チケット発売情報

  1. ① 11月2日(土) 10:00a.m.~発売 ジャパン・アーツぴあオンラインチケット WEB
  2. ② 11月3日(日) 10:00a.m.~発売 一般 TELWEB
  3. ③ 11月3日(日) 10:00a.m.~発売 学生 TELWEB
  • WEBインターネットで購入可
  • TELジャパン・アーツぴあコールセンター 0570-00-1212

※先行発売などで満席になった席種は、以降販売されない場合がございます。

チケット残席状況

残席あり / × 売り切れ

2025/3/3

一般

通常価格

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S席
残席あり

5,000円

A席
残席あり

4,000円

B席
C席
D席
E席
学生席
全席指定
学生割引

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3,000円

  • 学生券 (3,000円)
  • *11/3(日)10:00より受付を開始いたします。
  • *社会人学生を除く25歳までの学生が対象です。公演当日、入口または窓口にて学生証を拝見させていただきます。
     (学生証がない場合は一般料金との差額を頂戴いたします。)
特別割引
  • ◎車椅子の方は、本人と付き添いの方1名までが割引になります。(ジャパン・アーツぴあコールセンターでのみ受付)
その他プレイガイド
チケット購入にあたっての注意事項

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曲目・演目Program

  • モーツァルト/光永浩一郎 (編曲):「女ほど素敵なものはない」の主題による8つの変奏曲
  • ペルト:鏡の中の鏡
  • 松平頼暁:Incarnation Vcと左手Pfのための 
  • マグヌッソン:チェロ・ソナタ 
  • coba:Tokyo Cabaret (チェロとピアノのために) 

♪ 舘野泉に捧げる/「舘野泉左手の文庫」助成作品

公演によせてMessage

矢口里菜子さんと共演するにあたって

 もう40年近く前に世を去った私の父はチェリストであった。30代初めの頃はウーテルプ・トリオというのを結成して活躍。ヴァイオリニストは小林三吾といって「蟹工船」の作者小林多喜二の弟である。三吾さんは後に私の妹のヴァイオリンの先生として毎週出稽古に来られたので、少年の頃の私にはとても懐かしい人。
 父は「音楽家として生きるほど素敵なことはない」と口癖のように言い、「子供ができたら皆音楽家にするんだ」と言っていたそうだ。そして4人の子供たちは皆音楽家になった。でも今の時代のように英才教育をされた訳ではなく、野球や相撲をするのが大好きで蜻蛉や蝉やザリガニを獲ったり、メンコやベイゴマに夢中になって遊んだ普通の子供だった。ピアノやチェロを弾くのも遊びと同じに好きだったから、特に音楽家になったわけではなくて、音楽の道に進むのはごく自然で自明のことであったに過ぎない。弟の英司はいま84歳だが、使用している楽器は父のものである。父は子供好きで分け隔てなくよく遊んでくれたし、親というよりは遊び友達のようであったから、自然と一体感が生まれていたのかもしれない。
 私が60余年を過ごしたフィンランドはチェロの大国である。今まで何人もの素晴らしいチェリストたちと共演してきたが、中でもエルッキ・ラウティオとは40年近く一緒に演奏してきた。彼の演奏は身体を突き抜けて魂の深奥まで響いてくる。
 ここ数年、矢口里菜子さんと演奏を続けている。最初の出会いは吉松隆「KENJI」のトリオ・ヴァージョンを演奏したとき。作品への深く強い没入感と全身を捧げ尽くしたかのような演奏に感銘を受けた。それから平野一郎のピアノ五重奏「鬼の学校」で弾いてもらった。三年前に完成したばかりの現代作品で、しかも演奏に45分かかる大作。しかしこれが大好評で札幌から福岡まで分校が出来、16回も全国を演奏して廻った。
 今回の公演はすべてチェロと左手ピアノのための作品。モーツァルトが没年に書いた「女ほど素敵なものはない」を光永浩一郎にチェロ作品として編曲してもらった。モーツァルトにはチェロの作品は存在しないから、その意味でも貴重だ。ペルトの作品も不思議な魅力を湛えているし、松平頼暁の「INCARNATION」は2012年に書かれた作品だが、前衛的精密な作品のようでいて悪戯心も旺盛。聴く人を吃驚させるような仕掛けが随所に見られる。
 マグヌッソンのチェロ・ソナタは2013年9月に東京文化会館で行われたブリンディス・ギュルファドッティルと私の演奏のために書かれた。cobaの「Tokyo Cabaret(東京キャバレー)」もこの演奏会で初演されている。ブリンディスはマグヌッソンの夫人でアイスランド交響楽団の首席奏者。素晴らしいチェリストである。そしてこのソナタは「心を違う世界に運ばれる作品」としか言いようがないが、矢口里菜子さんの演奏にも同様な深さと強さを覚える。深い海のようである。
 cobaの「Tokyo Cabaret」はハバネラのリズムで書かれた作品だが、私にはむしろ泥臭くて野暮ったい雰囲気でムンムンする曲に思える。様々な汗や欲望が渦巻き、混沌としたエネルギーが充満しているのだ。藝大の学生の頃、御徒町のキャバレーによく行った。お金はなかったけれどお姐さんたちは皆優しく親切で気取りもなかった。矢口さんは私と60歳近くも年齢が離れているがcobaの「Tokyo Cabaret」では実に素敵な演奏をしてくれる。長く生きていて良かったと思うのである。

舘野 泉


 舘野泉先生とは『鬼の学校左手のピアノと弦楽のための教育的五重奏(作曲:平野一郎氏)』で、ご一緒に全国を回った。公演数は16回にものぼるが、幸運にも私は全公演に出演することができた。そんな「鬼の皆勤賞」のご褒美かはわからないが、あるとき先生から新たな課題をいただいた。
 モーツァルト『女ほど素敵なものはない』ピアノとチェロのための編曲版である。モーツァルト作品をこの編成で聴けるのは珍しい。
ぜひ、アンサンブルの味わいを感じて頂きたいと思う。
 coba『Tokyo Cabaret』や、マグヌッソン『チェロ・ソナタ』は、それぞれに強烈な個性があり、演者として毎回違う表情を発見出来て面白い。
野先生が紡ぎ出す魔法のような響きとともに、今回はどのような表現が出来るのか、とても楽しみだ。

矢口 里菜子

プロフィールProfile

矢口里菜子 Rinako Yaguchi (チェロ, Cello)

東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学を経て、カール・マリア・フォン・ウェーバー・ドレスデン音楽大学にて研鑽を積む。 馬場省一、宮城健、山崎伸子、石坂団十郎の各氏に師事。奨学生として参加した霧島国際音楽祭にて堤剛、シエナ・キジアーナ音楽院夏期国際マスタークラスにてD.ゲリンガス、札幌リスト音楽院セミナーにてM.ペレーニの各氏のマスタークラスに参加。 第10回ビバホールチェロコンクール第1位。第31回霧島国際音楽祭賞。 ソリストとして各地でリサイタルのほか、北京、ベルリンなどの日本国大使館で招聘演奏。ザクセン州立警察オーケストラ、山形交響楽団などと共演。小澤征爾音楽塾に参加。JTが育てるアンサンブルシリーズ、リゾナーレ音楽祭、六花亭コンサートシリーズ、宮崎国際音楽祭などに出演。 2019年、BSテレ東「エンター・ザ・ミュージック」にてナビゲーターを務める藤岡幸夫氏プロデュースによる新カルテット、The 4 Players Tokyoのチェロ奏者としてメンバーとなる。4つの異なる楽団のトッププレイヤーから成る豪華カルテットとして注目を浴びている。 山形交響楽団首席チェロ奏者。

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舘野泉 Izumi Tateno (ピアノ, Piano)

88歳クラシック界のレジェンド・ピアニスト。領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ不動の地位を築く。2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。これまで舘野泉の左手のために10ヶ国の作曲家により130をこえる作品が献呈されている。2020年演奏生活60周年記念演奏会、2023年米寿記念演奏会の全国ツアーは大反響をよんだ。2025年秋には卒寿記念演奏会を全国各地で予定している。もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。

舘野泉公式HP
izumi-tateno.com/
プロフィールページ
https://www.japanarts.co.jp/artist/izumitateno/
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主催・協賛

主催
ジャパン・アーツ
後援
フィンランド大使館 / 一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
協力
舘野泉ファンクラブ
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