2014/7/25
ニュース
オリガ・スミルノワのインタビュー[ボリショイ・バレエ]
Q:「ラ・バヤデール」の舞台は素晴らしかったです。若くしてあれだけの役を与えられ、プレッシャーなどはありませんか?
オリガ・スミルノワ(以下、OS):毎回毎回の舞台に責任感を持って踊っています。しかし、最も緊張するのはやはり作品の初日、初めて踊る役の時ですね。「ラ・バヤデール」の舞台は3年前から踊っているものですので、精神的な負担は少ないですが、主役を踊った次の日は人間ではないくらいに疲れきっています。
Q:ワガノワ・バレエ学校を首席で卒業されましたが、小さいころから特別なダンサーとしてご自分でも意識していたのでしょうか?
OS:バレエは10歳から始めました。しかし、ダンサーになりたいと思ったり、自分をバレリーナとして考えるようになるまでには、長い時間がかかりました。「舞台に出て踊るということはどういうことなのか・・・」ということを少しずつ理解できるようになったのは、主役を踊るだけではなく、ヴァリエーションを踊ったり、キャラクターダンスなども踊ったり、舞台そのものの深みを味わい感じられるようになってからのことです。そうしているうちに、舞台への愛情も増してきました。
Q:緊張感と踊る喜び、どちらが大きかったのでしょうか?
OS:本番は毎日ではありませんので、充実した舞台になるよう精神的な準備も整えます。自分はこのような表現をしたい、役柄を通じて訴えたいことは何か、ということを舞台で発揮したいと思っていますので、本番では精神的にも自由になれるようにしたいと思っていますし、そのようにできています。肉体的にはかなりハードなことをしていると思いますが、踊っている時はそのようなことは全く感じません。とにかく舞台ですべてを解放して存分に踊りきっています。
Q:自分はバレエで生きていく、と決心したターニングポイントのようなことはあったのでしょうか?
OS:バレリーナになりたい、という気持ちは、ワガノワ・バレエ学校時代からありました。しかし、実際に生活をバレエに捧げようという気持ち、自分はこの道を進むんだという覚悟は、卒業が近くなったころに強くなってきたと思います。また、バレリーナとして生きる、主役を踊りきるという気持ちは、舞台にたち実際に物語を主導していくことが多くなればなるほど踊ることに魅了され、バレリーナであるという自覚と意思、バレリーナへの思いは高まっているように感じます。
Q:素敵な舞台をなさるために心のためのトレーニング、身体のためのトレーニング、力を入れていることはありますか?
OS:特にクラシック・バレエは、ひとつの決められた動きを順番になぞっていく、というのが基本ですが、それだけでは面白くありませんし、芸術であるとはいえません。役が心に入り、動きが身体に入り、初めて“踊り”=“舞台”になるのだと思います。何回も踊っているバレエで、役も動きも見についたと思うような時でも、いつも何か足りないと感じていますし、さらに良い何かはないか・・・と渇望しています。バレエには踊りの他に、マイム、目や動きでの表現も、物語のとても大事な要素になりますので、常に何かを求めています。
Q:孤独に強い性格なのではないでしょうか?舞台で踊る時の心境に若い時から変化はありますか?
OS:ボリショイ劇場は幸いなことに多彩なレパートリーがあります。クラシック・バレエ作品の他に、ノイマイヤー、クランコ、バランシンなどが加わり、活気に満ちています。ですから、作品が変わるたびに気持ちを切り替えられるということは幸せですね。ずっと思い悩み、そこで立ち止まっていることは実際にはできないんです。最近舞台で踊る時は、ますます集中力が増しているように思います。以前は舞台袖で何が行われているか、ということが気になってしまう・・・ということがあったのですが、今はまったく違います。舞台にいる時に感じているのは「自分自身」「パートナーのこと」そして「音楽」だけです。
Q:今、最も気に入っている役柄は何ですか?
OS:一番最近踊ったノイマイヤーの「椿姫」ですね。 本番は光のようにあっという間に終わってしまいましたが、ノイマイヤー氏のリハーサルのプロセスが、本当に充実していて楽しかったです。ノイマイヤー氏はいろいろなことを教えてくれたのですが、朝から晩まで自分の役に没頭していました。いつも音楽が頭の中にあって、浸りきっていました。
Q:音楽も素晴らしいですよね?
OS:はい。今となっては、他の音楽をあてはめることなど想像できません。このバレエのために作られたのではないか、と思うほどです。
Q:「ラ・バヤデール」に話を戻しますと…昨日素晴らしい舞台を披露してくださったパートナーのチュージンさんの魅力をお話いただけますか?
OS:一番の魅力は、信頼できる人、であるということです。とても勤勉で、朝から晩までリハーサル室にいると言っても良いのではないでしょうか?背も高く、プロポーションは完璧ですし、テクニックも素晴らしいですが、いつもリハーサル室ではヴェトロフ先生に、これはどうしたら良いか、どこを直したら良いか?ということを問いかけているのです。常に高みを目指しているダンサーです。
Q:ご自身の強み、チャームポイントは何だと思われますか?
OS:難しい質問ですね・・・。私は、ただ身体を動かすだけの踊りは面白くない、意味がないとさえと考えています。踊りにまず自分の心、自分の考えを入れたいと思っています。それが、私の踊りを特徴づけているのではないかと思います。
Q:演劇性、ドラマティックなものに興味があるように思いますが、いかがでしょうか?
OS:そうですね。役に心を入れられる、物語性があるものに惹かれます。
Q:スミルノワさんにとってのアイドル、尊敬する憧れのバレリーナは誰でしょうか?
OS:ディアナ・ヴィシニョーワさんです。肉体もテクニックも表現も素晴らしいと思っています。そしてすでにロシアや各地で称賛されたバレリーナであるにも関わらず、常に進化し続けています。いつまでも新しいものを求め、探究心を失わないところを尊敬しています。
Q:ヴィシニョーワさんはコンテンポラリー作品をたくさん踊っていますが、スミルノワさんも興味があるのでしょうか?
OS:彼女もバレエ学校を卒業した時からコンテンポラリー作品をたくさん踊っていたわけではありません。まずクラシック・バレエをたくさん踊り、徐々にモダン作品を踊るようになってきたのです。私もいつか・・・という思いはありますが。。。
Q:ワガノワ・バレエ学校ではコワリョーワ先生の指導を受けていらっしゃいましたが、今もレッスンを受けているのでしょうか?
OS:モスクワとペテルブルグは離れているので、しょっちゅうお会いすることはできませんが、先日も「椿姫」を踊った際にわざわざ駆けつけてくださって・・・嬉しかったです。ペテルブルグが本当に懐かしいです。モスクワは私には大都市すぎて、少し疲れてしまうんです。
Q:モスクワでの生活はストレスが多いと思いますが、気分転換にどのようなことをなさっていますか?
OS:なかなかできないのですが、ダンサーとしても大切にしているのは、ぐっすり眠ること、サウナに行くことです。
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ボリショイ・バレエ
《白鳥の湖》 会場:Bunkamura オーチャードホール
□11月20日(木) 19:00
□11月24日(月・休) 17:00
□11月26日(水) 13:00/19:00
《ラ・バヤデール》 会場:東京文化会館
□12月3日(水) 18:30
□12月4日(木) 12:00/18:30
《ドン・キホーテ》 会場:東京文化会館
□12月6日(土) 12:30/18:30
□12月7日(日) 14:00
▼公演の詳細はこちら▼
https://www.japanarts.co.jp/bolshoi2014/index.html