2015/4/14

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【インタビュー】ミヒャエル・ザンデルリンク(ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者) 

『私にとって指揮台に立つことは挑戦です。期待してくださる人たちに対して、応えることこそが挑戦なのです』

 2013年6月、ドレスデン・フィルの首席指揮者として初の日本ツアーで大成功を収めました。そのツアーで、マエストロが感じられた新しい手ごたえや発見などがありましたらお聞かせください。
初日から最終日まで、とても楽しく充実したツアーでした。日本のお客様に歓待されていることもわかり、大変嬉しく思います。私たちの気持ちと感情を伝える音楽を届けられ、高く評価していただけたと思っています。
 何を演奏するにしても、取り組んでいく努力に終わりはありません。2013年に演奏した曲を、2015年6月に再び披露するコンサートもありますが、聴いてくださる人々に新しさをお届けできると確信しています。間隔を開けてまた外側から見てもらうことにより、何か新しい発見をしていただけるようにも思います。私たちオーケストラは、1シーズンに35の異なるプログラムを演奏しています。少し前にはバルトークやプロコフィエフなど20世紀の音楽を中心に演奏しました。35種類もの新しいプログラムを経験した上で、再び日本の皆さんにべートーヴェンやブラームスなど馴染みある音楽をお届けできると思っています。

 初来日公演以降、ドレスデン・フィルのオーケストラ・メンバーの演奏や取組みに、何か変化をお感じでしょうか。また、どのような変化だったかお話いただけますか。
 2013年から14年にかけて2、3人の新しいメンバーが加わりました。あいにく、私たちドレスデン・フィルは自分たちの為のホールがない状況ですが、逆を言えば、毎週違う場所で演奏し、ツアーに出かけそれぞれのすばらしいホールで演奏できることに喜びを感じています。日本の素晴らしいホールで演奏できることも大きな喜びです。

 2013年の来日前のインタビューで、“ドレスデン・フィルは「伝統的」という意味においてドイツの最も古いオーケストラのひとつに数えられ、深い「ドレスデン・サウンド」と呼ばれるドイツ特有の音を基本に持っている”とお話いただきました。今回も日本のお客様はそのドレスデン・サウンドを期待しているとことでしょう。その特有の音を保つために、マエストロはどのようにオーケストラと向き合い、音作りを心がけていらっしゃいますか。
 「特別な音」といっても、言葉で表現することは難しいのですが・・・・。
私たちの音楽を聴いてくださる人は誰もが「特別な音」と言ってくださいますが、はっきりと「こういう音」と、言い表すことは難しいことです。
 指揮者として、その音を保っていくのは大切なことですが、私は、その基礎となるものは、とても深く、品のあるものでありたいと思っています。私が就任してからのオーケストラは、私の指揮を通じてこのことを学んでくれたと思います。それぞれのエポック(画期的な出来事)というのでしょうか。演奏する全部がドレスデン・フィルの音というのではなく、例えばベートーヴェンやバルトークなど、世代にあったそれぞれの音楽を届けられるように務めています。

マエストロにとって、ベートーヴェンとはどのような作曲家ですか? 
 ベートーヴェンは、交響曲の形式を今日あるように発展させた人です。4楽章を通じて、社会を反映させ、個人の感情を伝えるために用いた手段は革命的だと思います。演奏するときに、スコアを見て、たとえばロマン派を印象派的にするように、歴史的なサウンドを意義あるものにして行きたいと思っています。

 マエストロとオーケストラは、どのような関係を築いていると思われますか?
 メニューインの言葉で、「音楽は言葉をやめたことから始まる」というものがあります。
現在、オーケストラと私の状態は、ステージに立ったとき、その瞬間にその作品を自分たちが体験し、お互いにステージの上でインスピレーションを出し合っています。演奏者から指揮者がもらうものも沢山あります。技術、アゴーギク、ドラマトォロギー、リズム・・・すべてにインスピレーションが生まれるのです。お互いが一つになっていきます。私の音楽に対する考えを、オーケストラが理解してくれている、とても喜ばしいことです。

 客演指揮者としての演奏と、自身のオーケストラとの違いはどのようなものでしょうか?
 私はいつでも、瞬間、瞬間を大切にしています。オーケストラと指揮者との間に共通言語を持っていることが大切と思っています。その共通言語を早く見つけてくれる楽団と、なかなか見つけてくれない楽団もいます。自分たちの言葉で自分たちの気持ちを表現することを、首席指揮者だけでなくオーケストラも心がけてくれることが大切と思っています。 私にとって指揮台に立つことは挑戦です。期待してくださる人たちに対して、応えることこそが挑戦なのです。


古都ドレスデンが誇る名門楽団の、伝統が生む特別な響き
ザンデルリンク 指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

2015年7月6日(月) 19時開演 サントリーホール

オール・ベートーヴェン・プログラム
「フィデリオ」序曲
ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」(ピアノ:清水和音)
交響曲 第7番
公演の詳細はこちらから

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