2015/10/26

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ユンディ・リ来日公演にむけて

 2000年の第14回ショパン国際ピアノコンクール。当時まだ世に知られていなかったユンディが、中国人として初めて最年少の18歳でその頂点に輝き、スターダムに躍り出た。あれから15年。彼に憧れてピアノを始めた子供たちの世代がピアニストとして活躍するようになったのだから、時の流れを感じるものだ。
当のユンディは今年、今度は審査員という立場で久しぶりに同コンクールの会場に戻った。その第17回のコンクールで頂点に輝いたのは、韓国から初の優勝者となったチョ・ソンジン。ユンディも彼を高く評価しており、すでに公開されている採点表からは、未来を担う同じアジア出身の若者への素直な期待が感じられる。


<ショパン国際ピアノ・コンクールで審査をしているユンディ・リ(オフィシャルFacebookより)>

 さて、今年はユンディにとって「ショパン・イヤー」なのだそうだ。来日リサイタルはオール・ショパン。バラード4曲と「24のプレリュード」というプログラムには、ショパンへのトリビュートの意味が込められているという。
 なかでも「24のプレリュード」でいかなる世界を描き出してくれるのかは興味深い。ユンディはこの作品について、「ショパンの作品の中で最も美しい。短いひとつひとつの曲の中にショパンのキャラクターが表れている。全曲がそれぞれ異なる性格、色、感情と音色を持ち、24曲でひとつの世界をつくっている」と語る。ショパンの内面を描き出す、豊かな物語性を持った作品。15年で、「ショパンへの理解やアイデアは育ち、発展している」というから、彼が今、どんな気持ちでショパンに向き合っているのかを確かめるのには最適な曲目といえるだろう。

 ショパンだけが課題曲となるショパン国際ピアノコンクールでは、ユンディが今回演奏するバラードやプレリュードも幾度となく演奏された。ユンディも、翌月自分が日本で弾くレパートリーを、若いピアニストの演奏で何度も聴いたことになる。
 5年前、同コンクールで審査員を務めていたマルタ・アルゲリッチが、個性豊かなコンテスタントの演奏から大きなインスピレーションを受けたと語っていて、彼女のような大ピアニストでも若者の演奏に影響を受けることがあるのかと感じたことがあった。そこでユンディにも、コンクール中、何か刺激を受けることがあったか聞いてみた。そして返ってきたのは、「どんな刺激を受けたか、その変化は、ぜひ、実際の僕の演奏を聴いて感じてみてほしい」というコメント。
 ショパンコンクールに最年少審査員として招かれた経験にはとても大きな意味があったと、ユンディは振り返る。来日公演がコンクールのすぐ後の11月になっているのも、なにかのめぐりあわせだろう。ショパンへの想いをぶつける若い演奏を聴いた直後のユンディは、どんな音楽を披露してくれるだろうか。

高坂 はる香(音楽ライター)

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ユンディ・リ ショパンを弾く

<<協奏曲の夕べ>>
2015年11月11日(水) 19時開演 サントリーホール

<<リサイタル>>
2015年11月16日(月) 19時開演 東京オペラシティ コンサートホール
2015年11月20日(金) 19時開演 サントリーホール

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