2015/11/26

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ダンサーインタビュー「ジュエルズ」について(マリインスキー・バレエ)

11月25日「ジュエルズ」のリハーサルの休憩中に“エメラルド”に出演するセルゲーエフと、“ルビー”に出演するキミン・キムにお話を伺いました。

アレクサンドル・セルゲーエフ
『ジュエルズ』ではフォーレの音楽に合わせてパーフェクトなパートを踊ったアレクサンドル・セルゲーエフ。貴公子的な雰囲気の持ち主で、跳躍もステップも息をのむほど美しい。パーフェクトなテクニックと、振付の奥に秘められた「宝物」を引き出す才能に恵まれている。語り口もとても落ち着いていて、知的な雰囲気だ。

―素晴らしい「エメラルド」でした。この難しさはどこにありますか?
「まず、バランシンはこのバレエで三つの異なるリズムと性格をもった音楽を選び、全くスタイルの違うバレエを作り上げました。動きもディテールもそれぞれ大変個性的です。実は、私は「エメラルド」より「ルビー」を踊ることが多いのですが、「ルビー」がとてもスタイリッシュで難しそうに見えるのに対して、「エメラルド」は誰でも踊れるような簡単なバレエに見えます。でも、「エメラルド」のほうが難しいんです。「ルビー」よりも、すべてがきっちり決められていて、自分勝手はひとつも許されない」

―とても優雅な踊りで、観ていて夢の世界にいるような気分になります。

「とても複雑なシークエンスから成り立っているんですよ。男性ダンサーと女性ダンサーの関わり方も細かく、リハーサルを繰り返して作り上げていきます。ロマンティックに見えるようにするために、実は大変な努力を要するバレエなんです」

―なるほど。『ロミオとジュリエット』ではマーキュシオを踊られますね。マーキュシオがティボルトの剣で死ぬシーンは、すごい緊張感に満ちています。
「私はロミオも踊るんですよ。マーキュシオはものすごく前に…10年ほど前から練習を始めました。ワガノワ・バレエ・アカデミーでは『舞台演技』という授業があって、私の父が先生でした。ものすごくきめ細やかな役作りをしましたし、そのあとにイーゴリ・ペトロフ先生とも一秒ごとに作りあげていきました。私のダンサーとしての蓄積も現れますが、マリインスキー・バレエが脈々と継承してきたマーキュシオというものがあり、この役を踊るダンサーは皆がそれを模範としているのです。死のシーンはリハーサルはしていないのですが、そこで自分が何をやるべきかはつねに考えています」

キミン・キム
ストラヴィンスキーの音楽に合わせて、『ジュエルズ』の快活な「ルビー」を踊ったキミン・キム。3年前の来日の時より顔立ちがシャープになり、精悍な雰囲気が出てきた。踊り終えた直後に、感想をたずねてみた。

―「ルビー」はとてもパワフルで、複雑な振付ですね。これを覚えるのは大変ではなかったですか?
「最初は覚えるのに必死でしたが、今では大好きなバレエです。ストラヴィンスキーは不思議な作曲家で、聴けば聴くほど好きになるのです」

―ダンサーとシンクロしていくような動きも特徴的です。合わせるコツなどはあるのでしょうか?
「この振付に共通しているスタイルを理解することが大切です。スタイルを把握していれば、動きが少しばかり違っていても同じに見えるんです。それを会得することが大切だと思います」

―バランシンのバレエは、キミンさんが踊る『白鳥の湖』や今回の他の演目と異なり、物語がないバレエです。
「大好きな振付家です。音楽と完全に一体化していて…バランシンは動きがとても『美味しい』感じです!」

取材:小田島久恵(音楽ライター)

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東京公演開幕!!
世界のバレエの至宝。ロシア芸術の都サンクトペテルブルグの高貴な華
マリインスキー・バレエ<キーロフ・バレエ>
2015年来日公演

詳細はこちらから

「ジュエルズ」
 11月26日(木) 18:30 文京シビックホール大ホール
「愛の伝説」
 11月27日(金) 18:30 東京文化会館
 11月28日(土) 13:00 東京文化会館
「ロミオとジュリエット」
 11月30日(月) 18:30 東京文化会館
 12月1日(火) 18:30 東京文化会館
 12月2日(水) 13:00 東京文化会館(平日マチネ公演)
「白鳥の湖」
 12月4日(金) 18:30 東京文化会館
 12月5日(土) 12:30 東京文化会館
 12月5日(土) 18:30 東京文化会館
 12月6日(日) 13:00 東京文化会館

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