2015/11/26

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11/23マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」びわ湖公演レポート

 マリインスキー・バレエといえば、一番に思い浮かぶのは、私のなかではやっぱり「白鳥の湖」。「白鳥──」はモスクワのボリショイで初演されたとはいうものの、現在私たちが通常観る機会の多いのものは、このマリインスキーで創られたマリウス・プティパ、レフ・イワノフの版が元になっている場合がほとんど。そして、それを大切に受け継いで現代の私たちに観せてくれるのがマリインスキー・バレエ。それを今回観て再認識した。

 11月23日(月・祝)、滋賀県のびわ湖ホールでの舞台、この日のオデット&オディールはオクサーナ・スコーリク、ジークフリート王子は英国ロイヤルから移籍したザンダー・パリッシュ。オデットとオディールを両方演じるバレリーナを観ると、いつもどちらか片方が似合うな、という感想を持つことが多いのだが、スコーリクは、まるで別人のように、どちらも満足いく表現を観せてくれた。2幕、登場したオデットは弱い小動物のよう。美しく折れそうに細い手脚をたおやかに使って、このまま本当に空に舞い上がってしまうのではないかと思わせるような詩情のある踊り。脚の使い方も、床の使い方を含めてとても丁寧。正確な基礎に基づいた踊りであることを実感した。そして一方、オディールは、気品を持った上でシャープで現代的。高めのパッセ、フェッテ・アントゥールナンも速くて鮮やか。
 王子のパリッシュは、育ちが良く上品な王子だということが立っているだけでも伝わってくるのが、まず良い。そして、もちろん正確なパ、一幕一場最後の王子のソロでは空中での形がとても美しく眼に残った。また、舞踏会の場面のグラン・パ・ド・ドゥでは、無邪気な喜びが客席に自然に伝わり、足の甲もとても美しく魅入った。

 そしてとにかく、白鳥たちのコール・ド・バレエ。手脚が長く頭の小さな理想的なスタイルの白鳥たちが整然と並んで踊る2幕は、もう、このバレエ団の宝物なのではないかと思う。一人ひとりのバレリーナがそれぞれピュアな存在であることが感じられ、崇高な美しさに息を呑んだ。

菘 あつこ(すずな あつこ)[舞踊ジャーナリスト]

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東京公演開幕!!
世界のバレエの至宝。ロシア芸術の都サンクトペテルブルグの高貴な華
マリインスキー・バレエ<キーロフ・バレエ>
2015年来日公演

詳細はこちらから

「愛の伝説」
 11月27日(金) 18:30 東京文化会館
 11月28日(土) 13:00 東京文化会館
「ロミオとジュリエット」
 11月30日(月) 18:30 東京文化会館
 12月1日(火) 18:30 東京文化会館
 12月2日(水) 13:00 東京文化会館(平日マチネ公演)
「白鳥の湖」
 12月4日(金) 18:30 東京文化会館
 12月5日(土) 12:30 東京文化会館
 12月5日(土) 18:30 東京文化会館
 12月6日(日) 13:00 東京文化会館

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