2015/10/7

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鈴木優人 ジョワ・ド・ヴィーヴル-生きる喜び

東京芸術劇場開館25周年記念コンサート
ジョワ・ド・ヴィーヴル-生きる喜び
2015年11月1日に演奏する「挑戦的で大胆な14曲」を、ご紹介していきます!

◆【鈴木優人:アポカリプシスII】

ジョワドヴィーヴル 祈り編は、僭越ながら自分の作品で始めることにしました。
大学院在籍中の2006年にペーター・コーイ氏に委嘱して頂き、声楽アンサンブル Sette Vociによってワイマールの音楽祭で初演されたアポカリプシス?です。
初演のコンサートでは、J.S.バッハのモテットに挟まれていました。アポカリプシス?は前後半に分かれていますので、その間に休憩が置かれました。ちょうど曲が終わった時、会場だった教会の鐘がゆったりと鳴り出し感動的な静寂が訪れたのをよく覚えています。光栄なことに、いまは亡き巨匠グスタフ・レオンハルト氏も初演に立ち会って下さり、(こういう現代的な響きは好まれないだろうな・・・)という予想に反して非常に興味を持ってくださったのは、今となってはかけがえのない思い出です。歌詞は、聖書の一番最後に置かれた謎の書物「黙示録(=アポカリプシス)」の一部です。8人のアカペラ合唱によってラテン語で歌われます。配置についても作曲家(昔の私)の指定があり、二重合唱としてではなく通常とは一風変わった立ち方になっています。今回は前半部分のみを演奏します。ちなみにこのアポカリプシス「I」は東京芸大在学中に学内演奏会という試験のために書かれました。その後、黙示録の様々な場所を題材に「?」まで来ています。編成は各曲で異なり、例えば?は自由な4つの楽器のための作品です。

◆【グリニー?来たれ創造主なる神】

「祈り」編の2曲目は、東京芸術劇場のパイプオルガンが鳴り響きます。フランスのバロック音楽の中で、ひときわ輝くのは惜しくも31歳で夭折した17世紀の天才作曲家ニコラ・ド・グリニー!シャルトルのオルガンコンクールでも見事優勝した誇るべき後輩、石丸由佳さんが演奏します。オルガン作品は基本的に音色の指示がありません。どのように石丸さんが芸劇のオルガンからフランスバロックの響きを作り出すか、私も興味津々です。今回の「祈り」では、世界で唯一の回転するパイプオルガンの3種類全てを聴くことができます!長い歴史を刻むパイプオルガンの様々な音色を是非楽しんで頂ければと思います。

◆【マショー:善き羊飼い】

11/1のジョワドヴィーヴル@東京芸術劇場において最も古いレパートリーはフランスの14世紀の作曲家ギョーム・ド・マショーです。シャンパンの製造で有名なシャンパーニュ地方のランス出身です。彼は「アルス・ノーヴァ」と呼ばれる新しい作曲技法を作り出した第一人者として音楽史上でも大変有名な存在です。がしかし!なにしろバッハ・コレギウム・ジャパンが普段取り上げるバッハより400年古いのです。実演を聴く機会は滅多にありません。このアルス・ノーヴァでは、リズムの細分化が進み、「イソリズム」と呼ばれる反復するリズムの上に実に複雑な対位法が形成されます。これは実に、ケージやメシアンなど20世紀のいわゆる「現代音楽」でも多用される手法なのです。世界は、じゃなかった時空は狭いですね!今回のジョワドヴィーヴル はこういった音楽史上の縦糸と横糸をつなぐ、いろいろな仕掛けが施されています。ぜひ連載を読んで、あれこれ想像してみてください!

◆【リゲティ:クレ】

11/1のジョワドヴィーヴル4曲目。オルガンはいつの間にか回転しており、石丸由佳さんが今度は「モダン面」を演奏します。作品は20世紀の巨人ジェルジ・リゲティがパイプオルガンのために書いためくるめく音楽。これも滅多に実演を耳にすることはありません。その理由は単純。「難しいから」です。リゲティはオルガンのために3つの作品を残しました。そのうちの一つであるこの曲には、ピアノのための練習曲集と遜色ない技術が求められています。まるで万華鏡を高速で回したように和音が移り変わってゆく様はまさに圧巻!この曲のタイトルは「流れでたもの」といった意味があります。テンポはPRESTISSIMO(ものすごく速く)と指示され、音色は「常軌を逸し、焦って、虚ろな」ものを選ぶよう作曲家自ら語っています。
音源はこちら 

東京芸術劇場ジョワドヴィーヴル全プログラムの中で「最も異常な作品」といえば、この作品でしょう。パイプオルガンの限界をはるか通り越し、エネルギーがほとばしる「クレ」は、短いながらも心に強い印象を残すに違いありません。

◆【ペルト:主よ平和を与えたまえ】

11/1のジョワドヴィーヴル「祈り」編第5曲目はエストニアの作曲家アルヴォ・ペルトによる「主よ平和を与えたまえ」です。この作品はガンバ奏者で指揮者のジョルディ・サヴァールの委嘱で書かれました。この作品は2004年に起きたマドリード駅での爆破事件の直後に書き始められ、その犠牲者に捧げられています。「ほとんど動きがないのに、どうしようもなくその世界観に連れ去られる」とNYタイムズが評した名曲は、まさにリゲティと好対照をなすでしょう。アカペラ音楽の作曲家としてアルヴォ・ペルトは大変有名ですが、バッハ・コレギウム・ジャパンが歌うのは初めてのことです。今回の企画がなければ生まれなかったこの出会い、楽しみでなりません!

◆【バッハ:私はあなたを離しません】

11/1(日) ジョワドヴィーヴル「祈り」6曲目は、バッハ・コレギウム・ジャパンの本領発揮であるバッハのモテットです!この美しいモテットは、実はJ.S.バッハの父の従兄弟であるヨハン・クリストフ・バッハの手によるものではないか、と疑われてきました。そのため作品目録からも外されてしまい、作品番号も「付録に収録」という意味で「Anhang」159となっています。しかし最近ではメラメッドの研究などにより、一部別な人の手による可能性を残しつつも、J.S.バッハのものであると認める研究者がほとんどです。私自身もまず間違いなくそうだと思います。さて信憑性についてはさておき、この作品は、今回のジョワドヴィーヴル の中で唯一「二重合唱」と呼ばれる、2つの合唱隊が呼び交わすような編成の作品です。教会では離れたバルコニーから交唱するなど、古くより多く用いられた基本的な書法の一つです。最初は完全に独立した二つの合唱群ですが、歌い進むにつれ一体感を増してゆき、最後のフーガでは完全にユニゾンになってしまうグラデーションは見事!作曲家を目指す過程で必ず通る勉強科目「二重合唱」でも、またもやバッハは模範的なお手本にしてやられます。

◆【アラン:連祷】

11月1日(日)のジョワドヴィーヴル15時開演の「祈り」は1時間ほどの公演ですが、大きく4つのセクションにわかれています。その3つめの部分の中心にあるのが、アランの「連祷」です。作曲家のジュアン・アランは、著名なオルガニスト マリー・クレール・アランの兄です。第二次大戦に従軍、29歳の若さでドイツ軍に殺されました。「信じられないような生命力」を持つ彼が、死ぬまでに3人の子供と150曲余の作品を残してくれたことは幸いと言う他ありません。連祷=リタニーとはカトリックなどの礼拝における祈りの形で、司祭が唱える嘆願の祈りに対して会衆が「われらをあわれみ給え」といった定型文で応唱するものです。アランの作品も、冒頭のモチーフが繰り返し用いられることで、オルガン1台の中に力強い交唱を生み出しています。殺される3年前に書かれたこの作品自体も、実はもう一人の妹がアルプス山中で遭難したことを嘆いて書かれました。序文に「理性には限界がある。魂の昇天に達するのは信じる心のみだ」と書いたアランの信念と信仰の強さは、最初のテーマだけですぐに感じられるはずです。どんなに優れた感性、技術、生命力を持った作曲家も、銃口の前では一人の人間。ジュアン・アランが残した最後の叫びである「連祷」にみなぎる力強さを聴くたびに、平和は「あるもの」ではなく「作り続けるもの」だ、ということを感じます。ぜひどなたにも聴いて頂きたい名作です。

◆【モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス】

「祈り」の8曲目、モーツァルトが亡くなる半年前に書いたシンプルな4声体の作品は、たった3分ほどの長さですが、それでいて最も影響力のあるモーツァルトの作品の一つです。「祈り」の作品群の中でも核をなす存在です。バッハ・コレギウム・ジャパンは昨年モーツァルトの「レクイエム」をリリースしました。この補筆校訂をしていたときに大きく参考にした作品でもあります。実はバッハ・コレギウム・ジャパンは一度だけこの作品を歌ったことがあります。それはなんとN. アルノンクール氏の指揮によるものでした。サントリー 佐治敬三氏の命日に、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のブルックナーの演奏に先立ってこの歌を歌ったのです。ジョワドヴィーヴル 「祈り」編は、東京芸術劇場の正面にそびえ立つパイプオルガンと舞台上のバッハ・コレギウム・ジャパン合唱団が歌い交わしつつ進んでゆきますが、この曲でついに両者は一体となり、会場を包みこみます。パイプオルガンの32フィートという最低音域のパイプの響きに包み込まれる、あの独特の感覚は録音物では容易に味わうことができません。共鳴体を作るには10メートルあまりの筒が必要なのです。人間の声とオルガンが作る奇跡がこの曲にはあります。

◆【スウェーリンク:涙のパヴァーヌ】

知られざる東京芸術劇場の宝物の一つが、3つのスタイルのオルガンを持つ回転式パイプオルガンに隠された「ルネサンス面」です。なかなか普段の演奏会では使われていませんが、実は世界に誇る存在です。このルネサンス部分は、なんと歴史的なオルガンに倣って高いピッチ(今のシ♭=ラ)しかもよく使う三度が純正に美しく響く「ミーントーン」に調律されています。世界広しといえどもコンサートホールにミーントーンのオルガンがあるのは東京・池袋だけでしょう。よく使う調がいわば“差別的に”美しく響くミーントーン調律では、どんな曲でも弾けるわけではありません。その中で最適のレパートリーの一つが、オランダの巨匠にして全てのオルガン音楽の礎とも言える、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンクの作品です。もともとイギリスの作曲家ジョン・ダウランドによる「リュート・ソング」つまり弾き語りのような作品として生まれました。しかし、その美しいメロディの持つメランコリーが余りにも人の心をとらえたため、その後ヨーロッパ中で多くの編曲が生まれたのです。今日パーヴォ・ヤルヴィさんも「人生は単純ではない」と語っていました。そういった人生の機微を包み込むルネサンスのメランコリーのさまざまな色合いを駆使した、もっとも情緒的で繊細なオルガンの作品の一つ、それが「涙のパヴァーヌ」です。

◆【ラング:愛は強いから】

ジョワドヴィーヴル「斬新で挑戦的な14曲」のうち最も新しい声楽曲がアメリカの作曲家デイヴィッド・ラング(58)による「愛は強いから」です。7年前にアルス・ノーヴァのために書かれ、ポール・ヒリヤーによって初演されました。なんだか軽いラブソングのような題名ですが、実は違います。ここには「愛は『死のように』強いから」という比喩が隠されているのです。しかも原文においてそれに続くフレーズは「妬みは『墓のように』残酷だから」いったいどういう歌詞なのでしょうか。旧約聖書をめくっていくと衝撃を受ける、官能的に男女の関係を歌いあげた「雅歌」が原文です。「?のように」という比喩が多用されているこの書物の比喩部分だけを作曲家が抜き出したのがこの曲の歌詞です。従って全てのフレーズが ‘like?’ と始まっています。ワインのような…油のような…女性のような…鳩のような…たくさんの比喩=メタファーが雲のような(これもメタファー^^)
和音で次々と湧いてくる背後に、アルトとバスのソロがオクターブで「愛は強いから」という言葉をロングトーンで歌い、ゆるぎなく曲を支えます。作曲家も序文に書いているように「見えるもの、触れるもの、知っているものと比較することで、見たり触れたり知ったりできないものへ導く」のが比喩。その見えるものだけを取り出すことで聴き手の想像力はかきたてられ、かえって真実に近づく。そういう壮大な作品です。

◆【バッハ:我ら苦難の極みにあるときも】

2分ばかりのコラールを静かに聴きながらジョワドヴィーヴル の「祈り」を閉じることにしましょう。元となったコラールは16世紀ドイツの神学者パウル・エーベルの詩によるもので、バッハはこれに少なくとも3つのオルガン作品を残しています。このタイトルの続きは次のような歌詞です。ちょっと訳してみますと…「我ら苦難の極みにあるときも、逃れる道もなく、助けも助言も得られず、昼も夜も悩むときも、おお誠の御神よ、その不安と苦しみからの救いを求めて、汝に捧げる祈りこそ我らの慰め」
この曲は東日本大震災の年、私のテーマとして何度も弾き続けた曲です。あの年、日本は本当に団結し苦難に立ち向かっていました。私たち音楽家も微力ながらロビーに立って義捐金を集めたりして、これからの日本のために何ができるか一生懸命考えていました。日本は前向きに進んでいる反面、解決されていない問題はまだまだあるでしょう。どのような困難がこれからやってきてもあの時の気持ちを忘れないための「祈り」、これからの日本を担う小さな一人としての決意を込めて、この作品を最後に置くことにしました。最後はト長調の優しい響きでジョワドヴィーヴル 第一部「祈り」は終わり、第二部「希望」(吹奏楽編)につながっていきます。ところで、この「ト長調の響き」に隠された秘密があるのですが、これはまた全編終わった時に明かすことにしましょう。

東京芸術劇場開館25周年記念コンサート ジョワ・ド・ヴィーヴル-生きる喜び
2015年11月1日に演奏する第2部「希望と愛」の作品を、ご紹介していきます!

◆【小出稚子:玉虫ノスタルジア】

ジョワドヴィーヴル 後半は第2部「希望」と第3部「愛」が合わせて一つの演奏会になっています。「希望」編は、東京芸術劇場が昨年創設した芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミーが登場!次世代の音楽を(たぶん)奏でます。「希望」編の第1曲は、新進気鋭の作曲家 小出稚子による吹奏楽のための「玉虫ノスタルジア」。2010年に宍粟市立一宮北中学校の委嘱で作曲されました。2011年アムステルダム・コンポーザーズフェスティバルでのオランダ初演に私も指揮で参加した作品です。今回は芸劇ウインドのために新しく書き直された「バリトンサックス版」世界初演!彼女の作風として多彩な打楽器の用法とユニークな特殊奏法が挙げられます。楽器本来の奏法以外のまさに「特殊」な音色を模索する特殊奏法、さてこの曲ではどうでしょうか?こういった特殊奏法が全体の音響に可愛らしさを加え、なんとも居心地の良い空間が作り出されます。彼女がオランダ在住時に結成したアンサンブルはその名も「スケベニンゲン」(うちの近く)。ユーモアも好奇心もたっぷりな若さあふれる音楽をお楽しみください!


◆【ストラヴィンスキー:火の鳥】

11月1日(日) 東京芸術劇場のジョワドヴィーヴル は、ミニチュア的な「祈り」に始まり、終わりに向かうにつれぐいぐい巨大な作品が現れます。第2部「希望」の後半は、壮大なバレエ音楽「火の鳥」吹奏楽版です。この作品はディアギレフのバレエとして1910年に書かれました。そしてそれを元にした組曲が1911年版、1919年版、1945年版と3種類作られています。作曲者自身も細かく楽器編成を替えながら再演していました。長生きの作曲家は版が複雑ですね(笑)。今回の譜面は、1919年版組曲を元にランディ・アールズがブラスに編曲したもので、イーストマン・ウインドアンサンブルを創設したフレデリック・フェネルも携わっています。弦のハーモニクスをピッコロと口笛(!)で吹かせるなど面白い工夫も見られます。手塚治虫の漫画でも有名な火の鳥。実は世界中にたくさんの民話があります。ストラヴィンスキーの台本はカッコいいイワン王子が主人公。「火の鳥」を追い詰めたものの命だけは助けた優しいイワン、「13人の王女たち」の美しい踊りに思わず一目惚れしてしまいます。魔王カスチェイの怒りを買ったイワンを火の鳥が助けに現れます。魔王は踊らされ、眠らされ、そうこうするうちに魔力の源である魔法の卵をイワンが破壊してしまいます。囚われ王女たちも解放され、最後は水戸黄門も真っ青の大団円。まさに希望をもって幕となります。

◆【メシアン:トゥーランガリーラ】
11/1ジョワドヴィーヴルを象徴する作品であり、世界遺産として受け継がれていくべき作品がこの10楽章の交響曲です。1946年メシアン38歳の時に書かれ、東京芸術劇場が生まれた1990年に改訂出版されました。編成は、木管楽器3本ずつ、ホルンは4本、トランペット5本、トロンボーン3本とチューバ、打楽器は13種8人、さらに鍵盤つきグロッケンシュピール、チェレスタ、ヴィヴラフォン、そしてピアノのソロ、オンドマルトノのソロが入るという非常に巨大なものです。題名はサンスクリット語の「トゥーランガ=時、リズム」と「リーラ=愛」からなり「愛の歌」を意味します。初演はボストン交響楽団、指揮はバーンスタイン、ピアノはメシアンの妻イヴォンヌ・ロリオ、オンドマルトノは開発者の妹であるジネット・マルトノでした。さてそれでは各楽章を簡潔に見ていきましょう。この10楽章は「一つの完全な」存在であり「中断なく演奏すること」と作曲家自身が書いています。どうしても指揮者が休憩を置きたい場合は「第5楽章の後で」と指示がありますが、ちょっと嫌々書いている感じです。

1. 序章 印象的な弦のユニゾンによって「愛の歌」は始まります。この冒頭が好きすぎた中学時代の私は、自作の着メロを愛用していました(余談)。程なく聴こえるトロンボーンの第一循環主題とクラリネットの第二主題は全曲を通して聴き手の拠り所になります。

2. 愛の歌1 「愛の歌」という楽章は2つあり、こちらはフランス語の題名です。一つ目のこちらは一貫して爆発的なエネルギーが支配。かと思うと突如官能的な弦楽器とオンドマルトノが背筋をスーッと撫でてくるのでたまりません。最後は一気に駆け下りてドン!

3. トゥーランガリーラ1 タイトルと同じ名前の楽章が3つあり、どれも室内楽的で親密な音楽になっています。クラリネットとオンドマルトノの対話に続いて、ピアノやチェレスタなどたくさんの鍵盤楽器が一斉に音を奏でるエキゾチックな音響は最高です。

4. 愛の歌2 ユーモラスな冒頭のピッコロとバスーンのユニゾンといい、のちのトゥッティで波のように押し寄せる圧倒的なクライマックスといい、優れたオルガニストでもあったメシアンの色彩あふれる楽器法が素晴らしい楽章です。循環主題が順に聞こえてきます。

5. 星たちの血の喜び まさに「歓喜」に満ちた楽章。16分の3拍子、変ニ長調で書かれています。そう!この交響曲は、無調と調性のバランスが素晴らしいのですね。とてもリズミカルで思わず踊り出しそうな楽章です。最後は高らかな第一主題とともに前半終了。

6. 愛の眠りの庭 対照的にまどろみに満ちた第3循環主題で始まり、鳥の鳴き声をピアノが奏でます。全編優しさに満ちた曲です。メシアンが生涯かけて取り組んだ「鳥のカタログ」児玉桃さんも度々演奏されています。軽井沢で採譜するメシアンの写真は有名ですね

7. トゥーランガリーラ2 目が覚めたようなピアノソロで始まります。この楽章は何と言ってもリズムの緻密な掛け合いが見どころで、打楽器パートには大きな見せ場があります。特に木魚と大太鼓の「リズムのカノン」をきちんと聴くよう注意書きがあります。

8. 愛の発展 タイトルの「Developpement」には「展開部」という意味もあり、文字通り各主題が展開され、発展してゆく重要かつ長大な楽章です。曲がいよいよ核心部に差し掛かっているのです。第4主題が全オーケストラで奏でられて現れます。

9. トゥーランガリーラ3 フィナーレの前は再び緻密な室内楽を聴かせる楽章です。打楽器の掛け合いが再び現れますが、ここでメシアンは、1から17までの十六分音符による音価がスコアの一つ一つの音符に付けて、いわば作曲プロセスを奏者と共有しています。

10. フィナーレ 最終楽章では第5楽章の歓喜のリズムが再び現れ、このベースの上で全ての循環主題が現れます。まさに宇宙と繋がる瞬間と言っても良いでしょう。最後は「とても長く」と指示された嬰ヘ長調の和音が永遠の愛を示して終曲となります。

【当日でも受付可!】鈴木優人が全てを語る! 『ジョワ・ド・ヴィーヴル』のつくりかた

10月16日開催!お席に若干余裕あります!

クラシック音楽のコンサートはどのようなコンセプトのもとに作られるのでしょうか?
そこで演奏される曲目にはどのような思いが込められているのでしょうか?
11月1日に開催される東京芸術劇場開館25周年記念公演『ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び』の
見どころ聴きどころを、アーティスティック・ディレクターの鈴木優人が実演も交えながら語ります!

アーツアカデミー 東京芸術劇場プロフェッショナル人材養成研修 レクチャーシリーズ
鈴木優人が全てを語る!『ジョワ・ド・ヴィーヴル』のつくりかた

[日時]2015年10月16日(金)19:00-21:00
[場所]東京芸術劇場シンフォニースペース(5階)
[出演]鈴木優人(『ジョワ・ド・ヴィーヴル』アーティスティック・ディレクター)
   田中泰(クラシックソムリエ)
[料金]1,000円
[定員]100名

東京芸術劇場のホームページで受付をしておりますが、
当日直接お越しいただきましてもご入場いただけます!

(定員は100名ですので、お早めにどうぞ!)

詳細・事前お申込みは東京芸術劇場のサイトで

[お問合せ]東京芸術劇場 事業企画課 人材育成担当 03-5391-2116

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