2012/11/30

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山田和樹 スイスロマンド管弦楽団 定期演奏会(首席客演指揮者就任披露)

日時:2012年11月28日(水)20時開演
会場:ジュネーヴ・ヴィクトリアホール

 今回のプログラムは「英雄」をメインディッシュに、前半は武満の「3つの映画音楽」と、マクミランのヴァイオリン協奏曲。
山田氏は「英雄」をサンクトペテルブルグ・フィルやスウェーデン・マルメ交響楽団で指揮、武満作品も去る9月にフィンランド・トゥルク・フィルで取り上げたばかりで、満を持してのプログラミング。
 黄金に輝くヴィクトリアホールに、まずオシャレな武満のサウンドが流れはじめると、満場の聴衆が一気に豊かな音楽の中へ引き込まれていく~ とりわけ映画「他人の顔」のワルツでは、その切ないメロディに客席からため息にも似た声が広がりました。
続いてヴァイオリンのレーピンが登場、持ち前の強い音質で、鬼才マクミランが繰り出す色々な様式のフレーズを、見事なテクニックで彩り、客席は大いに沸きました。
そして後半のベートーヴェン「英雄」。スイス・ロマンド管はベートーヴェンをこの5年間で3回しか演奏実績がないとのこと。
 ドイツ系の楽団とはまったく異なる、やわらかいベートーヴェンが山田氏のタクトから紡ぎ出されました。

山田和樹
©point of views.ch

 角が立ちすぎない、けれども決してサラッと流れすぎず、きちんと様式感のある演奏は観客の胸に届き、熱い大きな拍手が贈られました。白眉は2楽章。若手と言われる指揮者で、これほどゆっくりとしたテンポで弛緩せずに緊張感を保つのは素晴らしいの一言に尽きる。師匠(小林研一郎氏)ゆずりの、どこまでも音を慈しむかのよう指揮ぶりが聴衆の目に焼きついたことでしょう。
 大喝采のあとの楽屋で、山田さんは「とかくモノクロになりがちなベートーヴェンの演奏に、色彩感を加えることができたと思う」と手応えを口にし、スイス・ロマンド管の楽員も口を揃えて「マエストロとは素晴らしくうまくいった」と相思相愛の関係。
2014年7月に予定されている【山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団】の日本ツアーは、1999年にファビオ・ルイジに率いられて以来、実に15年ぶりのこと。
 山田和樹の名を一躍世界に知らしめた2009年のブザンソンコンクールで指揮した「幻想交響曲」や、「アルルの女」、「スペイン奇想曲」などこちらも魅力満載の曲目を並べつつ、同世代の仲間を大切にしていきたいという山田氏の意向により、気鋭の若手作曲家、藤倉大さんの新作も披露する予定。
 さらにもうひとり、やはり同世代のビッグなソリストがこのツアーに参加する。ベルリンフィル第一コンサートマスターの樫本大進だ。ふたりは共にベルリン在住で家族ぐるみのつきあい。そんな盟友が名曲チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で共演することも大いに話題になりそうです。
 日本フィルの正指揮者、スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者として、両国の架け橋となる山田氏。

 日本・スイスの国交150周年にあたる2014年、彼らの日本ツアーが待ち遠しい!

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