2016/11/22
ニュース
進化を続けるチョ・ソンジン
チョ・ソンジンによる念願のリサイタル・ツアー。ショパンコンクール優勝から1年がたち、レコーディングや演奏の機会に恵まれ、今までの人生で最も速く感じた時間だが、特に自身で変わったと思うところは無いという。ピアノの練習は今までどおり行い、常に研鑽を積んでいる。
「ピアニストになりたい」と思ったのは6歳の頃。学校で「将来の夢」と聞かれると「ピアニスト」と書き続けてきた。コンクールに挑んだのは、「ピアニストになりたい」という夢を叶え、キャリアを積むことが大切だと思ったから。さらに進化し続けるチョ・ソンジンに、9月の来日の際に話を聞いた。
Qドイツ・グラモフォンから、新しいアルバムをリリースするそうですね。
6月に、ジャナンドレア・ノセダ指揮ロンドン交響楽団と、ショパンのピアノ協奏曲第1番を録音し、10月にハンブルグでバラード1番から4番まで全曲を録音します。
ノセダさんとの共演は、とても楽しく行うことができました。この曲は、ショパンコンクールで演奏した曲でもあるので、普段通りにリラックスして演奏することができました。
バラード4曲は、小さい頃から録音したいと願っていた作品でもあります。この作品は、ショパンがポーランドの詩人ミツケビッチの「オンディーヌ(水の精)」にインスピレーションを受けたとも言われていますが、私もその物語詩を読みました。
Q:1月のリサイタルプログラムについて、選曲理由と作品について感じることをお聞かせください。
今回演奏するプログラムは、カーネギーホールでのデビューコンサートに先駆けて、日本で演奏します。
ショパンの24の前奏曲は、コンクールで優勝後、20回以上演奏してきました。この作品は、演奏すればするほど新しい発見があります。自由を与えてくれる気もします。でも、楽譜に忠実に、作品のキャラクターを変えることなく、ディテールを変えたり、といろいろ試みています。たとえば、プレリュードの4番は憂鬱な感じがしますが、そんな中でもディテールを変えて演奏しています。
シューベルトには尊敬の念を抱いています。今回のピアノ・ソナタ第19番は、特に第2楽章が好きです。シューベルトは、大胆な試みで作曲したものだと思います。19番、20番、21番は未来志向だとも感じます。その頃、シューベルトは自身の「死」を意識していたのではないか。なぜなら、それらの曲から驚異的な神秘性を感じるからです。人は「死」を意識するとそのようになるのではないか、と想像します。
シューベルトが未来志向だとしたら、ベルグはそれを完成させた作曲家だと思います。ですので、その作曲家二人は深く関係していると思います。
演奏の準備段階では、歴史や時代背景を調べます。
Q:パリに住み、演奏活動で世界各地を訪れていますね。演奏活動に刺激になることは何でしょうか?
パリに居るときは、ほとんど家にいることが多いのですが・・・。
私は、演奏の準備段階において、歴史や時代背景を調べることがとても好きです。パリだけでなく、演奏で訪れる街で時間を創れるときは、その街の空気に触れ、美術館を訪れたりもします。パリは文化的に大変恵まれた場所だと思いますし、ショパンが200年前に生活していた場所でもあります。その場所で生活をすることで、無意識のうちに受けている影響はあると思います。文化的な経験を積むには、パリはとても良い場所だと思っています。
Q:日本ツアーで楽しみにしていることは?
全国ツアーは、2011年以来です。日本は、何処へ行っても素晴らしい響のホールがあり、ピアノの状態も良いので、とても幸せに感じます。浜松のコンクール以来、日本での演奏は毎回とても楽しみです。
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圧倒的な音楽性!美しいタッチの正統派。ショパン国際コンクール2015優勝!!
チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル
2017年1月17日(火) 19:00 サントリーホール <プログラム>
ベルク:ピアノソナタ Op. 1
シューベルト:ピアノソナタ第19番 ハ短調 D. 958
ショパン:24の前奏曲 Op. 28
⇒ 公演の詳細はこちらから
【CDリリース】チョ・ソンジン、初のスタジオ録音CD発売!
ショパン:ピアノ協奏曲第1番、バラード第1番-第4番
発売元・詳細:ユニバーサルミュージック合同会社
価格:3,024円(税込み)
発売日: 2016.11.30