2017/1/6

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キット・アームストロングという音楽家の「発見」

音楽評論家の青澤隆明さんから、キット・アームストロングに関する文章が届きました。 当日配布するプログラムに掲載予定のものですが、キット・アームストロングの「発見」について書いてくださっていて、まだ彼の音楽に触れていない方々にお読みいただきたく・・・フライングではありますがご紹介いたします。 [past_image 1]キット・アームストロングという音楽家の「発見」は、多くの人々にとって新鮮な驚きと興奮を呼び覚ますものだろう。まずは、彼自身が数学を含む多方面への関心と才覚のなかから、音楽家としての自分を選んだという第一の発見がある。そして、13歳で出会ったアルフレッド・ブレンデルが彼の才能を発見し、現在までの良き導き手となった。 とにかく不思議な魅力をもった若者だ。静けさと探求の情熱を湛えている。バランスや距離に自覚的で、作品の多様な可能性を細密に見通そうとする姿勢をもつ。アーリー・ミュージックへの関心も強く、チェンバロも弾き、フォルテピアノの協奏曲も作曲するほか、フランスの教会も手に入れてますます造詣を深め、昨夏初めてのオルガン・リサイタルも行った。 音楽の歴史的時空を自在に遊興、文脈を探る彼の好奇心は、プログラミングにも色濃く反映されている。今回のプログラムは、バード、モーツァルト、そしてリストという天才たちの作品を、大きな時空の画布に織りなす旅となる。それぞれの時代、奏法、様式観、そして精神性を、知性的な読みで顕かにするとともに、さまざまな鍵盤楽器と響きの空間を通じた探索から育まれてきた音の知覚についても、聴き手に多くの発見を導くものと期待される。 なぜなら、キット・アームストロング自身が広大なレパートリー、そして自己の可能性を鋭敏な知覚で発見し続けているさなかだからだ。それぞれに時代を拓いた多様な形式の名作の演奏を通じて、音楽の喜びとともに発見の興奮が熱く脈打つことになるだろう。 青澤隆明(音楽評論) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 「これまでに出会った最も偉大な才能の持ち主」—ブレンデル。 キット・アームストロング ピアノ・リサイタル 2017年1月23日(月) 19:00開演 浜離宮朝日ホール 公演詳細はこちらから [past_image 2]
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