2013/1/17

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“仮面舞踏会” 日本公演ソリストと舞台の魅力:トリノ王立歌劇場

舞台上の空間、色彩コントラストを巧妙に使い、音楽が導くドラマの世界!

トリノ王立歌劇場

≪6月27日(水) 20:00開演 主要キャスト *は日本公演予定キャスト≫
 リッカルド: グレゴリー・クンデ
 レナート : ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ*
 アメーリア: オクサーナ・ディーカ*
 ウルリカ : マリアンヌ・コルネッティ
 オスカル : セレーナ・ガンベロッティ

音楽で足早に変化するシーン、歌手たちのの優れた歌唱と演技、特に幕が終わる歌のアンサンブルは圧巻。ソリスト、合唱、オーケストラは常に一体感があり、この劇場の特徴である全体的なまとまりが垣間見える舞台でした。

アメーリア役オクサーナ・ディーカは180cmと長身で美貌のソプラノ。

トリノ王立歌劇場

舞踏会シーンでも一際目立ちます。声量もあり、二幕リッカルドとの二重唱では抑えられない愛の心をロマンティックに歌い、最後のアリア《私の最後の願い》は艶々と悲哀さを醸し出していました。ディーヴァの雰囲気たっぷりです!

ヴィヴィアーニが歌う、裏切られた夫レナートの《お前こそ心を汚すもの》には最も心を震わせられた。惨めどころかセンシュアルに、心地よい響きが客席の隅々まで届くようです。歌い終えた後の拍手はいつ終わるのだろうというほど長く続き、観客を虜にしていました。

トリノ王立歌劇場

第三幕一場の5重唱は、誰一人かすむ音も無く、何倍にも音が膨らむ様子にいつまでも続いて欲しいとさえ感じました。

□演出・衣装:
舞台はシンプルでモダンですが、削りすぎている印象は受けず、とてもユニーク。
きらびやかで大きなシャンデリア。奇怪な赤文字が描かれた占いテーブル。首吊り縄がぶら下がる処刑場。各場面における象徴が視覚的な印象として残り、劇的な音楽とともに早いストーリー展開が明解に表現されています。
色彩コントラストも強い。1幕第1場の白x黒,第2場「ウルリカの家」の赤、2幕のグレーに対し3幕舞踏会は赤。
登場人物の衣装も各場面の色に合わせ、黒、グレー、赤が中心。舞踏会のシーンは、音楽とともに赤や薔薇色のドレスを着た人々が舞台の中央奥からどっと流れ出、客席からほーっという声が聞こえた瞬間、天井からキラキラした紙吹雪と幾つもの赤いリボンが降りてきます。それまでの黒やグレーのシーンとの対比が見事に描かれていました。
ウルリカの占いの館は空間の使い方が巧く洗練され、不気味ながらもついつい見入ってしまいます。赤く薄暗いライティング、血文字を描いたテーブルにウルリカが立ち、両手を拡げて《地獄の王よ》を嘲る様に歌います。全身黒ずくめの悪魔達がテーブルの周りをまわるが、大勢の演者が舞台にいても雑多に見えませんでした。
嫉妬。不気味さ。叶わぬ愛に苦しむ心。それらを表す音楽が次々と聴き手を非日常の世界に引き込みます。第三幕1場、アメーリアのアリアの前のチェロ独奏も哀愁に満ちて美しかったのが印象的でした。

≪トリノ王立歌劇場 2013年日本公演≫
https://www.japanarts.co.jp/special/torino_2013/
 [公演日程] 会場:東京文化会館
 《仮面舞踏会》
 □12月1日(日) 15:00
 □12月4日(水) 18:30
 □12月7日(土) 15:00

 《トスカ》
 □11月29日(金) 18:30
 □12月2日(月) 15:00
 □12月5日(木) 18:30
 □12月8日(日) 15:00

 《特別コンサート“レクイエム”》
 □11月30日(土) 14:00 サントリーホール

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