2017/5/1
ニュース
アリス=紗良・オットのインタビュー[チェコ・フィルハーモニー管弦楽団]
10月に、ビエロフラーヴェク指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と共演するアリス=紗良・オットのインタビューです。
「チェコ・フィルとはグリーグとチャイコフスキーのコンチェルトで共演しています。演奏で訪れる先の多くは、コンサートホールとホテルの間を行き来するだけで、どんな街であるのかを訪ねることができないでいますが、オーケストラの響きや音楽のつくり方には、やはりその国、その街にしかないものがあり、とても新鮮で魅力的です。中でもチェコ・フィルの音色には格別の美しさがあり、すごいパッションが感じられ、彼らの奏でる音が大好きです。若い演奏家も多く、すぐに親しい友人のような関係で結ばれ、日本でまた共演できることを楽しみにしています」
――タクトを執るイルジー・ビエロフラーヴェクは1946年生まれ。1990年から3年間、チェコ・フィルの音楽監督、首席指揮者を務めた後、2012年から再び首席指揮者に迎えられている。
「ビエロフラーヴェクさんとは今回が初めての共演となります。端正な造形に繊細で奥行きのある世界がにじみ出る大家という印象があり、どのような音楽が生まれてくるのかと思いをめぐらせています。チェコ・フィルとは初めてのドイツもので、それもベートーヴェンの第5番『皇帝』。ロマン派的な傾向を強く持った作品で、マエストロがタクトを振り下ろした瞬間に響く和音に導かれて、私がどんなカデンツァを奏でるのか。出会ったその瞬間に感じ、通じ合ったものを大切にして作品に向かいたいと思っています」
――「皇帝」は久しぶりの披露となります。
「日本で本格的にデビューして間もない19歳くらいのときに国内ツアーで集中的に演奏させていただきました。その後は作品とは少し距離を置いて、思いを温めてきました。時間の流れの中で作品に対する思いが熟成され、楽譜を開けた瞬間にワクワクした気分で胸が躍ります。5つあるベートーヴェンのピアノ協奏曲は、それぞれとても独創的です。最初に書かれた第2番は室内楽的でハイドンやモーツァルトの世界に通じたかと思うと、第1番のカデンツァなどはロマン派の作品であるかのようです。第3番は唯一の短調として際立っていますが、第5番の変ホ長調もベートーヴェンにとって特別なもの。平和、調和、そして希望を象徴していて、芸術家としての誇りや強い使命感が感じられます」
産経編集センター 谷口康雄
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─ 音楽大国チェコが誇る巨匠&オーケストラが魅せる“音の万華鏡” ─
ビエロフラーヴェク指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
2017年10月3日(火) 19:00開演 サントリーホール
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」Op.92, B.169
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 Op.104, B.191 (チェロ:ジャン=ギアン・ケラス)
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ブラームス:交響曲第4番 Op.98
2017年10月4日(水) 19:00開演 サントリーホール
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」Op.73 (ピアノ:アリス=紗良・オット)
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ドヴォルザーク:交響曲第8番 Op.88 B.163