2017/5/10

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

東京公演初日公演レポート(Aプログラム)ウィーン少年合唱団  

5月3日(水・祝)14:00開演 東京芸術劇場コンサートホール
 新緑が輝きを増す季節になると、ウィーンから天使の歌声を届けにやって来る少年たち。今年はモーツァルト組が来日し、約1ヶ月半にわたるウィーン少年合唱団の日本ツアーがスタートしました!
5月3日(水・祝)東京芸術劇場 コンサートホールでの公演の模様をレポートします。

 開演前、さざめくような拍手とともに皇太子ご夫妻と愛子さまがお見えになり、華やかな雰囲気の中でコンサートが幕を開けました。「ウィーン少年合唱団が歌い継ぐ“合唱名曲集”」と題された「Aプログラム」の前半は、神を賛美する宗教音楽を中心としたラインナップ。500年以上前に王宮礼拝堂の聖歌隊として創設され、現在もミサで歌っているウィーン少年合唱団の“本来の姿”を知ることができます。
 1曲目のグレゴリオ聖歌《あなたに向けてわが魂を》を歌いながら、客席の左右から少年たちが登場。パイプオルガンのある高い場所にも団員が配置され、天から降り注ぐような歌声に包み込まれました。2曲目の後に、ピアノ伴奏と指揮を務めるカペルマイスターのルイス・ディ・ゴドイ氏が日本語であいさつ。ブラジル出身のゴドイ氏は優れたピアニストでもあり、続くシューベルトの《詩篇 第23篇》では、氏の深く豊かな音楽性と少年たちの感性とが共鳴して美しい響きを生み出していました。
 モーツァルトのカンタータやハイドンのミサ曲では、ソプラノの少年が見事なソロを披露。ロイド・ウェッバーの《レクイエム》より〈ピエ・イエズ〉は、ソプラノとアルトの二重唱でしっとりと聴かせてくれました。ウィーン少年合唱団団長・芸術監督のゲラルト・ヴィルト氏の作曲による《慈悲、許し、内なる平和》は神秘的で荘厳、《カルミナ・アウストリアカ》は少年合唱の特質や音響効果を知り尽くした氏ならではの、ドラマティックで聴き応えのある作品でした。

 後半は北海道民謡《ソーラン節》からスタート。「どっこいしょ!」という元気いっぱいのかけ声と振り付きのパフォーマンスで会場を沸かせました。一転、岡野貞一の《ふるさと》は、教会に響く聖歌のように清らかで慈愛に満ちた歌声。シュタイアーマルクの牛追い歌では、客席から手拍子が鳴りはじめると少年たちの顔から自然と笑顔がこぼれ、歌うことが本当に好きな彼らのピュアな心が伝わってきます。
 団員による日本語のMCの後は、モーツァルトの《春のはじめに》をソロで。そして2016年のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートに出演した際に歌ったヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・シュネル《休暇旅行で》、続くJ・シュトラウス?世のワルツやポルカでコンサートは華やかなフィナーレを迎えました。アンコールは、日本語の発音も完璧なタケカワユキヒデの《ビューティフル・ネーム》と、ヨーゼフ・シュトラウスの《水兵のポルカ》でした。

文:原 典子(音楽ライター/編集者)

今後のスケジュールは日本ツアー公式ホームページよりご確認ください。
——————————————————
ウィーン少年合唱団
6月 7日(水)19:00 文京シビックホール 大ホール
6月16日(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
6月17日(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
6月18日(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
公演詳細はこちらから

ページ上部へ