2013/3/22

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吉松隆 還暦コンサート後のキース・エマーソン インタビュー/吉松隆 自叙伝発売

 吉松隆 還暦コンサート「鳥の響展」は、超満員のオペラシティで午後3時にスタート、終演は7時近くを回り、トータルで約四時間の聴きえのある演奏会となった。ラストの曲「タルカス」が最後の一音を響かせるや否や、誰よりも早くオーケストラにスタンディング・オベーションを送っていたキース・エマーソンさん。満面の微笑みで吉松さんと手をとりあってステージに上がり、ピアノで「Happy Birthday」(タルカスの和音つき)を弾くという嬉しいおまけもついた。興奮さめやらぬ雰囲気のキースさんに、コンサート直後の感想を聞いてみました。

吉松隆

――いかがでしたか?
「今までの人生で聴いたコンサートの中で一番素晴らしい! 『タルカス』があんなふうに演奏されたことに驚いているよ。指揮者の藤岡幸夫さんも、 東京フィルハーモニー交響楽団も本当にハイレベルだ。吉松さんのトランスフォームの才能もね。恐るべきテクニックだ」

――第一部の室内楽はいかがでしたか? ソリストたちが活躍しました。
「チェロと琴でシンプルに始まって、だんだんビルドアップされていく感じがいいと思ったよ。日本の民謡のセンスが感じられたし、それを吉松さんの解釈でモダンに構成しているのが伝わってきた。特に二人のピアニストが演奏した『ランダムバード変奏曲』が印象的だったね」

――キースさんの作曲にインスピレーションを与えましたか?
「一番インスパイアされたのは、やはりオーケストレーションの素晴らしさだ。僕がミュンヘンのオーケストラとやったときよりずっといい!(笑) 世界的にもとても卓越したレベルのオーケストラだと思う。サチオサン(指揮者の藤岡さん)も本当によかった」

――最後の「Happy Birthday」のサプライズは、日本の聴衆にとっても大きなプレゼントでした。ありがとうございます!
「僕もコンサートを心から楽しんだよ。一生忘れられないね。皆さんありがとう!」

吉松隆
<公演後、笑顔の吉松隆>

インタビュー・写真:小田島久恵(音楽ライター)

また、3月20日には吉松隆の自叙伝が発売となりました。
『作曲は鳥のごとく』(春秋社)
吉松隆
本体価格2500円+税

いまもっとも注目される作曲家のライフストーリ-。独学で作曲を修得し、孤軍奮闘の青春時代を経て、独自の音楽語法を見出し、大きく羽ばたくまでの“作曲する人生”を語る。
「今、60年の歳月に思いを馳せるとき、喜び悲しみ恨み楽しみのすべてを味わい、それらをすべて音楽に記述してきたことを誇りたい。そして生きている間に『せめて美しい音楽のひとつでも残したい』という願いは叶えられた(と信じたい)。」 吉松隆

主な構成内容は次の通りです。
第1章少年時代…少年時代の原風景/原っぱとプラモデル/ピアノの記憶/ギターとロック/14歳の冬、音楽に開眼する/ほか
第2章放浪時代…慶應義塾大学工学入学/松村禎三氏への師事/プログレッシヴ・ロック/シンセサイザーとの出会い/大学中退で退路を断つ/深海魚のような日々/自称作曲家/コンクール落選歴/忘れっぽい天使/フィンランドへ/著作権の話/オーケストラ・デビュー/ほか
第3章鳥の時代…朱鷺によせる哀歌/鳥の作曲法/日曜イラストレーター/世紀末音楽研究所/現代音楽からの決別/ほか
第4章飛翔の時代…サクソフォンと『ファジーバード』/妹の死/プレイアデス舞曲集/シャンドス~イギリス再訪/雅楽との出会い/なんとかなったからよかったものの/ほか
第5章作曲する人生…作曲とは/左手ためのピアノ曲集/大河ドラマ『平清盛』/音楽の未来形/ほか

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