2018/5/10
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[ウィーン少年合唱団] 東京公演初日公演レポート(Bプログラム)
5月4日(金・祝)14:00開演 サントリーホール
ゴールデンウィーク中の5月4日、東京・サントリーホールで行われた公演のレポートをお届けします。
この日は、『ウィーン少年合唱団と世界の歴史・音楽』と題されたプログラムBの公演。「ウィーン少年合唱団の伝統の歌」と「世界の伝統の歌」を通して、古来から現代へと続く音楽の歴史の流れを感じるというもの。時間と空間を旅する壮大なテーマです。
コンサート冒頭は、ホールの後方からグレゴリオ聖歌を歌いながらメンバーたちが登場。会場のあちこちから感嘆のため息が聞こえてきます。続いてア・カペラでハスラーの「主に向かいて歌え(カンターテ・ドミノ)」が歌われ、晴れやかにハーモニーが花開きました。
チャン先生による日本語の挨拶をはさんで、生誕350年を迎えるクープランの「歓喜せよ」。このプログラムでは、今年アニヴァーサリーを迎える作曲家の作品が多く取り上げられています。チャン先生がチェロで伴奏したカルダーラの「我は生ける糧なり」では、憂いを含んだ声の響きが、ほの暗い教会の聖堂を思い起こさせて神秘的でした。
ハイドンに続き、モーツァルトの「汝により守られ」とメンデルスゾーンの「主をほめたたえよ」をパイプオルガンとの共演で歌った後は、生誕200年を迎えるグノー編曲による「アヴェ・マリア」。チャン先生のピアノと鈴木さんのパイプオルガン、そしてソプラノのモーリツ・ガブリエル君によるソロで披露されました。
休憩をはさんで、後半はJ.シュトラウス?によるオリエント風のワルツ「千夜一夜物語」で幕を開けます。ヴェルディのオペラ『マクベス』からの曲で、臨場感たっぷりに情景を描き出す手腕はさすが。彼らは歌詞の意味だけでなく、その背景となる物語や出来事に関する知識もしっかり学んでいるので、作品を非常に深いレベルで理解しているのです。
続いて歌われたのは、1950~60年代にウィーン少年合唱団が出演した映画でおなじみとなったウェルナーの「野ばら」。フンパーディンクのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』からの曲では、3人のソリストが眠りにつく前の子どものあどけなさと夢見るような世界を表現。まさに天使そのものでした。
そしてプログラムのラストは、十八番のヨーゼフ・シュトラウスの「水兵のポルカ」とJ.シュトラウス?の「美しく青きドナウ」。大きく身体を動かし、楽しそうに歌っている姿を見ると、世界中の国々から集まっていても、彼らは本当に“ウィーンっ子”なんだなあと感じます。
少年たちとの胸躍る世界一周旅行に、終演後もお客さんたちの顔からは笑みがこぼれていました。
文:原 典子(音楽ライター/編集者)
今後のスケジュールは日本ツアー公式ホームページよりご確認ください。
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ウィーン少年合唱団2018年来日公演
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