2018/6/28
ニュース
ブルガリア・ソフィア通信第1弾 [ブルガリア国立歌劇場]
湯山玲子氏による、ソフィア(ブルガリアの首都)レポートが届きました!
ソフィア通信1日目
ブルガリア。
日本ではほとんどヨーグルトの代名詞ではないか、という認知の国だが、実はこの私、1970年の大阪万国博覧会で、この国のそのヨーグルトと印象的な出会いをしている。並び待ちということができない両親がチェックするパビリオンは、月の石で賑わうアメリカ館なんぞはもってのほか、余裕で入れる発展途上国のそればっかり。ああ、今も忘れはしないブルガリア館。そこで出された、いつもの甘い瓶詰めと違う「ヨーグルト」に小学校4年生のわたくしは味覚開眼しましたね。未体験の味に「なんじゃあ、こりゃあ」状態になったが、その驚きが美味しい方向に転んだのだった。明治がその名を冠した製品を世に出す数年前の話だが、それって、当時の社員が私と同じような経験をしたからではないのでは?! と妄想。
ところが、その表面のリラックス感と裏腹の体験を初日から、二発食らってしまったのである。そのひとつが、ブルガリア正教会の寺である、アレクサンダー・ネフスキー寺院の夕刻のミサ。狙っていったわけではなく、立ち寄った時にちょうどそれが始まったので、結局、一時間あまりをそこに釘付けになってしまった。
恐るべし、ブルガリア正教会。ほかにギリシャ、ルーマニア、ロシアを加えて、東方正教会を形作っているわけだが、この地のそれは、かつてのヨーロッパがそうだったように生活の中に完全に入り込んでいる感あり。ミサには今時の若者から老人までがつめかけ、盛んに十字を切っている様子は、トルコで見たイスラム寺院と人々の関係性と非常に近い。特質すべきは、この圧倒的な音楽体験をソフィアの人々は幼少時から重ねているわけで、その芸術民度の高さを考えるとクラクラしてくる。
週末なので、教えてもらったテクノ系クラブに行こうとしたが、さすがに電池切れでした。
<湯山玲子>
日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック(通称・爆クラ)」を主宰するなど多彩に活動。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど、カルチャー界全般を牽引する。著書に『クラブカルチャー』(毎日新聞社)、『四十路越え!』(角川文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)、『快楽上等!』(上野千鶴子さんとの共著。幻冬舎)、『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)などがある。
湯山玲子公式サイト:http://yuyamareiko.blogspot.com/
ブルガリア国立歌劇場
10月5日(金) 18:30 「カルメン」
10月6日(土) 15:00 「カルメン」
10月8日(月・祝) 15:00 「トゥーランドット」
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