2018/12/3

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マリインスキー・バレエ 『マリインスキーのすべて』(12月2日) のナデージダ・バトーエワとザンダー・パリッシュにインタビュー

2018年12月2日(日)マリインスキー・バレエのスペシャル・ガラ「マリインスキーのすべて」が行われました。
終演後、パキータに出演したナデージダ・バトーエワと、ショピニアーナを踊ったザンダー・パリッシュに、音楽ライターの小田島久恵さんがインタビューをしてくださいました。
ガラ公演では『パキータ』のグラン・パに登場し、エレガントで透明感のあるソロを踊ったナデージダ・バトーエワ。マリインスキー・ダンサーの中でもとびきりの美脚の持ち主で、着地のときもほとんど足音を感じさせません。厳格なのに柔らかさも併せ持つ芸術性は、時折ロパートキナを思い出させます。このツアーでは、日本で初めてのオデット/オディールを踊る予定の彼女、舞台ではクール・ビューティなのに話し始めるととても「面白い」女性なのでした。

今夜の『パキータ』では美しいバトーエワさんに釘付けでした。
「ありがとうございます。スメカロフによって改訂された版で、今まで踊ってきたヴァージョンと異なりますが、私自身はカットガラスのように輝いて、光を反射するイメージで踊りました」

なるほど、カットガラスですか!
「ガラスが音を立てて割れている感じを出したつもりなんですよ。全体のスペクタクルの中で、自分の占める役割についても考えながら演じていました」

とても優雅で知的な演技でした。日本のバレエ・ファンの前で初めて『白鳥の湖』を踊ることになります。期待感はありますか?
「特にどういう準備をしているということはないのです。音楽が始まったら音楽と物語の世界に溶け込んでいくことになるでしょう。きっと優しい白鳥になると思いますよ…誰から助けてもらうことを待ち望んでいる…」

バトーエワさんは舞台でも全く緊張しないで、快適に踊っているように見えます。とてもリラックスしていますよね。
「そう見えるように準備をしているんですよ。心配しすぎないよう…本番でリラックスして見えるように、努力しています」

バトーエワさんはとてもミステリアスなイメージがあります。こうしてお話していても、何故かとても楽しい気分になりますし…ご自分ではどういう性格をしている思いますか?
「不思議な人間です(笑)。私自身も、時々自分が予測不可能な人に思えてしまうほどなんです。自分で自分に驚くこともあります」

(笑)。マリインスキー・バレエはとても忙しい劇場で、バレリーナもたくさんのレパートリーをこなさなければなりません。そんな日々の中で、どのようにご自分をリラックスさせていますか?
「一番は睡眠(笑)。眠ることが好きです。あとは、友達と会ったり、ごくたまに映画を見たりしてリフレッシュします。完全にバレエを忘れた時間を設けることで、バレエに戻った時に豊かな力が湧いてくるんですよ」

『マリインスキーのすべて』では、『ショピニアーナ』の詩人を踊ったザンダー・パリッシュ。今年のツアーの東京公演では、初めて舞台に登場した「待望の」夜となりしました。絵の中の王子様のような理想的なプロポーションは相変わらず、女性ダンサーのサポートにも格段の安定感が出てきて、プリンシパル・ダンサーとしての充実した日常を感じさせます。ロイヤル・バレエからマリインスキーに移籍した唯一のダンサーであるパリッシュ。この3年でロシア語もペラペラになり、しっかりと居場所を作っている様子がうかがえました。

『ショピニアーナ』の詩人役はあなたがマリインスキー劇場に入って初めて踊った役なそうですね。
「ファテーエフ監督が僕に初めて与えてくれた大役でした。『ショピニアーナ』イコール『レ・シルフィード』ということを知らなくて、「で、僕はどの役を踊るのですか?」と質問したものです。「どの役も何も、このバレエには男は一人しか出てこないよ」と言われて、「あっそうか」と(笑)。僕の中ではストーリーがあって、舞台に登場する女性たちはすべて詩人の幻なんです。バレエが終わった瞬間に、彼の目の前には誰もいなくなる。全部、詩人が見ていた夢なんです」

なるほど。大勢の女性ダンサーに囲まれて踊るというのは、男性ダンサーにとってどういう気持ちなのでしょう?
「そうですね…世界一の最高のバレエです(笑)」

(笑)それにしても、本当にロシア語がうまくなりましたね!
「少しだけましになりました(と謙虚なパリッシュ)」

3年前に来日した時はまだプリンシパルではなかったのですよね。この3年でどういう変化がありましたか?
「たくさんの変化がありました。3年前の僕は既に29歳でしたので、それほど若いとは言えなかったけど…前回の来日のときよりたくさんの経験を積んで、身体も少し「男前」(ロシア人の通訳さんによる)になったのではないかと思います。それと並行して、表現力も身に着きました。日々の経験が僕を成長させてくれています」

ツアーの後半では『白鳥の湖』のジークフリート王子を演じます。
「まずは王子のストーリーを見せたいと思っています。ダンサーにはスピンが得意な人、ジャンプが得意な人などさまざまなタイプがいますが、僕は誰にも似ていない自分のオリジナルを見せていきたい。とても「若い」王子を演じると思います」

相手役はオスモールキナですが、彼女とのパートナーシップはいかがですか?
「バレリーナはそれぞれ異なった個性を持っていて、比べることは出来ません。本当に一人一人違うので、新しい相手役と踊るのは面白いですよ。オスモールキナは抒情的で感情豊か。一緒に踊っていて、波長が合うのを感じます」

成功をお祈りしています!
「スパシーバ(ありがとう)。サンキュー!」

小田島 久恵(音楽ライター)

ナデージダ・バトーエワ出演情報
12月8日『白鳥の湖』12:00開演 オデット=オディール

ザンダー・パリッシュ出演情報
12月8日『白鳥の湖』18:00開演 ジークフリート王子

美しく、輝かしい感動がよみがえる・・・
マリインスキー・バレエ

12.5 [水] 18:30 「ドン・キホーテ」レナータ・シャキロワ/フィリップ・スチョーピン
12.6 [木] 18:30 「白鳥の湖」ヴィクトリア・テリョーシキナ/ウラジーミル・シクリャローフ
12.7 [金] 18:30 「白鳥の湖」エカテリーナ・コンダウーロワ/ティムール・アスケロフ
12.8 [土] 12:00 「白鳥の湖」ナデージダ・バトーエワ/キミン・キム
12.8 [土] 18:00 「白鳥の湖」エカテリーナ・オスモールキナ/ザンダー・パリッシュ
12.9 [日] 14:00 「白鳥の湖」ヴィクトリア・テリョーシキナ/ウラジーミル・シクリャローフ
公演詳細はこちらから

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