2019/5/10
ニュース
[ウィーン少年合唱団] 2019年5月 東京公演初日公演レポート(Aプログラム)
5月3日(金・祝)14:00開演 サントリーホール
2019年は日本とオーストリアの国交樹立150周年ということで、今回のツアーでは「日本・オーストリア友好150周年記念プログラム」と題して、AとBの2種類のプログラムが組まれています。さらに「令和」の幕開けを祝って上皇陛下と上皇后陛下にちなんだ曲も披露されるとあって、会場にはファミリーだけでなく、多くのシニアのお客さまも。落ち着いた華やぎのある雰囲気に包まれての開演となりました。
第1部の1曲目は、オルフの《カルミナ・ブラーナ》より「おお、運命の女神よ」。ドラマティックなメロディで、突き抜けるようなソプラノのコーラスがひときわ印象的です。太鼓やゴングを手にしたメンバーが、みずから演奏してリズムやアクセントを加えていました。
次に歌われたのは、ウィーン少年合唱団の指揮者で、昨年世を去ったラウル・ゲーリンガーがブルックナー組のために作曲した「死と愛」。死に直面した病の床で書かれたそうですが、いかなるときも愛こそがもっとも強いというメッセージが、決然とした歌から伝わってきます。
そして第1部のラストは、バンキエーリによる「動物たちの対位法」。少年たちが犬、猫、カッコウといった動物や鳥の鳴き声を生き生きとリアルに再現して、会場からは笑いさざめく声が上がっていました。
「マノロ先生がいちばん好きな曲」という紹介のあとに歌われた2曲目は、先生の故郷イタリアのカンツォーネ・ナポレターナ「オー・ソレ・ミオ」。海の波のように大きく揺らぐ先生のピアノに乗って、リズムを弾ませ、のびのびと歌う少年たちの表情からは、両者の固い信頼関係が想像できます。ときにユーモアを交えてリードする先生は、少年たちにとってきっとお兄さんのような存在でもあるのでしょう。
日本の歌からは、滝廉太郎の「荒城の月」、上皇后陛下が作詞された「ねむの木の子守歌」、岡野貞一の「ふるさと」の3曲を。どの曲でも日本語の発音がとても自然で美しく、歌詞の意味をきちんと理解したうえで、ひとつひとつの言葉を大切に歌っているのがよくわかります。
続いて歌われたのは、ウィーン少年合唱団の芸術監督であるゲラルト・ヴィルト氏が、令和という新しい時代を迎える日本でのツアーのために書き下ろした新曲「Peace within(内なる平和)」。MCで告げられた「ひとりひとりが平和であるとき、世界も平和になります」という言葉を、神秘的な静謐さをたたえた響きの中で噛みしめながら聴き入りました。
文:原 典子(音楽ライター/編集者)
⇒ [ウィーン少年合唱団] 2019年5月 東京公演初日公演レポート(Bプログラム)はこちらから
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ウィーン少年合唱団
5月3日(金・祝)14:00 サントリーホール
5月4日(土・祝)14:00 サントリーホール
5月29日(水)14:00 東京芸術劇場コンサートホール
6月14日(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール(アフタヌーン・コンサート・シリーズ2019-2020 前期 Vol.2)
6月15日(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
6月16日(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
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