2013/5/20
ニュース
ミヒャエル・ザンデルリンク&ドレスデン・フィル、現地ドレスデンでの熱演レポート!!
3月、現地ドレスデンにてミヒャエル・ザンデルリンク指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の公演がありました。この公演の様子を在ベルリンのジャーナリスト、中村真人さんにレポートして頂きました。
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この6月、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団が首席指揮者ミヒャエル・ザンデルリンクのもと、5年ぶりの来日を果たす。
「ザンデルリンク」という名前でピンとくる方は多いと思うが、彼はかの巨匠クルト・ザンデルリンクの息子である。上の兄、トーマスとシュテファンも指揮者として知られているが、ミヒャエルはチェリストとしてキャリアをスタートさせた。弱冠19歳でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席チェロ奏者に就任し、後にベルリン放送響の同ポジションも務めている。指揮者に転身してからはすぐに頭角を現し、来シーズンはミュンヘン・フィルやケルン放送響への客演も予定されるなど、今やヨーロッパ中でその活躍が注目されている指揮者なのである。
筆者はこの3月、ドレスデンで昼夜2回に分け1日でベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏する意欲的な公演を聴いたが、オーケストラを巧みにコントロールしながらも、決して無理強いはせず、ふくよかで潤沢な響きを引き出していたのが強く印象に残った。
ミヒャエル・ザンデルリンクとドレスデン・フィルの相性が良好に感じられたのも、彼が東独出身ということと決して無関係ではないだろう。というのも、ドレスデン・フィルはこの現代にあってローカルな響きを濃厚に残したオーケストラだからだ。
首席オーボエ奏者のウンディーネ・レーナー=シュトレ氏が、その響きの独自性についてこんな風に語ってくれた。
「弦楽器も管楽器も広がりがあって丸く、温かい響きを持っています。雲のような、ふわふわの心地よいベッド上で演奏しているような感じでしょうか。一方で演奏するのが難しい面もあります。私が以前在籍していた放送響だと、音の出だしがある一点でぴったり入るのですが、ドレスデン・フィルでは呼吸をしてから、時々微妙なタメが生まれる。それでもお互いが聴き合って一緒に入り、響きが発展していくのです」
そんなドレスデン・フィルの本拠地「文化宮殿」は、お世辞にも音響がいいとは言えないホールだったが、インテンダントのアンゼルム・ローゼ氏らの尽力によって、この4月ついに新ホールの建設が始まった。「ワインヤード形式で、ベルリン・フィルハーモニーとサントリーホールの折衷」(ローゼ氏)と呼べる形になるそうだ。
「今回の日本公演を心から楽しみにしています。大震災の影響で当初の予定より2年遅れてしまい、われわれの気持ちはさらに高まっています。ホールの客席の端まで最高の演奏で応えたいですね」と意気込みを語るレーナー=シュトレ氏。
豊かな伝統、将来が楽しみなマエストロに新しいホールと、ドレスデン・フィルの新時代への環境は整いつつある。来シーズンの公演プログラムには、ユリア・フィッシャー、トーマス・ツェトマイヤー、内田光子、クラウス・フロリアン・フォークトといったソリストが並ぶ。その名前からもこのオケの実力は伺えるだろう。今回の来日公演は、彼らのいまを体感する絶好の機会となるはずだ。
ドレスデンが誇る伝統あるオーケストラが、新鋭ザンデルリンクを迎え 新たな時代が始まる!
ミヒャエル・ザンデルリンク(首席指揮者)
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
<<渾身のドイツ・プロ!>>
2013年06月25日(火) 19時開演 サントリーホール
<<名曲を名演で!>>
2013年06月26日(水) 19時開演 東京オペラシティ コンサートホール
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