2019/7/5
ニュース
チャイコフスキー国際コンクール 現地レポート Vol.6
チャイコフスキー国際コンクール、結果発表から一夜明けた6月28日と翌29日、入賞者ガラコンサートが行われました。
初日はモスクワ。会場は、まだオープンして1年経っていない、モダンなデザインのザリャジエ コンサートホールです。チェロ、声楽、金管、木管部門の入賞者たちもサンクトペテルブルクから駆けつけ、この日は上位入賞者たちが、ソロはもちろん、コンクール総裁のワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団と共演するプログラムを披露する華やかな演奏会となりました。
野口さんは、ファイナルを会場で、またそれまでのステージもストリーミング配信で聴いていらしたとのこと。ファイナルの藤田さんの演奏も、もちろん実際に会場でお聴きになったそうです。
「ファイナルならではの緊張感があり、その中でも演奏中はすごくのっていて、どんどん観客を巻き込み、心を掴んでいく様子が感じられました。同じ日本人として、誇らしいと思いましたね」とおっしゃっていました。
さて、入賞者たちは翌日朝6時台の列車でサンクトペテルブルクへ大移動。2日目は、全部門の入賞者全員と、特別賞の受賞者の一部も演奏するという、ボリュームたっぷりの内容となります。会場はマリインスキーII。大きなホールが満員となりました。
サンクトペテルブルクのマリインスキーホールでは、現在白夜祭の真っ最中。遅い時間に開演のコンサートも多いですが、このガラコンサートも開演予定は21時。さらに40分ほど遅れてスタートしました。
金管部門第1位のユン・ゼンさん(中国)の伸びやかで美しいホルンの音色、声楽部門<女声>第1位のマリア・バラコヴァさん(ロシア)や<男声>第1位のアレクサンドロス・スタヴラカキスさん(ギリシャ)の迫力ある歌声と風格ある佇まいなど、次々と印象に残るステージが繰り広げられます。
8年前のこのコンクールのヴァイオリン部門で1位なしの第2位、今回はリベンジし、ついに優勝に輝いたセルゲイ・ドガージンさん(ロシア)の、スタミナがあり、立体的な音色にも圧倒されました。
日本の藤田真央さんは、前半の最後にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番終楽章を演奏。なんとリハーサルができずにいきなり本番だったということですが、指揮をするゲルギエフの様子からは、マリインスキー劇場管弦楽団を巧みにリードしながら藤田さんのピアノとの掛け合いを楽しんでいることが伝わってきます。生き生きと表情を変える藤田さんのピアノにオーケストラが反応し、新鮮でスケールの大きい音楽が響きました。
コンサートの最後に登場したのは、ピアノ部門優勝のアレクサンドル・カントロフさん(フランス)。本選で聴衆を魅了したチャイコフスキーの協奏曲第2番終楽章を再演。作品の魅力を存分に伝える演奏で、再び聴衆を別世界に導きました。
ゲルギエフはあわせて、今回のコンクールで発見できた優れた才能として、新設された金管部門で優勝した中国のホルン奏者ユン・ゼンさん、そして日本の藤田真央さんの名前を挙げました。
このコンクールを通して、多くの記憶に残る演奏、また、これから多くの音楽の喜びを与えてくれるであろう、すばらしい才能に出会えたことを祝福するムードの中、ガラコンサートは幕を閉じました。
高坂はる香(音楽ライター)
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第16回チャイコフスキー国際コンクール 出場者リスト(英語サイト)
https://tchaikovskycompetition.com/en/contestants.bak1/
音楽ジャーナリスト、浅松啓介さんによるサンクトペテルブルグからの現地レポートはこちらから
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感動再び!輝く新星たちの響演!!
第16回チャイコフスキー国際コンクール 優勝者ガラ・コンサート
2019年10月8日(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
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巨匠ゲルギエフ&ロシア芸術の殿堂 マリインスキー歌劇場が総力を結集して贈る
マリインスキー歌劇場 チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
⇒ マリインスキー歌劇場 チャイコフスキー・フェスティヴァル2019 特設サイトはこちらから