2019/7/14

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びわ湖ホールで幕を開けたエイフマン・バレエ。<アンナ・カレーニナ>に鳴り止まぬ熱い拍手!

エイフマン・バレエが21年振りに、ついに来日し、2019年7月13日、日本ツアーの皮切りとなる公演《アンナ・カレーニナ》が滋賀県のびわ湖ホールで行われました。世界的にその名を知られながら、日本では20余年の空白により、ある意味幻のバレエ団となっていたエイフマン・バレエ。ボリス・エイフマン自身も「我々は全く新しいカンパニーに生まれ変わっている」と語るように、今回のツアーはバレエ団と日本のバレエファンの新たな歴史の第一歩とも言えるものです。びわ湖ホールでの《アンナ・カレーニナ》公演は、バレエ団の若きエース、ダリア・レズニクがアンナを熱演。イーゴリ・スボーチンが貴公子さながらのヴロンスキーを踊り、初演からカレーニン役を務めるオレグ・マルコフがベテランならではの味わいで舞台を引き締めました。固唾をのむように見守っていた客席からは、終演とともに割れんばかり拍手とブラボーの声。カーテンコールはスタンディングオベーションとともに、熱気に包まれました。エイフマン・バレエ公式Facebookより

■ダリア・レズニク、「ぜひ日本で踊りたかった」

アンナ役のダリア・レズニクはワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業後、エイフマン・バレエに入団。本役のほか、《ロダン~魂を捧げた幻想》のカミーユ、《エヴゲニー・オネーギン》のタチヤーナ、『カラマーゾフの兄弟』を原作とした《罪悪の彼岸に》のグルーシェンカなど、エイフマン・バレエの主要な役どころを次々と踊っている、期待の若手です。

すらりとした長身に、きりっとした眼差しと、でもどこかあどけなさがうっすらと残る風貌。一方で長い手足が弧を描きながら繰り出す踊りは瑞々しくエネルギッシュです。だからこそ、彼女のアンナはなんとも「危うい」魅力にあふれています。良き母、良き妻であろうとする女性と、ヴロンスキーを愛してやまない女性という2つの心理の間で揺れ、最後は自身の精神(こころ)さえも制御できなくなってしまうアンナの生き様は、まさに21歳の、今の彼女ならではのもの。存在感ともども、その表現力はさすがエイフマンが認めるだけある大器だと思い知らされます。

終演後、レズニクは「(日本のお客様の反応に)身体の中で何かが沸々と沸き立っているよう。上演中、客席も私たち登場人物の心理と一体となって、真剣に舞台に見入っていた感じが伝わってきた。そのあと割れんばかりの拍手――!こんな経験は初めてです」と興奮気味。そして「私は日本に近いウラジオストック生まれ。だからぜひ日本で踊ってみたいと思っていたんです。今回日本に来られてとてもうれしい」と語ってくれました。

■トルストイの小説の世界の体験が面白い

ヴロンスキー役のスボーチンは一言でいえば「イケメン」。登場しただけで、アンナでなくとも目を奪われてしまう貴公子さながらの容貌。またマルコフは初演からカレーニン役を演じてきたベテランで、エイフマン・バレエの指導役としても活躍するダンサーです。レズニク、スボーチンともども次から次へと繰り出される、エイフマン・バレエならではのダイナミックなリフトやスピーディーな跳躍をこなしながら、アンナに翻弄され傷つき、悩む男性を演じました。スボーチンは「日本に来ることを本当に楽しみにしていた。こうして来日して実際に舞台で踊り、今すごくうれしい」とまずうれしい一言。そしてこの作品を踊るに当っては、「どの場面もすごく好きだけれど、作品を通してトルストイの小説世界を体感できるのが面白い」とも。東京公演への期待については「東京文化会館では世界の名だたるバレエ団や劇場が公演を行っていて、日本の方々にとっても大切な場所だと理解している。しっかり私たちの舞台をお見せしたい」と、意気込みを語ってくれました。

■進化し続ける「アンナ」を、新たな目線で

エイフマン振付の《アンナ・カレーニナ》は2010年と2012年に新国立劇場バレエ団が上演しています。その時にご覧になった方もいるかもしれませんが、エイフマンは自分の作品を頻繁に、時にはまるで違った作品にまで改定する振付家。今回の《アンナ・カレーニナ》も、新国立劇場で上演されたものとは一部違った改定がなされていて、それによってアンナの強迫観念、精神が破綻していくさまがより感じられる内容となっています。ダイナミックでエネルギー溢れる動きから繰り出される、エイフマンならではの濃厚な心理バレエ。今回の来日公演で上演されるのは、バレエ団屈指の二大傑作と言われる作品です。
エイフマン・バレエのツアーは7月15日に静岡市で《ロダン~魂を捧げた幻想》を上演したのち、18日から東京で《ロダン~魂を捧げた幻想》、《アンナ・カレーニナ》の上演を行います。どれも必見の舞台。ぜひこの機会をお見逃しなく!

文:西原朋未(舞台鑑賞ライター)

※7月13日(土)びわ湖ホール公演のカレーニン役は、当初予定しておりましたセルゲイ・ヴォロブーエフの体調不良により、オレグ・マルコフが踊りました。なお、7月14日現在、東京公演に関してはセルゲイ・ヴォロブーエフの出演予定に変更はございません。

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ロダン ~魂を捧げた幻想」と「アンナ・カレーニナ」の使用楽曲のプレイリストを公開中!
エイフマン・バレエ 使用楽曲プレイリストはこちらから

21年ぶり待望の来日!世界に衝撃をあたえ続ける
エイフマン・バレエ 日本公演 2019

7.18 [木] 19:00 「ロダン ~魂を捧げた幻想」
7.19 [金] 19:00 「ロダン ~魂を捧げた幻想」
7.20 [土] 17:00 「アンナ・カレーニナ」
7.21 [日] 14:00 「アンナ・カレーニナ」
会場:東京文化会館
(問)ジャパン・アーツぴあ 0570-00-1212

【全国公演】
7.13 [土] 15:00 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 「アンナ・カレーニナ」
(問)びわ湖ホールチケットセンター 077-523-7136
7.15 [月・祝] 15:00 グランシップ(静岡)中ホール・大地 「ロダン ~魂を捧げた幻想」
(問)(公財)静岡県文化財団 054-289-9000

エイフマン・バレエ 日本公演2019 特設サイトはこちらから

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