2019/9/17
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【チャイコフスキー・フェスティヴァル2019】ワイルドとモダニズムが渦巻くゲルギエフのチャイコフスキー
2019年11月、約1週間に渡り開催する【チャイコフスキー・フェスティヴァル2019】。音楽批評家の鈴木淳史氏が芸術総監督・指揮を務めるワレリー・ゲルギエフとフェスティヴァルの魅力について語ります。オペラ《スペードの女王》(新演出)、《マゼッパ》(コンサート形式)の上演は東京公演のみ。ぜひご覧下さい。
この指揮者には、もう一つ違う顔がある。音楽の細部まで掘り起こす、仕事キッチリ系、合理主義者としてのゲルギエフだ。しっとり旋律も歌わせつつ、その響きは洗練の度合いを深める。
野性と合理性、あるいはワイルドにしてモダン。両方の要素を彼は自分のなかに併せもっているのではないか。そして、それら矛盾するもののせめぎ合いこそ、彼の音楽にダイナミズムをもたらしているのではないか。
その彼が仲間たちを連れ、今年も来日する。プログラムはチャイコフスキー尽くしだが、内容の濃さはまったく尋常ではない。オペラを2曲、全6曲の交響曲、そして5曲の協奏曲をたった1週間のあいだに上演してしまうのだから。
2つのプーシキン原作のオペラは、共に強烈なキャラをもつ主人公が周囲をさんざん振り回し、没落していくストーリー。名歌手を得て、男の情念を濃密に描くロシア・オペラの伝統を堪能できるはずだ。交響曲は全曲、さらにピアノ協奏曲は第3番まで演奏するという貴重な機会になる。なんといっても、彼らにとってど真ん中すぎるレパートリー、完全に手中に収めた作品ばかり。ワイルドとモダニズムが渦巻く、ゴージャスな1週間になるだろう。
鈴木淳史(音楽批評)
■ ワレリー・ゲルギエフ(芸術総監督、首席指揮者)
マリインスキー劇場芸術総監督、首席指揮者。ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者。チャイコフスキー国際コンクール組織委員会委員長。PMF芸術監督。
「白夜の星」音楽祭、モスクワ復活祭音楽祭などの音楽祭 を創設し、芸術監督、音楽監督として活躍。マリインスキー劇場において多くの名歌手を育成し、音楽界に送り出してきた。その采配のもとでオペラやバレエのレパートリーを大きく広げ、18世紀から20世紀までのクラシックの傑作から現代作曲家の作品にいたるまで、幅広いレパートリーを誇る。
近年は、メトロポリタン・オペラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座管弦楽団などと共演。2019年、バイロイト音楽祭にデビュー。
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巨匠ゲルギエフ&ロシア芸術の殿堂 マリインスキー歌劇場が総力を結集して贈る
マリインスキー歌劇場 チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
▼画像をクリックするとPDFで詳細をご覧頂けます▼
歌劇「スペードの女王」
2019年11月30日(土) 15:00 東京文化会館
2019年12月1日(日) 15:00 東京文化会館
歌劇「マゼッパ」(コンサート形式)
2019年12月2日(月) 18:00 サントリーホール
マリインスキー 歌劇場管弦楽団 演奏会
2019年12月5日(木) 19:00 サントリーホール(チェロ:アレクサンドル・ブズロフ)
2019年12月6日(金) 19:00 東京文化会館(ヴァイオリン:五嶋龍)
2019年12月7日(土) 13:00 東京文化会館(ピアノ:セルゲイ・ババヤン、辻井伸行)
2019年12月7日(土) 18:00 東京文化会館(ピアノ:セルゲイ・ババヤン)
⇒ 特設サイトはこちらから
マリインスキー 歌劇場管弦楽団 日本公演 <東京以外の公演>
2019年11月28日(木) 19:00 福岡シンフォニーホール(ヴァイオリン:五嶋龍)
(問)アクロス福岡チケットセンター 092-725-9112
2019年11月29日(金) 19:00 レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール(ピアノ:松田華音)
(問)県民ホールサービスセンター 087-823-5023
2019年12月3日(火) 19:00 アクトシティ浜松 大ホール(ヴァイオリン:五嶋龍)
(問)公益財団法人浜松市文化振興財団 053-451-1114
2019年12月8日(日) 14:00 フェニーチェ堺 大ホール(堺市民芸術文化ホール)(ヴァイオリン:五嶋龍)
(問)フェニーチェ堺 072-228-0440