2019/9/11
ニュース
世界が敬愛するウィーンの巨匠 【ルドルフ・ブッフビンダー ピアノ・リサイタル】
「今こそ聴きたい、ベートーヴェンの本質を紡ぎだす至芸をここに。」
2019年9月23日に東京オペラシティ コンサートホールにてピアノ・リサイタルを行うルドルフ・ブッフビンダー。音楽評論家の伊熊よし子さんが公演について語りました。こちらのニュース記事を掲載したチラシのダウンロードもできます。ぜひご覧ください!
「ウィーンの宝」と称され、いまや巨匠と呼ばれるルドルフ・ブッフビンダーの演奏は、自由闊達で創意工夫に満ち、洞察力に富む。ライフワークはベートーヴェンのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲。そのベートーヴェンは非常にテンポが速く、疾走するような空気を生み出し、ひたすら作曲家の魂に近づく演奏である。
とりわけピアノ・ソナタのコラール風な書法、長大なロンド、随所に現れるスタッカート、トリルを駆使した主題など、すべてが劇的で強烈だ。彼は長いフレーズ感を表現する箇所やテーマが再度同じ音型で登場するところなど、微妙な弱音を用いる。この“弱音の美しさ”が非常に印象的で、聴き手の心に深く記憶される。
「私は完璧主義者なんですよ。どんな作品を演奏するときも楽譜を8から10版研究し、徹底的に作曲家の意図したことを追求していきます。ベートーヴェンのソナタも同様で、あらゆる版を見直し、常に新たな発見を求めてベートーヴェンの神髄に近づいていきます」
からだのどこにも余分な力の入らない自然体の奏法で、精神性が高く作曲家の意図するところに肉薄する一途なものだが、随所に豊かな歌心と踊り出したいような躍動感が顔をのぞかせる。だからだろうか、演奏を聴いた後は、ウィーンの空気をまとったような不思議な温かさに包まれる。ベートーヴェンの音楽性と人間性の両面を全身で享受する、至高のひとときが体験できるのである。
ブッフビンダーは、これまでの来日公演でもベートーヴェンのピアノ・ソナタをいくつか披露してきた。とりわけ印象に残っているのはピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」。最初の8分音符の刻みが美しい弱奏で開始されたときから、聴き手は「ワルトシュタイン」の世界に強烈な引力で導かれ、胸の内を吐露するような哀感に富み、諦念と情念と暗い熱情がほとばしる特有のピアニズムに心がとらわれた。その「ワルトシュタイン」が今回のプログラムに組まれている。再びあの深い感動が胸に押し寄せてくる瞬間が味わえるのである。
彼の真骨頂はアンコールにも現れる。深遠な作品の後に、突然シュトラウス2世の「ウィーンの夜会」を演奏し、超絶技巧と嬉々たる表情を発揮、会場を沸かせる。今回もウィーン人ならではの粋な演出が飛び出し、心が高揚する瞬間が誕生するに違いない。
伊熊よし子(音楽評論家)
~厳選された最高傑作が響く~
ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 作品53 「ワルトシュタイン」
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」
◆ルドルフ・ブッフビンダーのプロフィールなどアーティストの詳細
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/RudolfBUCHBINDER
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ベートーヴェン×ブッフビンダー
ルドルフ・ブッフビンダー ピアノ・リサイタル
2019年9月23日(月・祝)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
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