2020/3/23
ニュース
[サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団] 指揮者 ニコライ・アレクセーエフ スペシャル・インタビュー
「演奏会は聴衆の皆様と一体となって創り上げるもの」ニコライ・アレクセーエフ
来日迫るサンクトぺテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団の指揮者、ニコライ・アレクセーエフに電話インタビューを行いました。4/17(金)より開始する同楽団の日本ツアー、4/18(土)大阪、4/23(木)東京公演ではアレクセーエフは指揮を務めます。ロシアの伝統を今に伝える演奏をぜひお楽しみください。
アレクセーエフ(以下A):サンクトペテルブルグ・フィルは、常任指揮者になって20年です。その前からも定期的に指揮していますので、オーケストラとの“付き合い”はもっと長いです。
Q:最初に指揮したのは、いつだったか覚えていらっしゃいますか?
A:もちろんです。1983年です。その時のプログラムは、モーツァルトの交響曲41番「ジュピター」、魔笛の序曲、そしてオーボエ協奏曲でした。
Q:サンクトペテルブルグ・フィルへの思い入れや、このオーケストラならではの魅力など、ぜひお話しください!
A:サンクトペテルブルグ・フィルとは、愛情をベースにした結びつき、縁、と言いましょうか…。 とにかく私はこのオーケストラが大好きです。
レニングラード(サンクトペテルブルグ)に生まれ育って、この街で音楽活動ができる、この幸福に感謝しています。
私は様々なオーケストラを指揮する時、こちらには多くの愛情を注ぐとか、こちらの方がうまい、などという事は考えません。どのオーケストラに対しても、指揮台に立てば同じ気持ちで臨みます。リハーサルを通して、より良い成果、より良いコンサートになるよう、全力 を注ぎます。そして、その「結果」が良いものか、物足りないかという判断は、聴衆の皆様にお任せしています。私たち(演奏する側)は 全力を尽くす、その良し悪しは、聞き手の皆様の判断にお任せする、という事です。
コンサートというのは、ステージの上にいるオーケストラと指揮者だけで創り上げるものではなく、聴衆と共に創り上げるものだと考えています。
Q:東京と大阪でチャイコフスキーの交響曲 第6番「悲愴」を指揮されます。「悲愴」は、作曲家自身がサンクトペテルブルグのフィル ハーモニー協会大ホールで初演をしていますね。
A:そうですね。チャイコフスキーが「悲愴」を初演した当時、彼はその時代の「現代作曲家」 でした。作品は聴衆にすぐに受け入れられたわけではなく、それをチャイコフスキーはとても憂いていました。初演からの帰り道、グラズノフに不安をもらした、というエピソードを聞いたことがあります。そのような雰囲気、かつてチャイコフスキーがここに居た、という“空気感”は、このフィルハーモニーホールに確かに残っています。ミステリアスですね。 私たちのフィルハーモニー協会大ホールは、プロコフィエフやベルリオーズが残していった何か、ショスタコーヴィチの“息づかい”のようなものを、今も感じることができます。それが歴史と伝統、というのなら、それは確かに残され、受け継がれています。
Q:マエストロは、アルヴィド・ヤンソンス、マリス・ヤンソンスの両氏に師事されました。それぞれの師の思い出、特に影響を受けたことは何でしょうか?
A:アルヴィド・ヤンソンスは、ドイツの指揮法を継承した偉大な巨匠でした。彼からは、ステージでの立ち振る舞い、リハーサルをどのように進めるのか、オーケストラのメンバーへの 接し方など多くの事柄を学びました。それは、言葉ではなく、アルヴィド・ヤンソンス自身が 指揮する姿から私自身が多くを学び取りました。
息子のマリス・ヤンソンスは、1982年の カラヤンコンクールに向けて、私を指導してくれました。彼は若い教師として、多くの時間を割いて、貴重なアドヴァイスを私に授けてくれました。二人とも大切な恩師です。
Q:日本の聴衆の印象を教えてください。
A:とても熱心に聴いてくださっていることは、指揮をしていて感じます。聴衆に音楽が届いて いるか否かは、終わってからではなく、演奏している間に肌で感じています。演奏会は聴衆の皆さんと一体となって創り上げるものと私は考えています。聴衆に背中を向けていても、演奏中は常に聴衆の皆さんとコンタクトを している、そのような気持ちでいます。
最後に、日本の聴衆に、メッセージをお願いします!
A:日本の皆さんに、またお目にかかれることを今から心待ちしています!日本のすべて…聴衆の皆さんのことも、日本の文化も、街の様子も、本当に惹かれます。4月の再会を心から楽しみにしています。
◆ニコライ・アレクセーエフのプロフィールは下記をご参照ください。
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/NikolayALEXEEV
– – – – – – – – – – – – – – – – – –
巨匠テミルカーノフと 一躍”時の寵児”となった 藤田真央を迎えて贈るロシアの王道プログラム
サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団 ユーリ・テミルカーノフ(芸術監督・首席指揮者) 藤田真央(ピアノ)
2020年4月21日(火)19:00 サントリーホール
⇒ 公演詳細はこちらから
平日午後に聴く最高峰のオーケストラによるロシア音楽の醍醐味
サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団 ニコライ・アレクセーエフ指揮
2020年4月23日(木)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
⇒ 公演詳細はこちらから