2020/5/8

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Artist Voice – アーティストたちの声 Vol.11

音楽を奏でるように、音楽家の言葉は、人々の心に優しく響き、大きな励ましと希望を与えてくれます。皆さまの健康をお祈りして、今日もアーティストたちの声をおおくりします。

今回は、ソプラノの佐藤美枝子、バス・バリトンの平野和、チェリストの上村文乃からのメッセージをお届けします。

アーティストの皆さんには、主に以下の質問にお答えいただきました。
①今、何を想い、どのようなことを考えているか。ご自由にメッセージを。
②リラックスの方法(日々どんなことをして過ごしているか、など)

佐藤美枝子(ソプラノ)
日本全国に緊急事態宣言が発令されて幾日も経ちました。まだまだ終息の目処が立たないまま、私達音楽家もいつもとは違う日常を過ごしています。日々の努力を決して怠ることなく、しかし、このような時だからこそ、本来のあるべき姿である、人間らしい時間を過ごす事しかありません。

世界中が予期せぬテロに遭ったような時代に入っても尚、音楽を生業としている私達に、これから何ができるのだろうか、人間にとって何が大切なのか、今後、人は新たに何に気づき、何に価値を見出していくのだろうかと考える毎日です。

このウィルスがイタリアに蔓延したとき、イタリア人は自宅のベランダに出て「歌」を歌い、励まし合っていました。その後、在伊の日本のヴァイオリニストは素晴らしい音色で音楽を奏で、医療従事者の方々を励ましていました。精神状態がこのように逼迫した事態にある時、人間本来のあるべき姿、そして、音楽の力というものを改めて感じられるニュースであったと思いました。

私達はその音楽に携り続けていく中で、自分はもちろん、家族、友人、そして多くの方を励まし、幸せに導く力を持っていることを忘れず、大切に、誇りを持って生きて行かねばならないのだと感じました。
音楽は無形文化遺産なのです。

いつも私たちの音楽を楽しみにしてくださっている皆さま。
お健やかにお過ごしいただき、このウィルスの拡大が終息を迎えた暁に、再び皆様と元気な姿でお目にかかれますことを、心から祈り、願っています。


平野和(バス・バリトン)
①1年ほど前、テレビで偶然に初音ミクのパリでのライブ映像をテレビで視聴しました。ヴァーチャルアイドルを前に盛り上がる観衆を見て、今後我々の仕事の領域にもAIが進出し、我々の需要が減るのではないかと危惧しました。
今回のコロナウィルス禍において、我々ライブパフォーマーはそれとは全く違った形で表現・仕事の場を失うことになりました。この苦境において、配信などのコンテンツを最大限に利用し、聴衆・ファンにメッセージや演奏を発信し続けているアーティストも多数います。心から尊敬します。しかし自分は、そのような形でメッセージや演奏を発信するモチベーションと勇気が持てず、ただただこの状況と無力な自分に困惑しています。
以前、東京ヤクルトスワローズに所属する青木宣親選手のインタビューを読んだことがあります。スランプをどの様に脱するかについて質問された時、彼はスランプを決してメンタルのせいにせず、とことん自分の体・技術と向き合うことで克服すると答えていました。私はトップアスリートの言葉に大変感銘を受けました。
表現の気持ちが外に向かない今、私は自分と家族が健康に過ごすこと、そして歌唱の技術を向上させることに全精力を注ぎ込もうと思います。そしてこの騒動が収束し、私たちが舞台に立つことが許されるその日に、グレードアップした姿を皆様にお見せすることをお約束いたします。どうぞ皆様も健康にはくれぐれもご留意ください。
元気な姿でお会い出来るその日を楽しみにしております。

②オーストリアはロックダウン5週目に突入しました。家事をしたり、子供たちの勉強、習い事の練習に付き合ったりと自宅にいても毎日やることで溢れています。そんな中で、最近日常化してきたリラックス方法を3点挙げてみます。

・家内がお世話になっているヨガの先生が、毎晩45分のレッスンを配信してくださっているので、夫婦で参加
・ロックダウン期間中でも散歩は許可されているので、足漕ぎスクーターの子供達を追いかけながらのジョギング
・アプリで遊びながら英会話を勉強(何でも飽きっぽい私ですが、これは30日間続きました)


上村文乃(チェロ)

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