2013/8/21
ニュース
トリノ王立歌劇場の合唱指揮者、クラウディオ・フェノグリオのインタビュー
児童合唱指揮を経て、2010年よりトリノ王立歌劇場合唱指揮者として活躍するフェノグリオ氏。「ヴェルヴィエ音楽祭2013」で同合唱団が歌ったヴェルディ《レクイエム》は、大きな感動を呼び、客席は大喝采に包まれました。
その優れた合唱団を率いるフェノグリオ氏に、同合唱団の特徴や、日本公演での聴きどころを聞きました。
<クラウディオ・フェノグリオ Claudio Fenoglio>
―トリノ王立歌劇場の特徴はどのようなものでしょうか?
トリノ王立歌劇場合唱団の最も誇れる点は、典型的な「イタリアの音」の質を保っているということ。各声部の歌唱法が、伝統的なイタリア式ベルカント唱法の学習法に、深く根を張るように基づいています。その結果私たちは、滑らかに音符を繋げてゆくことで大きなインパクトを生じさせなければならない楽曲、例えば「ヴェルディのレクイエム」などに、非常に長けた合唱団となります。同じ理由から、古楽から現代音楽までのありとあらゆる合唱のレパートリーに関して、比類のない上演が可能となるのです。
―「仮面舞踏会」「トスカ」の聴きどころをお聞かせください
「仮面舞踏会」 合唱が最も際だつのは、なんと言っても第一幕のフィナーレの壮麗な讃歌「大英帝国の子よ」です。このとき、合唱は重要な役割を担い、全体が巨大な音のフレスコ画となり、我々に迫ってきます。それとはまた違った様相でありながら、同様に強いインパクトを与えるところは、第二幕の終盤に男性合唱の声が加わるところです。陰コーラスの「奴に襲いかかれ・・・」に始まり、やがて舞台上に登場して「何という変わったご趣味だ!」に至る、あの部分です。そしてオペラの最後に、「かように気高く寛大な心よ」の、8分の6拍子で歌われる一節。ここは、徐々に終盤に向かう素晴らしい効果を発揮します。
「トスカ」 第一幕の最後の「テ・デウム」、第二幕の「昇れ、立ちのぼれ・・・」と歌われる教会の聖歌隊の「カンタータ」をぜひ聴いていただきたいですね。この2曲の挿入歌は、様式としては対極的ですが、どちらにも芸術的に大きな効果をもたらします。
<「仮面舞踏会」より>
―合唱指導する際に、心がけていることは?
合唱団とリハーサルを行うとき、心構えとしてつねに守っていることが何点かあります。音楽技術面において、重要視している順序で申しますと、まず、イントネーション。つぎに音のカラー。声を発する瞬間のクオリティ。歌詞をきちんと発音すること。そして、リズムの正確さです。リズムは、まず、おのおのの声部において整え、つぎに全体を整えます。
しかしながら、技術を超えてさらに大切なことがあります。合唱団全体がよい空気、心意気をもって仕事をしているかどうかです。最終的には、そのような心のあり方に影響されるところが大きいと思います!
<ヴェルディ「レクイエム」より>
≪トリノ王立歌劇場 2013年日本公演≫
<「仮面舞踏会」より>
⇒ 公演詳細:https://www.japanarts.co.jp/special/torino_2013/
[公演日程] 会場:東京文化会館
《仮面舞踏会》
□12月1日(日) 15:00
□12月4日(水) 18:30 ※キャンペーン対象日
□12月7日(土) 15:00
《トスカ》
□11月29日(金) 18:30 ※キャンペーン対象日
□12月2日(月) 15:00
□12月5日(木) 18:30 ※キャンペーン対象日
□12月8日(日) 15:00
《特別コンサート“レクイエム”》
□11月30日(土) 14:00 サントリーホール