2013/8/27

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【トリノ王立歌劇場】期待のイタリアン・テノール

日本初登場!イタリア期待のテノール、ピエロ・プレッティの魅力をご紹介します。

トリノ王立歌劇場

 力のある、新しいスターを聴くのは嬉しい。とりわけそれが、昨今めっきり少なくなったと嘆かれているイタリアの歌手、それもテノールだったりする場合は。
 ピエロ・プレッティは、今まさに世界へ羽ばたきつつある、待望のイタリアン・テノールである。
 生まれは地中海に浮かぶサルディーニャ島。ソリストとして活躍を始める前は、イタリア有数の劇場であるサッサリ市立劇場の合唱団で活動し、「貴重な経験」(プレッティ。以下P)を積んだ。本格的なデビューは2006年の《ラ・ボエーム》だったが、2009年にローマ歌劇場でムーティ指揮のグルック《タウリスのイフィゲネイア》、2011年にはトリノ王立歌劇場でノセダの指揮のもと、《シチリアの夕べの祈り》に出演。とくに後者は、本人が「本格的なキャリアが始まった」公演と位置づける成功となった。その後はまさに破竹の勢いで、パルマをはじめイタリアの主要劇場で活躍。スカラ座へのデビューもノセダの指揮による《ルイザ・ミラー》で、好評を博した。来シーズンはウィーンやミュンヘンにもデビューする。
 筆者が初めてプレッティを聴いたのは、昨秋のパルマの《リゴレット》と、パレルモでの《2人のフォスカリ》。甘く柔らかく、素直で伸びやかな声は、待ちこがれていた本格派イタリアン・テノールのそれだった。発声に無理がないのも好もしい。とくに《フォスカリ》は名演で、主役のレオ・ヌッチとの呼吸もぴたり。この7月にはスカラ座で《仮面舞踏会》を聴いたが、大役を堂々と歌い切り、満場の拍手を浴びていた。
 注目のテノールが初めての日本で披露するのは、ヴェルディの《レクイエム》とロッシーニの《スターバト・マーテル》。《レクイエム》についてプレッティは、「最初に歌った時から魅せられています。至高の、そして絶対的に美しい作品です」と語る。その名曲を「偉大なマエストロ」(P)であるノセダといっしょに日本で歌えるのは「とても幸せなことです」。多くのアーティストが賞賛するトリノ王立劇場は、彼にとっても「芸術的にも、マネジメントの上でも素晴らしい」劇場だという。「トリノ王立歌劇場では、ほんとうに、情熱と献身を肌で感じる」のだそうだ。
 初めての日本は「とても楽しみです。日本の皆様の前で歌えるのは嬉しい」と張り切る。《レクイエム》には〈インジェミスコ〉などテノールの美しいソロが聴ける曲が少なくない。上り坂のイタリアン・テノールを、この機会にぜひ体験していただきたい。

取材・文 加藤浩子(音楽評論家)


≪トリノ王立歌劇場 2013年日本公演≫
トリノ王立歌劇場
<「仮面舞踏会」より>
 ⇒ 公演詳細:https://www.japanarts.co.jp/special/torino_2013/
 [公演日程] 会場:東京文化会館
 《仮面舞踏会》
 □12月1日(日) 15:00
 □12月4日(水) 18:30
 □12月7日(土) 15:00

 《トスカ》
 □11月29日(金) 18:30
 □12月2日(月) 15:00
 □12月5日(木) 18:30
 □12月8日(日) 15:00

 《特別コンサート“レクイエム”》
 □11月30日(土) 14:00 サントリーホール

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