2020/10/1

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[公演レポート]【オンライン配信】Japan Arts Live Streaming+ 『みゆじックアワー』

限定60名の会場の客席で!オンライン配信はお好きな場所で!コンサートをお好みで楽しむことができる、ピアニスト金子三勇士がホストを務める『みゆじックアワー』シリーズ。今後の公演にも注目が集まる中、音楽ライター/編集者の原典子さんによる公演レポートが届きました!

あらゆるコンサートがインターネットで配信されるようになった現在、どれを視聴したらよいのか分からないという方も多いかもしれない。そんな方におすすめしたいのが、テレビの音楽番組を見るような感覚で楽しむことができる『みゆじックアワー』。ピアニストの金子三勇士がホストとなり、毎回ゲストを迎えてコンサートとトークを届ける約1時間の生放送プログラムである。

この企画がユニークなのは、観客を入れたリアルなコンサートとオンライン配信の「ハイブリッド」であるという点。会場となる渋谷のeplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて、配信に先立って30分間の「60名様限定ライブ」が行われるのだ。配信がスタートしてからも、テレビ番組の観覧客のようにライヴ収録の場に立ち会うことができる。一方、オンラインの視聴者も、チャット機能を使ってリアルタイムでメッセージを送ることができる。こうした双方向のコミュニケーションという意味において、ラジオ番組に近い雰囲気もあるように思う。

『みゆじックアワー』の魅力は、まず金子のパーソナリティにあるだろう。NHK-FM『リサイタル・パッシオ』の司会者も務める金子の安定感抜群の進行、そして音楽家としての深い洞察を感じさせる知的な会話が、ただ演奏を聴くだけではない喜びを与えてくれる。ヴァイオリンの大谷康子をゲストに迎えた第1回に続き、チェロの伊藤悠貴を迎えた第2回では、同い歳ということもあり、トークにもディープな盛り上がりがあって興味深かった。

みゆじックアワー(金子三勇士、大谷康子)

<第1回目のゲスト大谷康子(ヴァイオリン)と金子三勇士(ピアノ)>

金子と伊藤は、これまで面識こそあったものの、共演は今回がはじめてとのこと。6歳でハンガリーに渡った金子と、15歳でイギリスに渡った伊藤、ともに海外生活が長いという共通点だけでなく、互いの音楽に惹かれ、不思議な縁を感じていたというふたり。その予感どおり、リハーサルも細かい打ち合わせが必要ないほどスムーズに進み、相性の良さを確信したという。

みゆじックアワー(金子三勇士、伊藤悠貴)

<金子三勇士(ピアノ)と第2回目のゲスト伊藤悠貴(チェロ)>

甘くなりすぎず、それでいてエレガントなエルガーの《愛の挨拶》にはじまり、ゆったりとしたテンポをとったサン=サーンスの《白鳥》では、ふたりが共通した「歌」への感覚を持っていることを感じさせる。「合わせよう」としなくても、自然な呼吸のうちに音楽が進んでゆく心地よさ。それはトークにおいても同様で、「ラフマニノフは後期ロマン派なのか、20世モダンなのか?」「自分の楽器はHEか、SHEか?」など、台本なしで進むふたりの語らいは、いつまでも聞いていたいほど。

みゆじックアワー(金子三勇士、伊藤悠貴)

<金子三勇士(ピアノ)と第2回目のゲスト伊藤悠貴(チェロ)>

濃厚な語り口によるラフマニノフの《ヴォカリーズ》、ハンガリーの作曲家でありチェリストでもあったポッパーによる熱気あふれる《ハンガリー狂詩曲》、そしてアンコールには伊藤みずからが石川啄木の詩に寄せて作曲した《春の雪》など、メリハリのあるプログラムに時間を忘れて聴き入ってしまった。

恒例となっている「作曲家当てクイズ!」は、今回は超難問! 我こそはという方は、ぜひアーカイヴ配信を見てチャレンジしていただきたい(10月7日まで購入・視聴可能)。そして、10月13日に開催される第3回目のゲストは、欧米でも注目を集め、この10月には鈴木優人プロデュースによるヘンデルの歌劇《リナルド》出演で話題を呼んでいるバリトンの大西宇宙。金子と大西もかねてから面識があり、いつか共演したいと望んでいたとのことで、どんな演奏とトークが繰り広げられるのか、今から楽しみだ。

食事をしながら、掃除をしながら、小さな子どもと一緒に……視聴者が思い思いの時間に楽しむことができるのが配信コンサートの良いところ。日常生活のなかに『みゆじックアワー』がとけ込んで、多くの人に音楽との出会いや、心潤う時間を与えてくれることと思う。

原典子(音楽ライター/編集者)

vol.3はゲストにバリトンの大西宇宙を迎え、10月13日(火)13:00開演!
(オンライン配信は14:00より)

第3回目のゲストは、欧米の歌劇場などで注目を集める若きバリトン、大西宇宙を迎え、曲目、作曲家、時代、楽器、日常のこぼれ話・・・などのトークと共に、演奏をお届けします。
また、先着60名様限定で『みゆじックアワー』の配信を会場でご観覧いただけます。配信前に、ご来場いただいたお客様だけにおおくりする30分間のスペシャルライブも行います。もれなく1ドリンク付!オンライン配信&ソーシャル・ディスタンス・ライブのハイブリッド公演、どうぞお楽しみください。

<プログラム>
13:00~ 会場限定 30minutesスペシャルライブ
ヴェルディ:歌劇「椿姫」より “プロヴァンスの海と陸”
ヴァーグナー:歌劇「タンホイザー」より “夕星の歌” ほか
* * *
14:00~『みゆじックアワー』※オンライン配信スタート
シューマン:「献呈」歌曲版
シューマン/リスト:「献呈」ピアノ版
ラフマニノフ:春の流れ
リスト:《ペトラルカのソネット》第1曲「平和は見つからず」ほか
※曲目・曲順は変更になる場合がございます。

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