2021/1/18
ニュース
【記者会見レポート】国際音楽祭NIPPON2020(2021年2月開催)
2021年1月15日(金)、国際音楽祭NIPPON2020 (2021年2月開催)のリモート記者会見が行われました。
国際音楽祭NIPPON芸術監督の諏訪内晶子、主催のジャパン・アーツ代表、同音楽祭プロデューサーが出席し、冒頭に司会者より、この2021年2月開催の経緯、出演者変更および公演の一部がオンライン配信されることを説明しました。
今回海外からの入国制限により、出演者は、 ヴァイオリンのテディ・パパヴラミから米元響子に、チェロのアンリ・ドゥマルケットから辻本玲に変更となります。 二人とも、国際的に活躍する実力派のアーティストです。
主催であるジャパン・アーツ代表取締役社長 二瓶純一による挨拶。
二瓶純一:コロナで世界中が大変な中、日本が1番コンサートが行われている都市ではないでしょうか。ジャパン・アーツではしっかりとした感染対策をして、開催をしておりますが、今後もガイドラインに沿い、安全安心な実施を目指します。
2020年の2月は、会期の途中で中止を余儀なくされましたが、今回は室内楽公演を中心にお客様へ向けて出演者とともに届けて参ります。
文化芸術の力をサポートしてくださる特別協賛の株式会社豊田自動織機様、トヨタ自動車株式会社様、豊田通商株式会社様、アイシン精機株式会社様の4社には引き続きご協賛をいただき、大変ありがたく存じます。
また、日本経済新聞社様とともに、この音楽祭の主催をして参ります。
今回は配信も取り入れ、ライブの持つプレミアム感を大切にしながら実施をしていきたいと思います。
諏訪内晶子:今回は延期公演として音楽祭が再び開催できることになり、ご協力いただいております皆さまに心より感謝しております。
このような情勢の中ですが、外国人アーティストにかわり、世界的に活躍する米元響子さん、辻本玲さんという優れた演奏家のお2人に出演いただけることとなりました。
企画に関しては、昨年はベートーヴェン・イヤーでしたので、「ベートーヴェン室内楽マラソン・コンサート」という企画がありましたが、この度は中止となり、そのほかの、諏訪内晶子 室内楽プロジェクト『Akiko Plays CLASSIC with Friends』、『Akiko Plays MODERN with Friends』、名古屋で開催の『ミュージアム・コンサート I ・II』、釜石の『東日本大震災復興応援コンサート in 釜石 諏訪内晶子&フレンズ』は曲目を変えずに演奏をいたします。
生のコンサートとして、お越しになれないお客様にはオンラインという形でお楽しみいただきたいと思います。
つづいて、同音楽祭プロデューサー山田亮子(ジャパン・アーツ 取締役)より各企画の説明を行いました。
山田亮子:2月9日より盛りだくさんの1週間を展開していきます。今回は、室内楽がメインとなります。
諏訪内晶子 室内楽プロジェクト『Akiko Plays CLASSIC & MODERN with Friends』。古典からロマン派いわゆるクラシックと、対比として現代作品を取り上げます。モダン・プログラムで演奏するスティーヴ・ライヒの「ヴァイオリン・フェイズ」は、事前に諏訪内晶子が収録した音源にライブで音を重ねて演奏する楽曲です。また、この音楽祭のために書き下ろしていただいた、川上統:組曲「甲殻」より新作『オトヒメエビ』は世界初演です。甲殻類を主題とした組曲で、諏訪内晶子をイメージした楽曲となっているそうです。この2公演に関しては、ライブ配信を予定しています。
名古屋では、2館の素晴らしいミュージアムで、1日に2公演を予定しております。素晴らしいコレクションを所蔵する徳川美術館と優れた音響の環境があるトヨタ産業技術記念館での開催で、見どころ聴きどころ満載です。
最後に釜石公演ですが、室内楽の演奏会とともに、アウトリーチとして小中学生に生の演奏をお届けするために学校コンサートを行います。
マスタークラスにつきましては、普段教鞭を執っていない諏訪内晶子が、プロを目指す若い演奏会の皆様にいろいろなアドバイスをするというとても貴重な機会となっております。
ぜひご期待いただけましたらと願います。
◇質疑応答
今回は、事前に参加者の皆さまより質問をいただき、会見で諏訪内晶子が応えました。
今、世界のだれもが経験したことのない事態となっています。諏訪内さんは国際的なアーティストとして、芸術家として、このパンデミックという状況をどのようにとらえていますか?
諏訪内晶子:日本で私たちが育ってきた年代は、戦争というものを経験していない恵まれた環境でしたので、演奏会ができないということに陥ったこともなく、このような状況になったことは初めてです。先輩の芸術家の中には政治的な理由で演奏活動ができなかった人たちや作曲家がいましたし、同世代の演奏家の友人でも、自由に演奏したいところで活動することが叶わなかった人もいます。その様な中、これまで恵まれた環境であったことが奇跡的なのだと思います。
今回の演奏家としての活動ができなくなるという状況で、自分には、何ができるのか、これから再スタートをどのように切ればよいのか、考える良い機会になったと思います。
音楽祭ができるということは、本当にありがたいことです。
なぜ、この音楽祭を続けたいと思われるのでしょうか?
諏訪内晶子:継続しなければみえてこないことがあり、続けるということに意義があると思います。
昨年釜石で小学校と中学校を訪れてアウトリーチコンサートを行いました。
その時に演奏を聴いてくれた小学校1年生の児童の皆さんは、震災を経験していないのですが、その地で生まれ育ち、希望を持ちながら未来に向かって歩き続けています。音楽祭を始めた当初は、その様な年代の方々に向けて音楽を届けるとは想像をしていませんでしたが現実を受け止めながら先に進んで行くことを、人々と共有できているように感じます。昨年アウトリーチで共演した小井土文哉さんは、震災をきっかけに、出会った演奏会やオーケストラの演奏を聴いて音楽の道に進まれたそうです。そしてこのアウトリーチに出演いただいたということは、この音楽祭の継続の中から生まれてきたことなのではないかと思っております。
諏訪内さんが新たに貸与されたヴァイオリンでの最初の音楽祭となりますね。
諏訪内晶子:ヴァイオリニストにとって、弦楽器奏者にとって、楽器との出会い、どの楽器を演奏するかはとても重要なことです。
探そうとしても見つからないときは見つからない、楽器はあったとしてもその楽器で演奏できないこともあります。
これまで使用していた楽器は2020年に返さなくてはいけない契約でしたが、とても素晴らしい楽器でしたので、返却をしたあとに、探そうという気持ちが起こりませんでした。
あるときパンデミックになる直前のアメリカでの演奏会でこの1732年製グァルネリ・デル・ジェス「チャールズ・リード」に出会い、この楽器で演奏していきたいと思いました。10月より貸与いただき演奏しております。
まだまだ音を引き出さなくてはなりませんし、これまでのストラディヴァリウスとは異なる魅力をもつ楽器です。
音楽的にも、これまで進みたいと思ってきた道も変わってきました。まだ模索の状態ですが、素晴らしい楽器と出会えたことは幸運だったと思います。
以上で記者会見が終了いたしました。
今回の国際音楽祭NIPPONは、新たに貸与された楽器とともに、コロナ禍での特別なプロジェクトとなります。
2月の開催に、どうぞご期待ください!
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<国際音楽祭NIPPON2020 2021年2月9日(火)~2月16日(火)>
⇒特設サイトこちらから
諏訪内晶子 室内楽プロジェクト
Akiko Plays CLASSIC with Friends/ Akiko Plays MODERN with Friends
2021年2月15日(月)・2月16 日(火)19:00 東京 紀尾井ホール
【出演者】
諏訪内晶子、米元響子(以上ヴァイオリン)
鈴木康浩(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)、阪田知樹(ピアノ)
ミュージアム・コンサートⅠ&Ⅱ
2021年2月14日(日)
13:00 名古屋 徳川美術館講堂
19:00 名古屋トヨタ産業技術記念館エントランスロビー
【出演者】
諏訪内晶子、米元響子(以上ヴァイオリン)、鈴木康浩、有田朋央(以上ヴィオラ)、
辻本玲、上野通明(以上チェロ)
東日本大震災復興応援コンサート in 釜石 諏訪内晶子&フレンズ
2021年2月13日(土)13:00 釜石市民ホールTETTO
【出演者】
諏訪内晶子、米元響子(以上ヴァイオリン)、鈴木康浩(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)
阪田知樹(ピアノ)
マスタークラス 講師:諏訪内晶子、米元響子(以上ヴァイオリン)
2021年2月9日(火)・2月10日(水) 東京 ティアラこうとう
【主催】ジャパン・アーツ/日本経済新聞社/
釜石市民ホール(東日本大震災復興応援コンサートのみ)
【共催】(愛知)中日新聞社/CBCテレビ/徳川美術館
【特別協賛】株式会社豊田自動織機/トヨタ自動車株式会社/豊田通商株式会社/
アイシン精機株式会社
【協力】ユニバーサル ミュージック/(愛知)トヨタ産業技術記念館