2019/11/27
ニュース
【国際音楽祭NIPPON2020】 《諏訪内晶子と室内楽》
2020年2月~3月にかけて行われる国際音楽祭NIPPON 2020。
2020年2月まで諏訪内晶子についての連載を行います!
国際音楽祭NIPPON 2020~《諏訪内晶子と室内楽》
すばらしいアーティストとの共演は、表現の仕方や響きの作り方など、一瞬にして多くの発見をもたらしてくれます。今回の国際音楽祭NIPPONにも国内外から優れた演奏家が集まるので、私自身、共演を楽しみにしています。
特に「室内楽プロジェクト」では、3月11日と13日の2日間にわたり、名曲プログラム、現代音楽のプログラムと、二つの対照的なプログラムをお届けします。共演は、スヴェトリン・ルセフさん(ヴァイオリン)、佐々木亮さん(ヴィオラ)、アンリドゥマルケットさん(チェロ)、マルクス・グローさん(ピアノ)。
例えば、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲第2番(3月11日)というマスターピースに対比させるのは、レオ・オーンスタインのピアノ五重奏曲第2番(3月13日)。
オーンスタインは長命で、20世紀を生きた作曲家ですが、このピアノ五重奏は1927年の作品。オーンスタインは前衛的な作風で知られていますが、このピアノ五重奏曲も画期的、実験的な要素が込められています。20世紀のあらゆるピアノ五重奏曲について調べる中で出会い、ぜひとも演奏したいと思って選びました。
私はデビュー以前から近現代の音楽に接するのも好きで、演奏活動をするようになってからは、いつも心のどこかに機会があれば現代作品を積極的に取り上げたいという気持ちがあります。
日本の演奏会ではどうしても有名曲のプログラムが多くなりがちですが、現代からそう遠くない時代に作曲された作品にもすばらしいものがあることを演奏家として伝えたく思っています。それは使命感というより、素晴らしい作品は演奏をしていても楽しく、時代を越えて聴衆の方々とも共有したいからです。
例えば、私はこれまでペンデレツキさんの作品を何度も演奏していますが、そのたびに作曲家に尋ねたいことがでてくる。その都度質問していると、あるとき、「君、こんなに何度も弾いているのにまだ聞きたいことがあるの!?」と言われて(笑)。でも実際、作品に真剣に向き合うといろいろな質問が出てくるのです。ベートーヴェンには質問できませんけれど、ペンデレツキさんにはできますからね。
現代作品には解釈や演奏することが難しいものもたくさんありますが、すばらしい音楽は、間違いなく後世に受け継がれていくと思います。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も、当初は演奏不可能と言われたのですから。今は難曲と言われている作品も、30年後には皆が軽々と弾けるようになっているかもしれません。
取材・文:高坂はる香(音楽ライター)
《諏訪内晶子と子供時代》はこちらから
《諏訪内晶子と教育への想い》はこちらから
国際音楽祭NIPPON2020特設サイトはこちらから
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諏訪内晶子のプロフィールページはこちらから
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