2021/12/17

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

森麻季 インタビュー ソプラノ・リサイタル「音の美術館」〜イタリアの名曲をイタリアの名画とともに楽しむ (2022年2月4日 東京オペラシティ コンサートホール)

2022年2月4日(金)13:30開演 東京オペラシティコンサートホールにてソプラノ・リサイタル「音の美術館」を行う森麻季のインタビューをご紹介します。

森 麻季

◆今回は「音の美術館」というタイトルですが、どのようなコンセプトのコンサートなのでしょうか
イタリアの美の世界を旅するようなコンサートができたら…。そのような思いで誕生したのが、この企画です。イタリアは、音楽だけでなく絵画、彫刻、建築など、まさに西洋アートの美の聖地です。イタリア音楽といえば、華やかなイタリア・オペラのアリアを歌わせていただくことが多いのですが、歌手であるわたくしの原点でもあるイタリア古典歌曲を、もっと多くの方に聴いていただきたいという願いを、文化・芸術プロデューサーで、さまざまなアーティストの企画を制作されている浦久俊彦さんが、「音の美術館」という、イタリア絵画と音楽の世界がひとつになったすばらしい企画でかなえてくださいました。
このコンサートでは、ルネサンス期からバロック、近代イタリア絵画まで、イタリアの壮大な美の系譜ともいうべき、総数50点におよぶイタリア絵画の傑作たちが登場します。その名画をバックに、イタリア古典歌曲、アヴェ・マリアの名曲たちを、心を込めて歌わせていただきます。ルネサンスという時代とは何だったのか? ルネサンスの美の世界はどうやって誕生したのか? そんな想いを巡らせながら、「眼」と「耳」をすませて、遥かなるイタリアの風を感じていただけると嬉しいです。どうかイタリアを旅するような気分で、ごゆっくりリラックスしてお楽しみいただきたいと思います。

◆森さんはイタリア・ミラノに留学されていたようですが、留学されていた経験や思いがご自身の歌(今回の企画)に影響していることはありますか
イタリア留学時代は、よく教会に出かけました。嬉しい時も悲しいときも。教会にいると気持ちが落ち着いてゆきます。「祈り」は音楽に通じるものがあるように思います。私自身がカトリックの信仰を持っていることもあり、神様にお祈りすることは身近なことと感じておりますが、誰にとっても、宗教を超えて「祈ること」は心が穏やかになり、また自分だけではなく周りの人や、悲しみや困難の最中にある人へ祈ることもできます。「祈り」は、ときに思いやりであったり、幸せを願うことであったりもするように思いますので、「祈り」は大切なものだと思います。
最近の日本は大きな震災があったり、悲しい事件が続いたり、また多くの方が様々なストレスや心がくじけそうな事柄を抱えている世の中だと感じております。
そんな中で少しでも勇気付けられたり、前向きになれるような力をもつ詩のある歌は、歌っている私にとってももちろん心に響きますし、聴いてくださる方がコンサートなどで涙を流してくださったり、心を動かしてくださる様子を拝見すると、素晴らしい歌だなぁ!と思うばかりです。心の琴線にふれるというのでしょうか、音楽の力を感じさせてくれる歌は、ジャンルをこえて、これからも大切に歌ってゆきたいと思っています。

◆森さんの好きな画家と絵画作品はございますか
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「プリマヴェーラ(春)」は、ルネッサンス期を代表する名画で、とても好きな画家、絵画作品です。「ヴィーナスの誕生」は女神ヴィーナスが海より出現するギリシャ神話の一節が描かれており、それまでの古典的なリアリズムとは異なる様式でヴィーナスの美しさを象徴している作品であるといわれています。ボッティチェリの描いたヴィーナスは官能的であり、装飾的な表現を施すことによって女性の神秘性や美しさを余すことなく表現していると思います。
「プリマヴェーラ(春)」は、こちらもボッティチェリの代表作であり、ルネッサンスの最盛期を告げる名画の一つとして世界中の人々からよく知られている作品です。春の女神プリマヴェーラとともに、女王ヴィーナスが出現し、美の女神、貞潔の女神、愛の女神の三美神が舞い踊る、美しく豊かな春の訪れを表現しています。この作品はロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチの結婚を祝う目的で描かれたと考えられていますが、イタリアらしいとても好きな作品です。2つの絵画は今回の投影絵画の中にも登場してまいりますので、楽しみにしていただけたらと思います。

◆コロナ禍により、森さん自身、音楽との向き合い方は変わりましたか
コロナ禍には、仕事がどんどん中止や延期となり、先が見えない時期には、これから演奏活動はもうできなくなってしまうのではないかと、これからどうなるのだろうかと、とても不安でした。考えるほどに不安は大きくなり、先の計画にも、音楽にも、集中して真剣に取り組めない時期がありました。そして、亡くなるかたのニュースには心が痛み、これまでと違う日常には大変戸惑いもありました。それでも、音楽でできることはないだろうかという思いから、自分の拙いピアノ伴奏で自宅から歌の配信などを試みました。SNSで「心が癒されました」などのご感想をたくさん寄せていただき、皆様のお言葉に私の方が励まされた日々でした。
第一回目の緊急事態宣言による自粛が明けた後、最初のコンサートは6月、鈴木優人さんとご一緒にオンラインで演奏をしました。そして8月、バッハ・コレギウム・ジャパンの「マタイ受難曲」演奏会に参加させていただきました。ホールの天上から降り注ぐ音楽の響きに包まれたときの感動は忘れられません。それまでは当たり前だったことなのですが、ホールで歌ってお客様と音楽を共有できた時にはやはり、「なんて素晴らしいんだろう」と喜びをかみしめ、胸が熱くなりました。(そのときの私はきっと喜びのあまり、涙を流していたと思います)それからは特に、毎回のコンサートは私にとってかけがえのないものなのだという思いが強くなったように思います。そして大変な中にもご来場くださったお客様に、心ゆくまで音楽を楽しんでいただきたいという思いを常に持って歌っています。自分が今日この日、お客様と一緒にいられる演奏会のありがたさに感謝して。

2022年2月4日(金)東京オペラシティコンサートホールのほか、2月6日(日)はiichikoグランシアタでもソプラノ・リサイタル「音の美術館」を開催。
巨大スクリーンに映し出される名画の数々。そしてそれにまつわる物語をテーマにした珠玉の名曲たち。森麻季の歌声とともに音楽の旅をお楽しみください。

『ダ・ヴィンチ、ボッティチェッリやラファエロなど有名な画家たちの聖母像(12点)をアヴェ・マリアの名曲とともにお楽しみいただく』コーナーもあります!

音の美術館~イタリア 美への旅路 絵画一覧
ジョット・ディ・ボンドーネ (1267?-1337) 『キリストの磔刑』『荘厳の聖母』
フラ・アンジェリコ (1387-1455) 『アンナレーナ祭壇画』『サンマルコ祭壇画』
フィリッポ・リッピ (1406-1469) 『聖母子像』『聖母戴冠』『聖母子と天使』
ピエロ・デラ・フランチェスカ (1412-1492) 『キリストの降誕』
ベノッツォ・ゴッツォリ (1421?-1497) 『東方三博士の旅』
ジョヴァンニ・ベリーニ (1430?-1516) 『牧場の聖母』
アンドレア・マンテーニャ (1431-1506) 『キリストの磔刑』『オリーブ山の祈り』『ゴンザーガ家の人々』
サンドロ・ボッティチェッリ (1445-1510) 『ヴィーナスの誕生』『プリマヴェーラ』『聖母子(書物の聖母)』『ざくろの聖母』
ペルジーノ (1448?-1523) 『慰めの聖母』 『愛欲と純潔の戦い』
レオナルド・ダ・ヴィンチ (1452-1519) 『モナ・リザ』『受胎告知』『白貂を抱く貴婦人』『岩窟の聖母』
ミケランジェロ・ブオナローティ (1475-1564) 『システィーナ礼拝堂の天井画』『アダムの創造』
ジョルジョーネ (1477?-1510) 『眠れるヴィーナス』
ラファエロ・サンティ (1483-1520) 『ベルヴェデーレの聖母(牧場の聖母)』『サン・シストの聖母(システィーナの聖母)』『椅子の聖母』
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ (1488?-1576) 『ヴィーナスとアドニス』『フローラ』
バルトロメオ・ヴェネト (1502?-1555) 『フローラ』
フェデリコ・バロッチ (1535-1612) 『エジプトへの逃避途上の休憩』
ミケランジェロ・メリージ・カラヴァッジオ (1571-1610) 『聖マタイの召命』『果物籠』『リュートを弾く若者』『詐欺師』
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ (1696-1770) 『聖痕を受ける聖フランチェスコ』『フローラの勝利』
フランチェスコ・アイエツ (1791-1882) 『接吻(キス)』『ロミオとジュリエット』『エルサレムの近くで飢え渇く十字軍』『復讐の誓い』

森麻季
<写真:森麻季&ジャパン・アーツ アフタヌーン・コンサート公式マスコットキャラクターの「たぬ~ん」>

≪公演情報≫
アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2021-2022
歌と映像でお贈りする イタリア 美への旅路
森麻季 ソプラノ・リサイタル「音の美術館」
日時:2022年2月4日(金) 13:30開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
出演:森麻季(ソプラノ)、山岸茂人(ピアノ) 、浦久俊彦(ナビゲーター)
プログラム:
カッチーニ:『アマリッリ』
ヴィヴァルディ:『来て、いとしい人よ』
アヴェ・マリアの名曲たち
J.S.バッハ(グノー編曲)、シューベルト、マスカーニ
ロッシーニ:歌劇『セミラーミデ』より 麗しい光が
ベッリーニ:歌劇『ノルマ』より 清らかな女神よ
プッチーニ:歌劇『ジャンニ・スキッキ』より わたしのお父さん
プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』より 私が街を歩けば(ムゼッタのワルツ) ほか
※やむを得ず、曲目が変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
https://www.japanarts.co.jp/concert/p930/

iichiko presents
森 麻季 音の美術館 イタリア 美への旅路
日時:2022年2月6日(日) 14:00開演
会場:iichikoグランシアタ
出演:森麻季(ソプラノ)、山岸茂人(ピアノ) 、浦久俊彦(ナビゲーター)
プログラム:
ジュリオ・カッチーニ 『アマリッリ』
アントニオ・ヴィヴァルディ 『来て、いとしい人よ』
アヴェ・マリアの名曲たち バッハ/グノー、シューベルト、マスカーニ
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ 歌劇『ノルマ』より 清らかな女神よ
ジャコモ・プッチーニ 歌劇『ジャンニ・スキッキ』より わたしのお父さん
ジャコモ・プッチーニ 歌劇『ラ・ボエーム』より ムゼッタのワルツ  ほか
https://emo.or.jp/event/3841/


◇森麻季プロフィールはこちら
https://www.japanarts.co.jp/artist/makimori/

ページ上部へ