2023/3/3
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【速報&現地レポート】樫本大進、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ベルリン・フィルとの、 細川俊夫:ヴァイオリン協奏曲《祈る人》の世界初演は大成功!
ヴァイオリニストの樫本大進が、自身が10年間以上コンサートマスターを務めるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とパーヴォ・ヤルヴィの指揮のもと、日本を代表する作曲家・細川俊夫の協奏曲《祈る人》を世界初演し、3日間連続公演(チケットは完売)の初日で大成功を収めました。
現地ベルリンから届いたばかりの公演レポートを、どうぞご覧ください。
ベルリンで世界初演された細川俊夫の《祈る人》
3月2日、細川俊夫のヴァイオリン協奏曲《祈る人》が、樫本大進の独奏、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によって世界初演された。凍てつく寒さの外からフィルハーモニーの中に入ると、熱気が立ち込める。今回の定期演奏会は3日間とも早々にソールドアウトとなった。
細川は早くから人間と自然の一体性を主題にした「旅」と題する協奏曲シリーズを発表してきたが、今回の新作では世界の危機的な状況が反映されている。沈黙のなかから樫本が奏でるヴァイオリンの静かな歌は、やがて激しいトレモロとなり、自然(宇宙)の役割を果たすオーケストラとの対話が始まる。5部から成るこの作品の真ん中に置かれた「Song of Prayer」を無心に奏でる樫本は、祈る人そのものだ。
しかし、金管楽器が咆哮を上げ、「Struggle」という争いの場面へと至る。人間による自然への最も野蛮な行為が戦争であり、今のウクライナの状況を思い浮かべずにはいられない。それでも、戦争の終わりが見えない現実と違い、細川は「Purification」と題した終曲で小さな希望を込める。樫本は、自然とひとつになるかのように一瞬オーケストラを向いてから浄化の歌を奏でた。それは聴き手である我々自身の「祈り」でもあることに思いが至る……。
フィルハーモニーを埋めた聴衆は包み込むような喝采をおくった。ベートーヴェンとメシアンの作品の間に、東と西をつなげ、人間と自然のあるべき姿を静かに問いかける細川俊夫の新作が初演された意義を噛み締めている。
中村真人 (音楽ジャーナリスト/在ベルリン)
同コンサートは、3月3日(金)・4日(土)にも上演されます。日本からは、ベルリン・フィルデジタルコンサートでお楽しみいただけます。(有料登録が必要です)
2023年3月5日(日) 3:00~
https://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/54308
細川俊夫:ヴァイオリン協奏曲《祈る人》日本初演:
7月27日(木) 19:00 サントリーホール
セバスチャン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/12/630-1.php#concert
山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団
若き巨匠・山田和樹&英国の名門オーケストラと共に、樫本大進が贈るブラームスのヴァイオリン協奏曲。
6月25日(日) 14:00 みなとみらいホール
6月30日(金)19:00 サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2011/
◆樫本大進のアーティストページはこちらから
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/daishinkashimoto/