2023/5/3

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

【記者会見レポート】ウィーン少年合唱団 2023年来日公演

ウィーン少年合唱団

毎年、新緑が芽吹く季節に日本を訪れ、天使の歌声を全国に届けていたウィーン少年合唱団。コロナ禍でツアーができなかった期間を経て、このたび4年ぶりに日本に戻ってきてくれました! シューベルト、ハイドン、モーツァルト、ブルックナーという、合唱団にゆかりのある作曲家の名を冠した4つの組のうち、今年はハイドン組が来日。5月3日から1ヶ月以上をかけて各地を巡るツアーに先がけ、5月1日に記者会見が開催されました。

ウィーン少年合唱団

会場に集まったメディア関係者らの拍手に迎えられ、ハイドン組のメンバーが並んで会場に入ってきます。合唱団のメンバーでいられるのは10歳から14歳という、変声期を迎えるまでのわずかな期間ゆえ、ほぼ全員のメンバーにとって海外ツアーは今回がはじめてとのこと。期待に胸ふくらませながら、少し緊張した表情を浮かべたメンバーも。

ウィーン少年合唱団

はじめに、招聘元であるジャパン・アーツ代表取締役の二瓶純一よりご挨拶がありました。
「コロナ禍により2020年の来日ツアーを泣く泣く見送ってから、本当に長い時間が経ってしまいました。ウィーン少年合唱団はまったくツアーができなかった2年半ぐらいの間、700公演ほどが中止になったと聞いております。自主運営団体ゆえ、ドネーションを募ったりもしていました。そうした苦難の時期を経て、こうして10か国のメンバーからなるハイドン組、24名が来日してくれました。カペルマイスターのジミー・チャン先生は指揮者としても非常に才能ある方ですので、ぜひご注目ください」

次に、駐日オーストリア共和国のエリザベート・ベルタニョーリ大使からのメッセージが代読されました。
「パンデミックは10歳から14歳の少年たちにとって、とりわけ厳しい時期だったことでしょう。1955年以来、ウィーン少年合唱団は定期的に日本を訪れ、今年で25回目の来日を果たしました。ウィーン少年合唱団は、オーストリアと日本の長年にわたる素晴らしい2国間関係の深化に貢献しています。2019年、日本とオーストリアは外交開始150周年を迎えました。また、2023年は1873年のウィーン万博に日本が参加してから150周年の節目の年でもあります。日本ツアーの成功を心から願っています」

ウィーン少年合唱団
<ウィーン少年合唱団 団長 エーリッヒ・アルトホルト氏>

続いて、ウィーン少年合唱団の団長、エーリッヒ・アルトホルト氏。
「ウィーン少年合唱団は、2023年に創立525周年を迎えました。この3年間は苦しい時期でしたが、だからこそ、ポスト・コロナに向けてポジティブな未来を描いていくことが大切だと考えています。困難な時代こそ、信頼できる友とのパートナーシップが心強いものとなります。ジャパン・アーツの皆さん、日本の皆さんにこの場をお借りして心より感謝申し上げます」

ウィーン少年合唱団
<ウィーン少年合唱団 芸術監督 ゲラルト・ヴィルト氏>

芸術監督のゲラルト・ヴィルト氏は、次のように語ります。
「私がウィーン少年合唱団に在籍していた子どもの頃から、日本公演は憧れでした。今のメンバーたちにとっても、日本ツアーは間違いなくハイライトになることでしょう。今回のツアーでは、日本初披露となる曲が数多くあります。たとえば、モーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》のアカペラ・バージョン。これは作品番号がK525ということで、525周年にちなんで選びました。ほかにもニュージーランドの労働歌《ウェラーマン》、イラディエルの《ラ・パロマ》、ラヴランドの《ユー・レイズ・ミー・アップ》、インドの献身歌《ラーマ卿よ、ラグーの子孫よ》、ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・フランセーズ《上機嫌》なども初披露となりますので、どうぞお楽しみに」

ウィーン少年合唱団
<ウィーン少年合唱団 ハイドン組カペルマイスター ジミー・チャン>

ウィーン少年合唱団

カペルマイスターのジミー・チャン先生は、ハイドン組の特徴と今回のプログラムについて、以下のように紹介がありました。
「パンデミックの影響で、ほとんどのメンバーにとって海外公演がはじめて、日本に来るのもはじめてということになります。エネルギッシュで元気のよい、個性的なメンバーが揃っているのがハイドン組の特徴です。今回のツアーでは2種類のプログラムをご用意しましたが、プログラムAの“プレミア”は日本初披露の曲が多く入っており、パンデミックの最中にオンラインコンサートという形で収録した3枚のCDからの曲も演奏します。プログラムBの“オン・ステージ”は、オペラやミュージカルといった舞台でのナンバーを中心に選曲しました」

ウィーン少年合唱団

ウィーン少年合唱団

記者からの質疑応答では、さまざまな質問が寄せられました。なかでも「将来の夢は?」という質問に対して、メンバーがそれぞれ「弁護士」「建築家」「宇宙飛行士」「詩人」といった多彩な夢を語ってくれたのが印象的でした。

ウィーン少年合唱団

ウィーン少年合唱団

「現在、ウィーン少年合唱団には30か国ほどのメンバーが在籍していますが、音楽という言語は国籍を超えて国際社会に貢献するもの、音楽を通したコミュニケーションは人間としての力を育むものです。メンバーのなかで、プロの音楽家の道に進むのが30%程度、あとの70%が音楽以外の職業につきますが、ほとんどの人が趣味で音楽を続けていると聞きます」とチャン先生。ウィーンのアウガルテン宮殿で共同生活を送る数年間は、少年たちにとってかけがえのない経験となっているのでしょう。

ウィーン少年合唱団

ウィーン少年合唱団

会見の最後には、合唱団が歌を2曲披露してくれました。ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・フランセーズ《上機嫌》と、岡野貞一の《ふるさと》。「エネルギッシュで個性豊かなメンバーたち」というチャン先生の言葉通り、力強さを感じる中音域に美しいボーイソプラノが重なり、これからスタートするツアーへの期待が高まる歌声でした。

ウィーン少年合唱団

文:原典子(音楽ライター/編集者)
写真:居坂浩文


ウィーン少年合唱団 2023来日公演
《公演情報》
“天使の歌声”4年ぶり待望の来日公演!
ウィーン少年合唱団 (カペルマイスター:ジミー・チャン)
日時・会場:
2023年5月3日(水・祝) 14:00 サントリーホール
2023年5月4日(木・祝) 14:00 サントリーホール
2023年5月20日(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
2023年6月15日(木) 19:00 東京オペラシティ コンサートホール
2023年6月16日(金) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2023年6月17日(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
2023年6月18日(日) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
他 全国公演スケジュールは特設サイトをぜひご覧ください!
https://www.japanarts.co.jp/special/wsk/


◆ウィーン少年合唱団のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/wsk/

ページ上部へ