2024/2/9
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〈RMF&山田和樹 グローバル プロジェクト〉山田和樹指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 記者会見
2月5日都内にて、山田和樹指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演に向けた記者会見が開かれました。
山田和樹は2016/17シーズンからモンテカルロ・フィルの芸術監督兼音楽監督を務めており、今回がこのコンビによる初の日本公演となります。5月25日の兵庫県立芸術文化センターを皮切りに、全国で7公演を開催。ピアニストに藤田真央を迎えてのベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番やラヴェルのピアノ協奏曲のほか、ベルリオーズの幻想交響曲、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」といった名曲プログラムで伝統あるオーケストラの響きを届けます。
サントリーホール(5月27・28日)とロームシアター京都 メインホール(5月31日)の公演は、「RMF&山田和樹 グローバル プロジェクト」の一環として開催されるとのこと。会見の冒頭で、ローム ミュージック ファンデーション(RMF)事務局長の竹内善行氏より挨拶がありました。
「ローム ミュージック ファンデーションは30年以上にわたり音楽文化の発展、普及のためにさまざまな事業を行ってきました。このたび立ち上げた『RMF&山田和樹 グローバル プロジェクト』では、固定観念にとらわれず新たな発想を生み出す山田和樹さんとともに、日本の音楽家が 今よりも更に世界中で活躍する未来を作っていきたいと考えております。モンテカルロ・フィルの日本公演では、S席チケットを4,000円でお求めいただける特別学生席『RMFシート』をご用意しました。ぜひ若い方々にも足を運んでいただければと思います」
次に、ジャパン・アーツ代表取締役社長の二瓶純一より。
「モンテカルロ・フィルは1856年に創設された歴史あるオーケストラ。2016年の春に日本公演を行なっており、その直後に山田氏が芸術監督兼音楽監督に就任しました。このたび実現した日本公演は、ローム ミュージック ファンデーションのサポートによる『RMF&山田和樹 グローバル プロジェクト』という中長期的な取り組みの一環として開催されることに意味があると思っています。ぜひご期待ください」
そして、山田和樹よりモンテンカルロ・フィルとの日本公演に向けた抱負が語られました。
「このたびモンテカルロ・フィルとの日本ツアーができることを嬉しく思っています。私は2024年現在、このオーケストラの芸術監督兼音楽監督として8シーズン目を迎えていますが、じつは、ここにくるまでには大変な道のりがありました。
モナコの公用語であるフランス語が流暢でない私は、はじめは言葉の上での行き違いも多くありました。また、モンテカルロ・フィルの監督はオーケストラの人事や運営に至るまで大きな権限を持っているので、そういった部分での反発も大きかった。私が監督としての最初の3年の任期を終えた時点で、オーケストラとの関係は決して良い状態ではなかったのです。
でも、そこで諦めずに2年延長し、ひとつひとつ誤解を解いていくうちに、楽団員も心を開いてくれるようになりました。やがて追い風が吹くようになり、3年、さらに2年と延長し、2026年までの任期が決まっています。かつてもっとも激しく私に反発していた楽団員も、今ではいちばんの仲良し。コロナ禍も乗り越え、辛いことも楽しいこともすべてを共有してきた仲間たちです。
モンテカルロ・フィルの魅力は、ひとことで言うと、古き良き時代の香りを残した20世紀のサウンドにあると思います。21世紀になって、オーケストラの機能性は飛躍的に向上しました。けれど、それだけでは“何か”が足りない。モンテカルロ・フィルは、その失われた“何か”を追い求めていくオーケストラです」
共演の藤田真央については、心あたたまる交流のエピソードを語ってくれました。
「真央君とは20歳離れていて、顔が似ているからか、よく親子と言われます。彼もなぜか僕にメールするとき“パパへ”と書いてくるんですよね(笑)。僕はベルリンに住んでいて、真央君もベルリンでひとり暮らしをするというので、“料理できるのか?”と聞いたら“うーん、あんまり”と。“よし、じゃあ料理を教えてやる”と、家まで行って一緒にごはんを作って食べたことも。すべての人に愛される、人を笑顔にさせる天性の才能の持ち主です。プライヴェートでは交流があるものの、じつは正式な形で共演するのははじめてなので、とても楽しみにしています」
そんな藤田からも、ビデオメッセージが寄せられました。
「モンテカルロ・フィルは、歴史ある素晴らしいオーケストラ。公私ともにお世話になっている山田和樹さんとの共演ということで、今からワクワクが止まらない状態です。ぜひ会場でお会いしましょう!」
質疑応答のコーナーで、「モンテカルロ・フィルを指揮するときに心がけていることは?」という質問に、山田がこのように答えていたのが印象的でした。
「彼らの潜在能力をいかに引き出すかにかかっています。集中力を発揮したときは、間違いなく世界一のオーケストラだと思える瞬間がある。けれど、そのスイッチがどこにあるかはわからない。日本ツアーの最中にも、そんな瞬間が何度も訪れることでしょう」
マエストロがオーケストラからどのような響きを引き出してくれるのか、今から楽しみでなりません。
文:原典子(音楽ジャーナリスト)
写真:松尾淳一郎
【公演概要】
〈RMF&山田和樹 グローバル プロジェクト〉
山田和樹指揮モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
主催:公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション/ジャパン・アーツ/朝日新聞社(東京公演)
特別協賛:ローム株式会社
2024年
5月27日(月) 19:00 サントリーホール
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」Op.62
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
5月28日(火) 19:00 サントリーホール
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78.R.176「オルガン付」
5月31日(金) 18:30 ロームシアター京都 メインホール
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78.R.176「オルガン付」
<来日公演 その他の日程>
5月25日(土) 兵庫県立芸術文化センター (ABC テレビ) 06-6453-6000
5月26日(日) 千葉県南総文化ホール 0470-22-1811
5月30日(木) 愛知県芸術劇場コンサートホール (CBC テレビ) 052-241-8118
6月01日(土) 横浜みなとみらいホール (神奈川芸術協会) 045-453-5080