2024/1/29
ニュース
第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者来日記者会見
2024年1月29日(月) 第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者来日記者会見が行われました。ショパンが生きた時代の音楽を探求するため、ポーランド国立フリデリク・ショパン研究所(NIFC)によって2023年10月に第2回目が開催された『ショパン国際ピリオド楽器コンクール』。ショパンの音楽を彼が生きた時代の楽器で再現し、研究を深めること、また若いショパニストたちにピリオド楽器の世界へ足を踏み入れるきっかけを与えるため立ち上げられた国際コンクールです。第2回同コンクールで優勝したのは、カナダ出身のエリック・グオ。モダンピアノの奏者でありながら、類まれなコントロール能力でピリオド楽器を演奏し、聴衆や審査員を魅了しました。
登壇者は、鈴木優人(バッハ・コレギウム・ジャパン(以下BCJ)首席指揮者)、2023年第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者エリック・グオ氏、ポーランド国立ショパン研究所所長 アルトゥール・シュクレネル氏でした。
まず、ポーランド広報文化センター所長ウルシュラ・オスミツカ氏より、コンクール優勝者来日公演の実現にご支援いただいた関係の皆様への謝辞とご挨拶がありました。
次に、コンクール優勝者の招聘元であるジャパン・アーツの代表取締役社長、二瓶純一よりご挨拶と本ツアーの概要をご説明。エリック・グオは、すでに1月25日(木)浜松、1月26日(金)兵庫でソロ・リサイタルを行っており、明日は、鈴木優人指揮のBCJとの共演が大変期待されていることを紹介しました。
続いて、今回の優勝者ツアーを共催するポーランド国立フリデリク・ショパン研究所所長 アルトゥール・シュクレネル氏からのスピーチがありました。
アルトゥール・シュクレネル氏(ポーランド国立フリデリク・ショパン研究所所長)
ショパン国際ピリオド楽器コンクールは、19世紀前半のショパンの時代の音に戻ってみるという新しい試みで、おかげさまで世界中から関心をよせていただき、日本を含め世界各国から参加があり、昨年の第2回のコンクールも大成功となりました。当時の作曲家は、自分の楽器を生かした作曲をしていました。ショパンも5台のピアノを弾き分けていました。コンクールではプレイエル、エラール、ブフホルツ、グラーフなど6台の楽器を用意し、参加者はその中から、自分で楽器を選びました。私がエリックに心から感謝したいと思うことのひとつに、ショパンが作曲家だけでなく、素晴らしい即興音楽家であったことを示してくれたことがあります。コンクールで共演したオーケストラも、エリックにはミステリーの要素が高く、即興のことをわかっていると評していました。
次に、同じく優勝者ツアーを共催するアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート所長Dr. バルバラ・スハボフスカからのメッセージが紹介されました。
Dr. バルバラ・スハボフスカ(アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート所長)
「アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートは、世界中でポーランド文化の普及につとめています。ポーランドの魂、伝統、風景、これらには普遍性があります。21世紀に、カナダ人のエリック・グオ氏が、日本で、ショパンの演奏会を開催することが、それを雄弁に語っているといえるでしょう。関係の皆様、共演のBCJの皆様へ御礼申し上げます。」
エリック・グオ(第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者)
こんにちは。ありがとうございます。(日本語で)
初来日を楽しんでおります。また、ここに、こうしていられることが大変光栄です。実は初来日だけでなく、自分にとって初めての記者会見です。大変幸せです。初めて日本に来た印象を少しお伝えしたいと思います。まず、大変クリーンでとても驚きました。世界でナンバーワンだと思います。空港で、TOTOのトイレのハイテクぶりに驚きました。色々なボタンがあって、、衝撃でした。トイレもすごいですが、そのジャパニーズ・スピリットもすごいです。来日したとき、ジャパン・アーツの二瓶社長に、抹茶チョコをプレゼントでいただいたのですが、これも、すごくて、、細かい説明がいろいろ書いてあって、自然で健康なチョコを目指しています、とありました。私は、そこで、私の音楽の楽しみ方、追求したい音楽も、そうありたいなと思いました。
鈴木優人(BCJ首席指揮者)
まずは、(エリック・グオに笑顔をむけて)優勝おめでとう!
BCJは、バッハのみならず、作曲家が触れていた楽器を用いて音楽を探求するというコンセプトで音楽に向き合っていますが、ピリオド楽器を使ったコンクールが実施されると聞いたときは、この取り組みに対して驚きと、また新鮮な喜びも感じました。私たちにとっては当たり前であっても、ピリオド楽器をコンクールで運営するということは、大変なはずですので、その本気の姿勢に感銘をうけました。コンクールは本来、若者にとって、先にショパン研究所のシュクレネル所長がスピーチしてくださったような研究の場、音楽への愛を発見する場です。コンクールでピリオド楽器に出会う若者がいることも新しい流れだと感じます。新しい流れを生み、またショパン研究を牽引されいているショパン研究所へ尊敬をお伝えしたいと思います。リハーサルでは、ショパンが若いときに書いた曲なので、当時のショパンと年が近いエリックに率直に考えを聞きながら進めています。会話をするような、演奏の中で即興的な生の会話ができるように、新しいことにとりくむ気概にみちたリハーサルがすすんでいます。
続いて質疑応答がありました。
ピリオド楽器に触れて、優勝から今まで、ショパンへの印象や理解はどう変化しましたか?
コンクールはショパンを学ぶよい機会でした。ワルシャワ・フィル、聴衆の皆さんは、ショパンのことをよく理解していました。私も学び続けなければと強く思いました。人生は終わりのない学びの旅だと思います。ショパンの全曲をレパートリーにもしたいと思います。今回、ショパンはいかに即興性の強い作曲家であるかを、ひしひしと感じました。ショパンを未来志向の作曲家であることを理解できたことは、私にとって大きな変化でした。
モダンピアノとピリオドピアノを弾くときは、心構えは違いますか?
ピリオド楽器を弾く機会は大変限られていますが、それぞれの個体で全く異なるので、向き合い方も色々になります。コンクールのときに弾いたタカギクラヴィアのプレイエルも素晴らしかったです。演奏者にかかっていると思いますので、その楽器を理解しようとつとめ、毎回異なる経験をしています。ピリオド楽器を演奏することがモダン楽器の演奏を深め、また逆もあると思います。
最後はフォトセッション
1月30日(火)東京オペラシティコンサートホールでの優勝者コンサートでは、優勝者のエリック・グオが、1843年製プレイエル(タカギクラヴィア所有)を用いて鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンとショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番を演奏します。ぜひご注目ください。
◆鈴木優人のプロフィールはこちら
⇒https://www.japanarts.co.jp/artist/masatosuzuki/
◆バッハ・コレギウム・ジャパンのプロフィールはこちら
⇒https://www.japanarts.co.jp/artist/bcj/
Concerts are co-organized by Adam Mickiewicz Institute / The Fryderyk Chopin Institute
Adam Mickiewicz Institute : https://culture.pl/jp/topic/asia https://iam.pl/en
The Fryderyk Chopin Institute : https://nifc.pl/pl