2024/3/22
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【レポート】The Road to 2027仲道郁代 ピアノ・リサイタル 「夢は何処へ」 記者懇親会
6月2日(日)にサントリーホールで開催される「The Road to 2027 仲道郁代 ピアノ・リサイタル―夢は何処へ―」に先駆け、記者懇親会を開催しました。
今回の公演では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番、13番、14番「月光」、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番「幻想」を演奏します。
仲道は、7年目に入った当シリーズについて、「まだまだ言葉で説明するのは難しいですが、私にとって音楽の本質、追い求める世界へと、一段も二段も公演内容が深まっている実感があります。それは日頃のコンサートにも反映されていると感じています。」と語ります。
そして、それぞれの楽曲について文献や史料を紐解きつつ、ピアノ演奏も交え「夢は何処へ」という視点から仲道の解釈を説明しました。
このプログラムは、一言でいえば、「響きの中にさめざめと泣き続けたい夢」
のようだと仲道は語ります。
「夢」とは何か。理想、郷愁の心が求めるもの、美しいもの、悲しみ、神、絶対的なもの、永遠、死……。「何処へ」とは、場所でもあり得るし、探し求めるという行為とも言えます。
ベートーヴェンも、シューベルトも、その何処かにある夢に果たしてたどり着いたのでしょうか。
今回の曲目には共通する3つの観点があると仲道は言います。
①連打による永遠性
②半音関係による生と死の境目の揺らぎ
③言葉と音楽との関連
ベートーヴェン自身によって「クワジ・ファンタジア(幻想曲風)」と書かれた第14番 「月光」 Op.27-2は、ベートーヴェンが楽譜にメモをしていたという発見から、そこに書かれていた第1楽章に聴こえるエオリアンハープの響きと、この世の生活から見放され、その生涯の目的を達成できなかった人々の魂についての詩を紹介し、作品の解釈の新しい可能性について言及しました。
第13番 Op.27-1のソナタでは自然の中に見出す神性について、そして第27番 Op.90のソナタではその後に書かれる第28番のソナタと歌曲「遥かなる恋人へ」との関連から、求め続けるということのファンタジーを指摘します。
最後のシューベルトのソナタでは、永遠の安らぎだけではない強烈な〈痛み〉が第1楽章冒頭から聴こえてくると言います。
シューベルトの印象的な詩も紹介されました。
「愛を歌おうとすると苦しみが、苦しみを歌おうとすると愛が私を二つに引き裂く」
その思いが第3楽章のトリオの部分で、美しい天上の世界へとクライマックスを迎えるのだと分析します。
そして最終楽章では、痛みを包む安らぎの世界が聴こえつつも、最後までその「夢の世界」を求め続けているのだと……。
求め続ける夢の響きの中に昇華された美しさとは、どんな響きでしょうか。
ぜひ6月2日(日)、サントリーホールの「仲道郁代 ピアノ・リサイタル―夢は何処へ―」へお出かけください。
<全国公演日程>
5月11日(土)14時 アクトシティ浜松 中ホール (問)(公財)浜松市文化振興財団 TEL 053-451-1111
5月19日(日)14時 兵庫県立芸術文化センター 大ホール (問) 芸術文化センターチケットオフィス TEL 0798-68-0255
5月25日(土)14時 宗次ホール (問)同ホール TEL 052-265-1718
6月2日(日)14時 サントリーホール (問)ジャパン・アーツぴあコールセンター 0570-00-1212
◆仲道郁代のアーティストページはこちら
⇒https://www.japanarts.co.jp/artist/ikuyonakamichi/