2024/7/3
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【インタビュー】アラン・アルティノグル(2)
(⇒【インタビュー】アラン・アルティノグル (1) はこちら)
訊き手・文 那須田務(音楽評論家)
―今回が初来日ということですが、日本のイメージは?
A―パリに日本人の友人がたくさんいるので、日本人のメンタリティについて少し分かる気がします。私が日本で一番好きなところは、日本人は常に相手にリスペクトを払っていることです。それから日本でお寿司を食べてみたい(笑)。ヨーロッパよりもずっとおいしいのでしょうね。
―ご自身について伺いますね。パリでお生まれになった。
A―母はピアノの先生、父は数学の教師です。最初数学を勉強しましたが、音楽家の道を選びました。ピアノを学んで歌劇場等でコレペティトーアをし、アシスタントを経てカペルマイスターになりました。今パリ音楽院で指揮科を教えていますが、私自身指揮は独学です。ブーレーズやマゼール、サロネン、バレンボイムらにアドヴァイスを受けるなどして学びました。
-オネゲルの《サロメの悲劇》の1907年版のCDを聴きました。すばらしいですね。
A―ありがとう。これを録音した時はコロナのパンデミックだったので小さいオーケストラでできる曲を探したのです。そうでなくても、あまり知られていない版で録音することはとても意義があると思っています。
-hrには「バロック+」という古楽の演奏習慣に造詣の深い指揮者を招いたシリーズがあり、昨年秋には鈴木雅明が指揮をするコンサートがありましたし、あなた自身もYouTubeでバッハの《ヨハネ受難曲》を演奏しています。このようなことに関心がありますか?
A―私はチェンバロやオルガンを弾きますし、マルゴワールの古楽器のオーケストラで演奏したこともあります。18歳の時にはオルガンで《ヨハネ受難曲》に参加しました。ですからこうした経験をフランクフルト放送交響楽団でも生かしたいと考えています。とはいえ、現在のA=440HZはバッハの合唱を歌うには高すぎますし、ヴィオラ・ダ・ガンバなど今のオーケストラにはない楽器のパートもあるので簡単なことではありません。
-お好きなレパートリーの傾向はありますか?
A―好奇心が強いのでモンテヴェルディから現代音楽までやりたい曲はたくさんあります。でもオーケストラが一年間で演奏できる曲は限られていますから、あまり昔の曲はできません。先ほどお話したようにhrとはドイツ・オーストリア系の音楽が中心ですが、私の心はフランスの音楽を一番愛しています。
最後に日本の聴衆へのメッセージを乞うと、「10月に行きます。楽しみにしていてください」と満面の笑みで応えてくれた。
(取材協力:マリア・ドイツ)
(⇒【インタビュー】アラン・アルティノグル (1) はこちら)
◆フランクフルト放送交響楽団のアーティストページはこちら
⇒https://www.japanarts.co.jp/artist/hr/