2014/4/2

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小林研一郎プダぺスト国際指揮者コンクール優勝40周年記念コンサート

 2014年6月終わりの来日ツアーが待ち遠しいハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団。日本ツアーに先駆け、3月14日から4月3日まで、小林研一郎ハンガリーデビュー40周年を記念する全8回のコンサートシリーズがブダペストにて盛況に行われました。記念コンサートのスタートとなったハンガリー国立フィルとの共演はマーラーの<復活>。
40年前に小林研一郎が、第1回ブダペスト国際指揮者コンクールで優勝したときから声援を送り続ける人々の姿も多く、中にはお孫さんとともに感動を分かち合う様子も見られました。
今回、チューリッヒ在住の中東生(なか しのぶ)さんにレポートをして頂きました。
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 2014年3月11日、「小林研一郎プダぺスト国際指揮者コンクール優勝40周年記念コンサート」の練習が始まった。ハンガリー国立フィルとは10年ぶりの共演で、最初は、昔の音と変わったと感じたという。

小林研一郎

 「やっと自分達の作り上げてきた音が戻って来た」実感が得られたという13日のプローベを見学した。熱気に包まれた芸術文化宮殿ホールの練習場は、マーラーの音楽さながらの熱い混沌が支配していた。体格のいいハンガリ-人150人ほどの中心に、細身で小柄な小林氏の姿がやっと認められた。その身体から迸るエネルギーをハンガリー人達はおおらかに受け止めている。しかし、音楽がクライマックスに近付き、マエストロがよく通る声でハンガリー語の指示を出すと、音楽が彫刻のようにどんどん立体的になっていく。
 
 昔からのオーケストラ団員は、「ケンイチローと又演奏できるのが嬉しい。彼とは沢山共演したが、我らが誇るバルトークに対するアプローチでも、外国人であるケンイチローの指示は新鮮であり、納得のいかないものは今まで1つもなかった。」と興奮を隠さなかった。

 本番当日満員のリスト音楽院大ホールに「実家に帰って来た」ような素敵な笑顔でマエストロが登場すると、歓迎の拍手が波打つ。待ちきれないかのように指揮棒が振り下ろされると、楽団員全員の息がピッタリ合い、マエストロの細やかな表情を見逃さず音楽に変えていく様は、弾く方も、聴く側にとっても至福の時だった。激しく、そして柔らかいオケに合唱団も深く温かい響きで色を添え、ソリストは稲妻のようにアクセントを加える。そして最後は、あれだけ情熱と共にマエストロに導かれていた音楽が、ふっと彼のタクトを離れ、彼を残して天に昇って行ったようだった。終演後彼は、「『マーラーが降りて来て彼が指揮している』と思う時もあるが、今日は、全員がマ-ラーに浸っていたので、音楽を昇天させた」と語ってくれた。

小林研一郎

 ホールを出ると、マーラーの生きた時代にタイムスリップしたように感じられ、夜空がマーラーに満ち溢れていた。そう話すと一緒にいたブダペスト在住のヴァイオリニストは、丁度その先にマーラーが住んだ家があることを教えてくれた。小林研一郎を通して、本当にマーラーが蘇った一夜だったのだろう。

中 東生(なか しのぶ) 在チューリヒ/音楽ジャーナリスト

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輝く真珠! ドナウの名門
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

ハンガリー国立フィル

[公演日程]
6月23日(月) 19:00 サントリーホール
指揮:ゾルタン・コチシュ ピアノ:金子三勇士
6月26日(木) 19:00 サントリーホール
指揮:小林研一郎 ヴァイオリン:千住真理子

公演の詳細はこちらから

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