2012/10/11

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

白夜祭レポート(4)サンクトペテルブルグ マリインスキー劇場

オクサーナ・スコーリク

 白夜祭期間中、リハーサルに次ぐリハーサルを行っていたオクサーナ・スコーリク。ビデオテープを先生と研究するレッスン、先生とマンツーマンのもの、パートナーと一緒のリハーサル…本当に次から次へ、いろいろな種類の練習が組まれていて、劇場の彼女への期待の大きさを感じました。
 その期待に応えて、彼女も白夜祭の期間に多くの役でデビューを果たし、9月28日ファースト・ソリストに昇格しました。
 現地でご覧になった方からも「スレンダーで美しいダンサー」だったというコメントも届きましたが、そんな彼女のインタビューをお送りします。

Q:日本ではNHKで放映されたペルミバレエ学校時のドキュメンタリーが有名ですが、その後ペルミを出てマリインスキーに入団された時の気持ちは?
A:怖かったです

Q:どうして?
A:長い歴史のある劇場ですし、とても責任が重いですから。それから伝統もあるし、劇場のブランドを守らなければいけません。

Q:マリインスキー・バレエに入りたいという目標はありましたか?
A:もちろんです。

Q:マリインスキー・バレエで踊ることが実現しそうだと感じたのはいつですか?
A:最後の最後まで、ペテルブルグに行けるとは思っていませんでした。

Q:どうやって進路が決まったのですか?
A:ペルミのバレエ学校では、先生たちが構成する委員会があって、一人ずつ呼ばれ進路を提案されます。私は他のロシアのバレエ団にソリストで入るか、マリインスキー劇場かという二つの提案を受け、マリインスキーに決めました。

Q:小さい頃はどのような女の子だったのでしょう?踊ることや表現することは好きだったのですか?
A:はい、好きでした。

Q:ご両親もバレエに関係するお仕事だったのでしょうか?
A:まったく違う分野の仕事をしています。両親とも技術系です。ハリコフの航空専門学校を卒業しているので、全然ちがうんです(笑)

Q:では、ご家族で初めてのダンサーですか?
A:そうです。

Q:どうしてバレエを始めたのですか?自分からやりたいと言ったのですか?
A:幼稚園の頃から活発で、踊ったり運動したりするのが好きでした。そこで母が私のその活発さをバレエに向かわせようとしたんです。

Q:日本で「白鳥の湖」を踊っていただきますが、小さい頃からこの作品をどんなふうにイメージしていましたか?
A:子供の頃から両親と劇場には通っていましたが、「白鳥の湖」は「ジゼル」ほど興味はなかったんです。でも実際「白鳥の湖」を練習し始めたら、完全にのめり込みました。そのリハーサルのプロセスで登場人物のイメージに興味を持つようになりました。

オクサーナ・スコーリク

Q:具体的にこのバレリーナのここがいいとか、そういうのはなかったですか?
A:今も昔も、オデット=オディールを独自の解釈で踊ってきた素晴らしいバレリーナがたくさんいます。彼女たちの経験にも学び、新しいものも取り入れて、自分なりの解釈も加えてオデット=オディールを作りあげたいと思います。

Q:あなたに一番影響を与えたバレリーナは?
A:ウリヤーナ・ロパートキナさんです。

Q:綿々と続くバレリーナの伝統の中でも、スコーリクさんらしさというのはどういうところだと思いますか?
A:オデットは自分にプライドがあって、そして哀しい女性。私にとってはオディールのイメージのほうが難しいです。

Q:オデットの方は簡単?
A:簡単というのではなくて…オデットは優しいのですが、同時にプライドも高い。そうですね、オデットのほうがイメージしやすいですね。

Q:技術的なことだけではなくて、表現するという意味においてオディールのほうが難しいということ?
A:そうですね。オディールはあの場所にロットバルトに連れてこられたんですよね。王子がオデットだと信じるように抒情的に踊りながらも、同時に彼女はロットバルトとも通じている。この彼女のずるい本性、悪意も表さないといけません。

Q:悪魔性もあるけれど魅力的な部分がないと、ジークフリートは魅了されないわけですからね。
A:そうですね。悪意のある女性がやさしい女性のふりをしているんです。

Q:踊っているうちにそういうイメージができてくるんですか?それとも舞台に出る前に役作りをするのですか?
A:レッスン場で納得がいくまでイメージを練りあげていきます。それは自分自身でやらなければいけない仕事。それなしに舞台に出ることはできません。

Q:マリインスキーでは、たくさんのパートナーと踊っていますが、今後どんなパートナーと踊りたいですか?
A:正直、一度も考えたことはないです。いまは決めていただくパートナーと踊ることで十分楽しいです。誰と踊りたいとか言うのは不公平な気がして。どのダンサーもそれぞれに素晴らしいですから。

Q:ありがとうございました。

オクサーナ・スコーリク

トリビア④
オクサーナ・スコーリク。
マリインスキー・バレエに入団する前から、彼女に注目してくださっていた方も多いと思います。NHKが2008年に放映したドキュメンタリー番組「犠牲の先に夢がある~ロシア国立ペルミバレエ学校~」で涙を浮かべながらも、前に進み続けたスコーリク。
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/081020.html

バックナンバーに詳細がありますので、どうぞご覧ください。
そういえば、リハーサル中でも、どうしても涙がとまらなくて・・・ということが1回だけありました。その涙をふき「お待たせしました・・・」と約束の場所に来てくれて、このインタビューは実現しました。

ページ上部へ